松田聖子、三木聖子、野田聖子、橋本聖子・・・。まっ、どうでもイイ羅列ですが。
この「風立ちぬ」は松田聖子の歌、ベスト3に入ります。
まず、アレンジが実に大滝龍一らしくて、大好き。「long vacation」のイキオイそのままです。
しかも、彼女最大の特徴である「ヘタウマ」が遺憾なく発揮されている。ウマイのだか下手なのかよくわからないけと、なぜか聴き入ってしまう、頼りなげで、少し背伸びをしながら、そんなセイコちゃんに騙された、少年は数多い。
僕と言えば、実は「青い珊瑚礁」以来、そんなに「セイコちゃん!、セイコちゃん!」と騒いだ経験がない。むしろ、そうとう懐疑的にふすまの影から眺めていた記憶がある。
何年か過ぎ、可愛いセイコちゃんカットから、大人の女性に飛躍した松田聖子を見ても、特にこれといった印象はなかったのだが、数10年たって、ふと聴いた「風立ちぬ」。
草原の風に吹かれて、小さな哀しみ抱えて、遙かにかすむ細い道を歩き始めようとする、この曲に「ヘタウマ」の極意を見たのでした。
やっぱりすごいワ。意図していたかどうかはわからないけど、一番最後の
「風立ちぬ、今は秋、帰りたい、帰れない・・」
の部分はなんという中途半端な、しかし、少女の微妙な心の揺れと、小さな決意を表現している。結果的にであってもダ。ここが彼女の凄みなのかもしれない。
この曲の作詞はもちろん、松本隆氏。僕の大好きな作詞家でもありますが、堀辰雄の「風立ちぬ」が、イメージの底辺にあるような気がする。この小説は、八ヶ岳の高原を舞台にした哀しくもはかない、物語。
フランスの作家ポール・ヴァレリーの『海辺の墓地』の一節"Le vent se leve, il faut tenter de vivre."(風が起きた、生きてみなければならない)の影響といわれているが。
なるほど。松本先生、奥が深い。



