ワシントンワインのインポーター日記 -95ページ目

社長があまりにも書けというので書いたワインメイカーズ日本滞在記(6)

お寺に泊まった翌朝。社長はご実家に泊まったため、私がワインメイカーのケアをする事になった。朝ごはんは7時から。一応時間を告げたものの誰も食堂に降りてこない…

じゃあ食べて待とうかな、って事で旅館の典型的な朝ごはんを頂いていた。メニューは重箱に入った以下のもの:
 ・目玉焼き
 ・グリーンサラダ
 ・ポテトサラダ
 ・キウィ
 ・ボンレスハム一枚
 ・トマト
 ・ゼリーと乳酸菌飲料
 ・鯵の開き
 ・海苔
 ・ご飯用ふりかけカツオ風味
あとはセルフサービスで魚と白菜、えのきの入ったお味噌汁と白飯。

あまりにも降りてこないので途中で一回、起こしに行った。ドアをノックして「朝ごはんできてるよー」って。したら「おなか空いてたのよ!やっとなのね」という声が室内から。アンだった。もしや「ご飯のご案内」を待ってた?!急いで階下に戻って彼らのご飯をよそったり味噌汁を用意した。ご一行様、ドアを開けて朝の挨拶&テーブルのお重を見てびっくり。


「この中で目玉焼き以外、何が食べられるの…?」と聞かれて

こちらも目が点…(  ゚ ▽ ゚ ;)。


まずチャレンジフルな男性陣が鯵の開きにチャレンジ。箸じゃ食べにくいから手で食べていい?と聞かれ、どうぞどうぞと薦めた。女性陣はゼリー>キウィ>目玉焼きと食べて、終了。味噌汁に入っていた魚の切り身を見つけて「もう魚はうんざり」と言われたのがちょっと悲しかったけど、疲れがピークに来ているのも解る。わがままを言うことで少しでも気持ちが楽になるのならそれはそれでOK。そして追い討ちをかけるように

「みさん、今すぐ私に珈琲を!」

「すんません、ここは緑茶しかないです」

「え…」

アンおばちゃんのガビーンな顔、忘れられません。次回こういう所に泊まるときは、ブルックスコーヒーみたいなのを用意してあげなくちゃなあ。




その後こお大善寺の国宝である「葡萄薬師如来」を見に行った。1316年建立、3度の戦火で消失、今あるのは700年前の建物。とても荘厳で立派だ。田舎のお寺だからなのか、物凄く近くまで寄って見せてくれた。葡萄を片手に、厨子を左手に持った薬師如来。その昔、ここで作る葡萄酒は、薬だったのだ。どぶろくのような造り方をしていたそうだけど。

優雅な葡萄薬師のお姿の前に、国境を越えて「葡萄」で繋がった私達がたたずんでいる事は奇跡であり、運命のような気がした。勿論、私とKEN社長だって繋がりはワインだった。私が小売店で誰もワインの知識がないことに憂いていなければ…ワインの勉強をせずにコーヒー豆の勉強をしていたら…こんなところで葡萄を目の前に皆でいることは無かった筈だ。葡萄の魅力に惹かれて、集まった私達。これからどんな未来が待っているんだろう。でも彼等と一緒に仕事できて本当に幸せだと思う。帰り際、アンは裏にある弥勒菩薩に何やら一所懸命お祈りをしていた。


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さて午後2時までに名古屋のホテルに到着せねばならないため、そそくさとお寺を後にする。またもや車はトランクだらけ。途中、PAでお昼とする。そこで笑えたのが下の写真。

ワシントンワインのインポーター日記
ここは食券を買うと、自動的にオーダーが厨房へ届くようになっている。

私達は出てきた食券番号を呼ばれるのを席でひたすら待つだけである。このシステムがどうやら彼らには「カッコイイ!」と思えたようで、写真を撮ってくれとキムにせがまれる。周囲の日本人の目が痛い…(/ω\)

私はさほどお腹が空いていなかったのでその場を去ろうとしたんだけど、「番号は日本語で呼ばれるの?」というデニスの質問にそりゃそうだ、と思い直し一緒に待つことに。それじゃ悪いと思ったのかデニスが私に舞茸天婦羅うどんを買ってくれた。
次に外の売店で牛串を買ったマットが来て、食券販売機の説明をマットから受けた途端「俺もやる」と、同じくうどんと餃子を注文。そしてコーヒー片手に機嫌の直ったアンがマットの食べていた餃子を気に入り、餃子と蕎麦を注文。社長は味噌カツ丼を頼み、最後にアンディも合流。キムは「日本のファストフードは最高だわ!あたし気に入っちゃった」と、かなり興奮していた。

ちなみに食後に「ぴりからおやき」を買った私。殆どを彼らに試食させたらマットが気に入ってもう一個食べてた。鷹の爪が入った野沢菜入りのおやき。マットは本当にチャレンジャーだ。



そして車は名古屋市へ。今夜の宿は社長が頑張ってとってくれたWestin Nagoya Castle Executive Class Room。彼らの部屋は全て名古屋城ヴューになっていて、8階にはエグゼクティヴフロアーの客専用ラウンジまである。飲み物無料。ご一行様の女性陣はラグジュアリーな雰囲気に超興奮。そりゃそうだ、ビジネスホテル>宿坊ときたもんなぁ。最後の日にこれはナイスなご褒美だよ、社長GJ!! グッド!


