ペン・シャープナー | 『走る編集ライター』トレーニング日記

『走る編集ライター』トレーニング日記

フリーランスの編集ライター、目指せ日本選手権三段跳び8位入賞!

自分の影を見ながら走るとリズムがよくなる。自分の影の動きは、当然だけど、自分の体の動きとピタリと一致している。その影の動きを見ながら走ると、体の動きが影の動きに同調しているように錯覚し、次第にリズムが生まれてくるのだ。同調しているように錯覚し…というか、実際に同調しているのだけれど(なんか面倒くさい説明、笑)。

ややこしいことは抜きにして、影を見ながらだと単純に走りやすい。頭で描いているイメージ上の走りを、影が見事に実演してくれているというか。影の動きにつられて体が動く、というか。いや正確にいえば、自分の体が動いているから、影も動いているのだけれど(アカン、やっぱり説明するほどややこしい、笑)。

影が自分の動きをリードしてくれるように、本業の文章のほうでも、自分の筆さばきをリードしてくれる仕掛けはないか。書けないときほどそう願う。

* * *

ペン・シャープナーという言葉がある。直訳(?)すると、「ペン先を鋭くさせるもの」という意味。これを自分勝手に要約すると、「リズムよく原稿を書き出すため、前もって読むお気に入りの文章」のこと。

「この文章を読めば脳が不思議と研ぎ澄まされて、スルスルとペンが走り出す」――。ライターであれば誰でもひとつやふたつはそんなお気に入りの文章を持っているはず。

僕もいくつか持っている。そのなかのひとつは…なんと自分の文章だ。良し悪しは別にして、自分で書いた文章は、自分が心地よいリズムで書いている。だから自分の文章を読むとリズムが生まれ、次第に「なんか書けそう」という気になってくるのだ。

ノンフィクション作家の野村進さんは著書『調べる技術・書く技術』(講談社現代新書)で、仕事に取り掛かる前の〝集中の儀式〟のひとつとして、このペン・シャープナーを紹介されている。

原稿を書くために集中するのは、けっこうしんどい。そのとき、お気に入りの文章、つまりペン・シャープナーを何気なく読むことで脳がシャープになり、何の迷いもなく書き始めることができたりする。


このペン・シャープナー、ランニングでいう影の役割と似ているかもしれない。


影武者のごとく、だれかが勝手に文章を書いてくれたらいいけれど。そういうわけにはいかないか。