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第59話 外道の魂


「どうしたアルミン
こんな汚ぇ馬小屋じゃ飯なんぞは食えねぇか?」


「相手が一瞬撃つのを躊躇した そうだろ?」
「アルミン お前の手はもう汚れちまったんだ
以前のお前には戻れねぇよ」
「新しい自分を受け入れろ
もし今もお前の手が綺麗なまんまだったらな
今ここにジャンはいないだろ
お前が引き金をすぐに引けたのは 仲間が殺されそうになっていたからだ
お前は聡い あの状況じゃ半端なことはできないと よくわかっていた
あそこで物資や馬…仲間を失えば…その先に希望は無いのだと理解していた
アルミン お前が手を汚してくれたおかげで俺達は助かった ありがとう」
「あぁ…お前がぬるかったせいで俺達は危ない目に遭ったな」
「ただしそれは あの時あの場所においての話
何が本当に正しいかなんて俺は言ってない
そんなことはわからないからな…
お前は本当に間違っていたのか?」

「そうだ ゆっくり 銃を前の奴に渡せ」

「兵服と装備を一式置いていけ
ブーツもだ 安心しろ 靴を交換してやる」

(憲兵団に潜り込み エレン達が運ばれた場所を探り出す…
もう こんなことしか思いつかねぇとは…
どの道 時間は無い…
短期決戦に懸けるしかねぇ)

「ストヘス区 憲兵支部所属 マルロ・サンド二等兵」
「同じく憲兵支部 ヒッチ・ドリス二等兵」
「共に104期の新兵か…所属もストヘス区のみ
相変わらず新兵ばかりに仕事が押し付けられる風習は健在らしいな」
「よし…ストヘス区の現場には まだ中央憲兵がいるはずだ
それらしき人物を補足して手掛かりを掴め」
「憲兵の山狩りの範囲が伸びきった後に決行する
いつでも出られるよう馬を準備しろ
さて…マルロ ヒッチ お前らだが…」
「あ?」
「あぁ…知ってる」
「いいや 潜伏してた巨人の正体が アニ・レオンハートだったからだ
ヤツは今 捕えられている
末端の新兵まで知っていいことじゃねぇがな…」
「まったく…イヤになるよな
この世界のことを何もしらねぇのは俺らもみんな同じだ
この壁の中心にいる奴ら以外はな…
お前達は…俺らがここを離れるまで拘束するが
出発と同時に開放する
お前らの足より遅れるようじゃ…どの道 無理な話だ」
「会長らを殺したのは中央憲兵だが 何が事実かを決めるのは この戦に勝ったヤツだ」
「…何だお前は」
「…だめだ お前に体制を敵に回す覚悟があるかなんて 俺には測れない
お前の今の気持ちが本当だとしても 寝て起きたら忘れちまうかもしれねぇしな」
「行くぞ サシャ 二人をこの辺に拘束しろ」
(……)「任せる」

「あそこが中央憲兵の根城で間違いないみたいだ…
こんなにすぐ辿り着けるとはな
あの二人とジャン…お前のおかげだ
行くぞ 今度はこっちから仕掛ける」

 

 

第60話 火種


「全員無事だ だがやはり二人はいなかった
移動するぞ」

「いいヒゲだな あんた
エレンとクリスタはどこだ?」
「……残念だが あんたの部下は助けには来ない
あんまり殺すのも困りものだからな
しばらくまともに歩けないようにはしておいた
これで中央憲兵はしばらく使い物になんねぇよ」
「あぁそうか…それは気の毒なことをしたな
俺だってかわいそうだと思っているんだ
特にあんたの口は気の毒でしょうがない
まだまともに喋れる内に口を使った方がいいぞ
エレンとクリスタはどこだ?」
「イヤ 遠慮しておこう 
お前はエレンとクリスタの居場所を言え」
「まぁな 調査兵団の命には優先順位ってもんがある
それを承知の馬鹿共の集まりが俺らだ
そもそも王政が調査兵団を根絶やしにする絶好の機会を俺らの首程度で逃がすとは思えねぇな…それとさっきの質問に答えてなかった分がこれだ」
「うるせぇよ エレンとクリスタの居場所を言え」
「アッカーマン…?それがケニー…ヤツの姓か?」
「まぁ確かに…ヤツは教えねぇよな 大事なことは特に…
しかし心当たりくらいあるだろ?思い出すまで頑張ろうか」
「まだ骨は何本もあることだしな」
「…かもな」

 

 

第61話 終幕


「お前ら一体…どんな手を使った?」

「ハンジ…すまない お前から預かった3人を
…死なせてしまった」
「いや 全部じゃねぇ
その親玉辺りとエレン ヒストリアはまだ別の場所にいる
早いとこ見つけねぇと この革命も頓挫しちまう…」

