エリック・マコーマック『ミステリウム』 | marginalia

東京創元社さまより、エリック・マコーマック著増田まもる訳『ミステリウム』を献本いただきました。

 

 

親本で読んだときの鮮烈さが忘れがたい傑作で、オーソドックスな怪奇小説風の書き出しで水にまつわる連続する死亡事件が語られる古風なミステリかと思いきや、どんどん異様に逸脱していくマコーマックの個性が存分に味わえる長編です。小さな文章がどこか不連続、不自然に積み重ねられていく居心地の悪さは、再録されている柴田元幸のエッセイにもある通りマコーマックの方法なのか癖なのかわからないですがとても引き込まれる強い魅力を持っています。とにかく面白くて、読むと他のマコーマック作品まで読み返したくなるので忙しい時はちょっと困ってしまいます。