これから向かうは名古屋での弊社取り扱いワインショップとデパート、そしてワインセミナーを、今晩ワインメイカーズ・ビュッフェが開催されるブラッセリー・ヴァヴァンにて1時間。次の日記をお楽しみに。

社長があまりにも書けというので書いたワインメイカーズ日本滞在記(5)

さて、火照った体のまま近くのシャトー・ジュンへ。
ワインメイカーの仁林氏はお髭がチャーミングなお若い方だった。 時間外にも関わらず工房を開けて待っていてくださった。 感謝感謝。

嬉しそうに中へと入っていくワインメイカー達。その中でもマットがとても嬉しそうだった。どうやら設備の規模が彼のワイナリーと全く同じで、使っている機械もどうやらとっても似ているらしい。

「親近感を覚えるよ」とマット。

しかもワインに携わっている年月もほぼ同じ。一所懸命ご自分のワイン造りやポリシーを訥々と説明してくれる仁林さんの姿に、マットは親近感を持った様子。そして更に仁林さんに興味を持ったのがなんとアンディ。実はWDはローヌ品種の白を作っているのだが(ルーサンヌとセミヨン)、仁林さんもセミヨンを造っていた。駆けつけ一杯に頂いた樽出しのセミヨンがとっても美味しかったのと仁林さんのお人柄にアンディはすっかりファンになったらしく、あれこれと清酒用の機械をうまくワインに転用しているあたりの質問とか、瓶熟成の期間とか、アンが「いい加減にして」と言うまで写真を撮ったり仁林さんの後ろをついて回ったりしていた。可愛い。



そしてテイスティング。元々私はシャトー・ジュンの甲州はクリスピーでレモンの花の香りがして好きなのだが、どうやら08年ものからワイン全体の造り方を少々変えたということで、今回樽から出してもらったほうが全然美味しかった。皆も「作り方を変えたのは正解」と一同賞賛。来年のシャトー・ジュンは楽しみです(*^▽^*)



ここでは日本の超ハイブリッド、カベルネ・ソーヴィニョンとマスカット・ベイリーAの交配種である甲斐ノアールを試す。
全員、物凄く神妙な顔つき。
まるで猫の前に歯磨き粉を指に付けて持っていったような、そんな顔…


「みさん、こんな事言っていいのか判らないけど…このワインはおかしくなってないかい??」
マットがワインの入ったグラスを社長や私に渡す。香りを嗅いでみたけど、いつもの超ド級土臭さだ。案の定、甲斐ノアールの独特なゴボウの香りが引っかかったらしい。
「いや、これはこういう香りなんだ」 と社長。
「フーン…いや、僕らにはどうみてもイカレてるワインの香りだな」
「こういう品種なんだよ。そして日本の根菜料理とかには良く合うんだよ」
どうやら甲斐ノアールの香りは西洋人には受け入れられないようだ。
グレースの甲斐ノアールよりも確かにシャトー・ジュンのほうが香りがきついけれどね。というか彼らはゴボウ ( burdock )自体を知らない様子。 それじゃあ無理もないか。


ワインワイン



さてさてその後は社長のご実家のお店で歓迎会を開いていただいた。ここで、この後語り継がれるであろう出来事が。

ワタクシ、みさんはある日社長から「歓迎会さ~、何出すか親と相談しててさー」と話を振られた。
「ほうとう食べてみたい!」
「ハイハイ、ほうとうね。んで馬肉はどう思う?」
「え、馬肉?!馬肉大好き (ノ´▽`)ノ」
「でもさ、姉さんが好きでも動物愛護精神の強いアメリカ人が馬を食べるとは思わないんだよね」
「じゃあ私の分を一人前で^^」
「わかった、オヤジに言っとく」

そう、天婦羅や(ズッキーニの天婦羅美味しかったなあ)サラダを出して貰った後、噂の山梨名物ほうとうが登場して、その隙に馬さしが二皿、ささっと出てきたのであった。一応皆に「馬肉だよ」とさらっと告げて私は箸を伸ばす。

おろしたショウガと共に食す…ん、んまあああああい!シャトー・ジュンで出していただいた瓶詰め三日目のメルローととても良く合う。何よりもサシが少ない赤身がとろりと口の中で溶けていく。う、うめえ。