 

 

第62話 罪


「血縁関係か…その血にネタか仕掛けがあるってのか?」
「……わかった その礼拝堂を目指すぞ」

 

 

第63話 鎖


「わかったか?切り裂きケニーだ
奴がいれば それが一番の障害になる
脅威の度合いで言えば…敵に俺がいると思え
イヤ…あの武器がある分 俺よりも厄介だ」
「悪いな…奴のフルネームを知ったのも昨日が初めてだ
ケニー・『アッカーマン』って名前らしいが…お前の親戚だったりしてな」
「お前…ある時 突然 力に目覚めたような瞬間を経験したことがあるか」
「ケニー・アッカーマンにもその瞬間があったそうだ
ある時…ある瞬間に 突然バカみてぇな力が体中から湧いてきて…
何をどうすればいいかわかるんだ…
その瞬間が 俺にもあった」

 

 

第64話 歓迎会


「わざわざ寄り道して手土産用意した甲斐があればいいがな」
「そうか…それでお前ら…
手を汚す覚悟の方はどうだ?
…良さそうだな」

「24 38 32 敵数35!!手前の柱の天井あたりに固まっている!1
作戦続行!!すべての敵を!ここで叩く!!」

アルミン!!ハンジを任せた!!残りで敵を追う!!」
(クソッ!!まだ奴がいる どこだ ケニー…)

 

 

第66話 願い


「鍵をよこせ」
「急げコニー」
「イヤ…その前に 天井が崩落する」

「毎度お前にばかり……すまなく思うが
エレン 好きな方を選べ」

 

 

第67話 オルブト区外壁


「よくやった」

「硬質化……ってヤツだろ
お前を巨人から切り離しても…この巨人は消えてねぇ
…結構なことじゃねぇか」
リヴァイ 結構なことじゃねぇか


「イヤ‥…まだ他の場所にあるかもしれない
この瓶の中身を取り入れたお前は――
これまでどうしてもできなかった硬質化の力を使って…
天井を支え崩落を防ぎ 俺達を熱と岩盤から守った――
お前にそんな教養があるとは思えねぇが…
お前は一瞬でこれだけの建物を発想し生み出した
…まったくデタラメだが あの壁も実際にこうして建ったんだろう
つまりこれで ウォール・マリアの穴を塞ぐことが可能になった
敵も味方も大勢死んで さんざん遠回りした…不細工な格好だったが
俺達は無様にも この到達点に辿り着いた…」

「そうだな…まずはここを出てからだ
それにしてもお前…ひでぇ面してるぞ」

「あの巨人を追うぞ
周囲には中央憲兵が潜んでいるかもしれん 警戒しろ」

「そうみてぇだな
人間に戻ったロッド・レイスを拘束し初代王の洗脳を解く
これに成功すりゃ人類が助かる道は見えてくると…
そして お前はそうなる覚悟はできていると言いたいんだな」
「少しはマシになってきたな」

「!」
「エルヴィンか?」
「ハンジのみ 負傷だ」
「エレンの「叫び」は効いてねぇ…報告事はごまんとあるが――」
「ロッド・レイスだ お前の意見を聞かねぇとなぁ…団長」

「オイ ヒストリア
お前は戦闘に参加できない
安全な場所で待機だと命令されたはずだ
そりゃ何のつもりだ?」
「…あ?」
「……あぁ…クソ 時間がねぇ
来るぞ」

 

 

第68話 壁の王


「当たり前だ……
壁上からの射角にしたって大してうなじに当ってねぇじゃねぇか
どうなってる?」
「ああ…そりゃあ重々承知している
なんせ今回も俺ら調査兵団の作戦は博打しかねぇからな
お前の思い着くものはすべてそれだ」
「セミの小便よか効いてるようだ」

「クソッ
まずいな 風向きが変わった」

「下がってろ駐屯兵団
後は俺達が引き受ける」

『口の中に火薬ぶち込んで あわよくば うなじごと吹っ飛ばそうってことか?』
『確かにあの高熱なら起爆装置が無くても勝手に燃えて爆発するだろう
……巨人が都合よく口をアホみてぇに開けといてくれればな』

 

 
第69話 友人


『死んでる』
『……』
『…リヴァイ…
ただのリヴァイ』

「ケニー」
「俺達と戦ってたあんたの仲間は皆潰れちまってるぞ 残ったのはあんただけか?」
「報告だ
ここは俺だけでいい」
「大ヤケドにその出血
あんたはもう助からねぇな」
「それを打つ時間も体力も今よりかはあったはずだ
なぜやらなかった?」
「…あんたが座して死を待つわけがねぇよ
もっとましな言い訳はなかったのか?」
「は?」
「ケニー 知っていることをすべて話せ!初代王は なぜ人類の存続を望まない!?」
「俺の姓もアッカーマンらしいな?あんた… 本当は…母さんの何だ?」
「あの時… 何で…俺から去って行った?」
「…ケニー」

