縄文美術館 | わたとか

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学術的な三面写真や点描ではなく魅力的な被写体としての縄文時代の遺物の写真集のような本です。解説もあえて専門用語や詳細を省いて参考図書を勧めるという姿勢の割り切りにも好感が持てます。内容は縄文時代の遺物としてまず思いつく遮光器土偶はもちろんの事表紙の石偶や裏表紙のユーモラスな造形の人型土偶他さまざまな種類を載せてくれていますが見終わった後もっと見たいと思えるくらい縄文遺物への愛を感じます。以前から土偶には興味があっていろいろ資料を調べたりもしていましたが土器や石器も魅力的な遺物が多く初見のものもいくつかありましたし、見覚えのある土偶でもカラーで高精細の写真で見るとこんなところまで作りこまれていたのかという発見もあって楽しめます。

学校の日本史の教科書に載ってる縄文遺物というと土偶、釣針、矢じり、土器のさらに有名なものが少量だけですが当然それ以外にも魅力的な遺物がいくらでもあることを実感させられます。そりゃそうです、現代の遺物が1万年後に掘られたとしてたった数点の遺物で語りつくせるはずはありませんから。

本書でも語られていることですが縄文時代と呼ばれる時代は1万年以上の長さがありますので当然時代による造型の流行の変遷もあり造型師の腕の良しあしや類型の土偶でもディフォルメの趣味も結構個性があります。弥生時代に入ってしばらくも土偶が作られた時代があった(埴輪ではなく)とかサイズもいろいろあったとか精度は現代の作品に劣らないものもあると語り始めたら話題は尽きないのではないでしょうか。

一番お気に入りの話題は明らかに実用品ではない装飾過多の土器にも煮炊きに使用した痕跡があり実用に供されていたものだった、という記載でした。そのほかにもかなりの精度での造型や道具の加工や網や籠などの道具が遺物として残っていたり物流の証拠となるような装飾品が出土したりしているので縄文人は決して野蛮人ではなく文化や生活の余裕もある生活を送っていた文明人であったのは確かなようです。

縄文美術館


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