私がバクバク食べているの見て、最初にマットが手を出してきた。皆、マットに注目。「コレ、旨いわ!」と、マットは続けさまに次を取る。それを見てアンディが「ワシも!」と、ワインをスタンバイさせてから食べ始める。「馬って美味しいね」とニンマリ。んでデニスがチャレンジ。「あ、柔らかい!美味しい!」とキムに向かって微笑む。残すはアンとキム。長野では蜂の子を食べる、という話を車でしたのを思い出したのかアンは
「私は例え世界中に食べるものがなくなっても、虫と馬は食べないわ…」
と頑なに拒む。アンの食嗜好はかなり保守的だ。生魚も食べないし。じゃあキムは?って彼女のほうを見たら半分涙目になっていた。「家じゃ毎朝隣の馬が私を起こしてくれるのよ?食べたらもう隣の馬が見られないじゃない…」と言い訳大会絶賛開催中。
「大丈夫、『君って美味しいね』って声をかければいいだけだよ!」って男性陣にからかわれ、それでムキになったキム。おもむろに箸を持ち上げて馬刺しを口の中へ!モグモグモグ…



「お…おいしいわ…っっ」



こうして日本の食べ物をまた一つ、クリアーしたワインメイカー達であった。 (み)

社長があまりにも書けというので書いたワインメイカーズ日本滞在記(4)


さて、このONSENが実は今回の旅のハイライトであった。何故か2年前にキムが来日したときに、彼女は激しく入浴を抵抗したと社長より聞かされていたので、彼らに手渡す「旅のしおり」を作成するときに、最後にかなりの量、温泉に関してページを割いた。

・温泉とは何ぞや
・温泉に入るとどうなるか
・温泉でのマナー

この三つだ。


アンおばちゃんは頑なに入るのを最後まで拒否し続けたが、理由が手術痕のためというのを知っていたので私は何も言わなかった。だがキムにはどうしても入ってもらいたかった。というのも日本に来て以来、キムが彼氏とベッタリで、正直私は彼女と腹を割って話すことが出来ないままでいたのだ。「このままじゃキムのイメージが超マイペースのワガママ女で終わってしまう!」と感じた私はどうしても裸の付き合いをしたかった。

とにかく、アンディやマットを炊きつけて "LET'S ENJOY ONSEN!"ムードを作り、車の中で旅のしおりの温泉ページをキムが声を出して皆に読むところまでいった。そしてキムが…

「え、温泉って混浴じゃないの?!」
「そういうところもあるけど、殆どが男女別だよー」
「あ、なら入ってもいいわ」

というところまで来た!ああ、道のりは長かったけど成功したよ、パトラッシュ… (^_^;)




目指すは「天空の湯」。勝沼市が一望できる「ぶどうの丘」の天辺に建っている公共の温泉だ。宿坊のおかみさんからKENちゃんが割引券を貰っておいてくれたので、なんと入浴料300円。素晴らしい。

新めの施設で綺麗。単純鉱泉だが、とにもかくにも私の目的はキムと二人きりになることなので早速「男子~女子~」に別れて着替える。バスタオルを最後に巻いて入浴しようとしたキムに「小さいタオル一枚だけもって入るってしおりに書いたよね!」と再度、マッパで風呂に入ることを教え、彼女も周りのおばちゃんがスッポンポンでいるのを見て観念したのか、潔く手ぬぐい一枚でやってきた。
そしてしおりにあった「マナー」のとおり、かけ湯して浴槽に浸かる。なんとアメリカ人が大好きなジャグジーがあったので、そっちへ誘うともう、気持ちいい~♪最高~♪なんで私嫌がってたのかしら♪と、温泉大絶賛。長旅で縮こまった筋肉をリラックスさせて、暫く二人、無言で見詰め合った…と、ここでキムが

「みさん、あたしね、KENと一緒にお風呂入らないといけないってずっと思ってたのよ…なんだかそれって嫌じゃない?!」

「げえええ!そんな想像してたの?」

「うん、夢にも出たのよ。KENの裸…」

「そ、それは嫌かも?!」(社長ごめん)


そこから心もほぐれたのか面白い話や各自のプライベートな話、ビジネスの話で盛り上がった。良かった、これが私が求めていたものなんだよー!

とりあえず温まったので一度体を洗いに出て、その後ミストサウナの部屋で延々お互いの身の上話などをし、仕上げは夜景の見える露天風呂で自分のワインについて熱く語るキム。そしていつしか彼女は今回の来日の感想など本音を吐き出し、出会いのあった日本人が皆いい人で、どうしてあんなに礼儀正しくて優しくて心の綺麗な人ばっかりなんだろ、あたしみさんにワガママ言ってごめんなさい、疲れてるのもあったけど今は恥じているわ・・・とポツリ。最後は二人、ちょっと涙ぐんで温泉を出たのでありました。


「もうお風呂にかれこれ45分も入ってる!待ってるアンに申し訳ないから行こう!」「そうね、男どもも待ってるわよね♪」と話していたのが、ジュースの自動販売機付近に茹蛸のような社長とアンしかいない…結局他の男性は温泉が気持ち良過ぎて1時間も浸かってた。嬉しそうに茹蛸になったアンディやマットやデニスの顔が忘れられない。
そして下駄箱に入れても扉が閉まらずに踵部分が飛び出していたデニスとマットのスニーカーのサイズが30.5cmであったことも忘れない…(汗


「こんな温泉が自宅近くにあったら毎晩入りに行くよ!」って、あんなに温泉を毛嫌いしてたキムとは思えない発言で次の目的地、シャトー・ジュンへと向かった。
時間は18:45。 (み)