『ナイトランド・クォータリーvol.34 対なるものへの畏怖 双生児あるいは半神』 | marginalia

アトリエサードさまより、『ナイトランド・クォータリーvol.34 対なるものへの畏怖 双生児あるいは半神』を献本いただきました。

 

 

今回のテーマは双生児で、相変わらず意外性のある作品と濃密な批評で充実した本になっています。なんと言っても驚いたのがカール・クラウスのエッセイが訳出されていることで、凝りに凝ったレトリックでひねくれた辛辣な文章が嬉しかったです。この時代のドイツ語文化圏の文筆家の攻撃性はどこか優雅なきらびやかさを備えていて得難い魅力がありますね。辛辣なユーモアでは、マーク・トウェインの小文もすこぶる面白い。『まぬけのウィルソンとかの異形の双生児』について語る待兼音二郎のエッセイも含めて読み応えがあります。未知の作家では、ステイシー・オーモニアという人の作品が興味深かったです。既訳がいろいろ紹介されているので読みたいです。