「お前ら
ありがとうな」
リヴァイ ありがとうな


 

第70話 いつか見た夢


「…いえ何も
おっしゃる通りかと」

「…任務なら命令すればいい
なぜそんなことを聞く?」

「お前の夢ってのが叶ったら…
その後はどうする?」
「そうか わかった 了解だ」

 

 

第71話 傍観者

 

「あんたを最後に見たのは確か 5年前だったか…

あんたも…その…変わったな…」 

 

「…よせ ハンジ」

 

 

第72話 奪還作戦の夜

 

「ウォール・マリアを奪還した後はどうする?何より防衛策の確立が先だと思うが…」
「…お前がそこまで生きてるかわからねぇから聞いてんだぜ?その体はもう以前のようには動かせねぇ…
さしずめ巨人の格好のエサだ
現場の指揮はハンジに託せ
お荷物抱えんのはまっぴらだ お前はここで果報を待て
連中には俺がそうゴネたと説明する…イヤ 実際そうするつもりだ
それでいいな?」
「そうだ 作戦は失敗するかもしれねぇ
その上お前がくだばったら後がねぇ
お前は椅子に座って頭を動かすだけで十分だ
巨人にとっちゃ それが一番迷惑な話で
人類にとっちゃ それが一番いい選択のハズだ」
「オイオイオイオイ
待て待て これ以上 俺に建て前を使うなら お前の両脚の骨を折る
ちゃんと後で繋がりやすいようにしてみせる
だがウォール・マリア奪還作戦は 確実にお留守番しねぇとな
しばらくは便所に行くのも苦労するぜ?」
「それが…そんなに大事か?てめぇの脚より?」
「人類の勝利より?」
「……そうか…」
「エルヴィン…
お前の判断を信じよう」

「…お前ら全員はしゃぎすぎだ
もう寝ろ」
「…あと掃除しろ」

「勝手を言いやがる」

 

第73話 はじまりの街


「麓は まだか?夜が明けちまうぞ」

「止まるな!!外門を目指せ!!

「ここは敵の懐の中ってわけだ …だが」

 

 

第74話 作戦成功条件


「まだだ
ヤツらが健在なら 何度塞いでも壁は破壊される
わかってるな?
ライナーやベルトルトら すべての敵を殺しきるまで ウォール・マリア奪還作戦は完了しない」

「クソッ!!」
「あと一歩…

 

 

第75話 二つの戦局


「エルヴィン 鎧が登ってくる」

「やっと何か喋る気になったか…先に朝食を済ませるべきだった」

「……俺にエレンではなく馬を守れと?」
「……了解した
さっき 鎧のガキ一匹殺せなかった失態は…そいつの首で埋め合わせるとしよう」

 

 

第76話 雷槍


「小せぇのをさっさと片付けろ!!『獣の巨人』が動く前にだ!!損害は許さん!!一人も死ぬな!!」
「クソ…うんざりだ
弱ぇ奴はすぐ死ぬ
雑魚は嫌いだ」

 

 

第79話 完全試合


「あぁ…どうにも臆病なんだろうな
そもそも タマが付いてねぇって話だ」

リヴァイ タマが付いてねぇって話だ
「クソ…」
(さっきの爆発… あいつらはどうなってる…
樽に入ったベルトルトが投げ込まれたが すぐには爆発しなかった
ハンジ達は上手くかわしたのか…?
…とにかく俺も早くそっちに――)
「クソ!!お前ら――!!」
「ッ…!!」
「巨人から投石だ!!全員馬を連れて壁側に後退しろ!!」
「オイ 立て!!死にてぇか!?」
「…… 状況は?」
「壁の向こう側には逃げられそうにないのか?」
「ハンジ達はどうなっている?エレンは無事か?」
「エルヴィン… おしまいだ… 何か… 策はあるか?」

 

 

第80話 名もなき戦士


「オイ… あれはエレンか?…壁の上まで吹っ飛ばされたってわけか…
『超大型巨人(ヤツ)』に」

「獣は ここらにアタリをつけたみてぇだな
ここもすぐに蜂の巣になる
エルヴィン…反撃の手数が何も残されてねぇって言うんなら敗走の準備をするぞ…
あそこで伸びてるエレンを起こしてこい
そのエレンにお前と何人かを乗せて逃げろ
少しでも生存者を残す」

「新兵とハンジ達の生き残りが馬で一斉に散らばり…帰路を目指すのはどうだ?

それを囮にしてお前らを乗せたエレンが駆け抜ける」
「俺は獣の相手だ 奴を引きつけて」
「だろうな だが…お前とエレンが生きて帰ればまだ望みはある」
「大敗北だ
正直言って…俺はもう誰も生きて帰れないとすら思っている…」
「…あるのか?」
「なぜそれをすぐに言わない?…なぜクソみてぇな面して黙っている?」
「…は?」
「お前はよく戦った
おかげで俺達はここまで辿り着くことができた…俺は選ぶぞ
夢を諦めて死んでくれ
新兵達を地獄に導け
『獣の巨人』は俺が仕留める」

(…何?
俺だけ立体起動で獣に接近しろと!?獣の周りは更地だぞ!?利用できるような木も葉もねぇ!!)

 

 

第81話 約束


「さっきはずいぶんと楽しそうだったな
もっと楽しんでくれよ」
「巨人化直後…
体を激しく損傷し 回復に手一杯な内は巨人化できない
そうだったよな?」
「オイ 返事をしろよ 失礼な奴だな…」
(こいつは まだ 殺せない――
誰か……生きてる奴は いねぇのか?瀕死でもいい
まだ息さえあれば
この注射を使って巨人にする
そいつに こいつを食わせて『獣の巨人』の力を奪う――
誰か…一人だけ生き返らせることが――)
(!?ッ)
「オイ…
…どこに行く 止まれ
まだお前には用が…」
「待てよ…俺はあいつに誓ったんだ…
必ずお前を殺すと…
俺は―― 誓った!!」

 

 

第82話 勇者


「今のでガスが完全に切れた
奴を追う ガスと刃すべてよこせ」
「急げ!!」


「…あぁ」

「…まだ息がある
まだ…生きてる
この注射はエルヴィンに打つ」
「俺は人類を救える方を生かす」

 

 

第84話 白夜


「時間が無い 邪魔をするな」
「エレン 私情を捨てろ」
「エルヴィンが生きている
その可能性が頭にあったからだ」
「その通りだが ここにエルヴィンが現れた以上 エルヴィンに使う」
「…ッ!!」
「お前らもわかっているハズだ
エルヴィンの力無しに人類は巨人に勝てないと」

「ッ…!!」

「ハンジ!!」

「全員ここから離れろ!!ここで確実にベルトルトをエルヴィンに食わせる!!

「どいつもこいつも…
ガキみてぇに わめき散らしやがって…」
「!!」
「…エルヴィン?」

「…こいつを 許してやってくれないか?こいつは悪魔になるしかなかった
それを望んだのは俺達だ…
その上…一度は地獄から解放されたこいつを…再び地獄に呼び戻そうとした…
お前と同じだ
だがもう…休ませてやらねぇと…
エルヴィン…獣を仕留める約束だが…まだ先になりそうだ」
「…そうか」
 

 

第85話 地下室


「起きたか」
「だろうな」
「エレン ありのままを話せ」

「どうだ?わかったかアルミン」

「チッ」
「ありのままを話せと言っただろうが
少なくとも…お前の仲良し二人はそう思わなかったようだぞ?俺に抵抗し 刃傷沙汰に及ぶほどな」
「…… だがな
最終的にお前を選んだのは俺だ
いや…俺の私情でエルヴィンの死に場所をここに決めちまったんだ」
「勘違いするな お前じゃエルヴィンの代わりには なれねぇ
だが…お前はお前で 人には無い力を持ってることも確かだ
いいか?誰も後悔させるな
俺も こいつらも
誰も――
お前自身も 後悔させるな
それが お前の使命だ」

「開けろ」
「? 早くしろ」
「どけ 俺が開ける」

「まぁ…中央憲兵に見られて困るようなもんは一見しただけじゃわかんねぇだろうな」
「…オイ突っ立ってんじゃねぇぞガキ共
エルヴィンの勘はそう外れねぇよ」

「よく見ろ 二重底だ」
「俺達の探し物はこれらしい」

 

 

第89話 会議

 

「もういいだろハンジ…

こいつは15だぞ?『そういう時期』は誰にでもある」

「出ろ」

「終わりだ

10日分の罰なら 今ハンジが与えた」

「形だけの懲罰でも 組織に示しをつけるのは大事だ

たとえ9人の組織でもな

かと言って時と場合を考えなくてもいいってことはない」

「要は兵団はお前らを罰してる余裕も無いってことだ」

 

 

第90話 壁の向こう側へ

 

「……

あぁ…今度は調査兵団を担いで記事を書くといい」

 

「オイ ハンジ

毒かもしれねぇから触るんじゃねぇ」

毒かもしれねぇから触るんじゃねぇ リヴァイ

 

 

 

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