皆様こんにちは。
5/10のリリース日が決まった後で話が前後しますので、開発経過を深掘りしながらなるべく一気に更新したいと思いますので宜しくお願い致します。※ここから長文失礼致します。
XSR125の車体を見た時、YZF-R125(MT-125)/YZF-R15とは車両の持つコンセプトが全く違う事からXSR125の車体にマッチしそうなショートオーバルサイレンサーを採用する事に決めました。
ですが。。。その構想はショートゆえにサイレンサー容量が小さい事から、最初に試作したサイレンサーから音量オーバーとなり、開発当初から既に危険信号が。。。(笑)
これはYZF-R125の開発の際のプロトタイプ(初期段階)のエキパイになりますが、触媒はエンジン下に配置しています。(まずはこのエキパイで開発スタートです。)
で、YZF-R125・MT-125/YZF-R15の最終仕様(製品仕様)がコチラになります。
ベンチテストを重ねていく中で、エキパイ管長や触媒位置が若干変更となりましたが、パワーカーブにも満足で上手く仕上がったと思います。
触媒はここです。試作初期よりは少し後方になりましたがエンジン下に配置しています。
触媒自体は消音目的では無いものの、装着位置次第では排気干渉を利用して消音機能に貢献させる事も可能で、触媒の位置次第で良くも悪くも性能面にも影響してくるので、ベンチテストでの結果から私は総合的に判断をする事にしていますが、これはあくまでも排ガス数値に影響が無い場合の話です。
現在に限った事ではないですが性能を担保する上で、排ガス浄化性能も含めてマフラー開発にはシャーシダイナモが必要で、その結果を踏まえて走行テストを行ない、マフラー開発を煮詰めるといった感じです。
そしていざテスト。サイレンサー容量の大きいラウンドタイプやSS-OVALタイプでは管長的にベストではありましたが、ショートオーバルでのベンチテストでは。。。
こんな悲惨なパワーグラフに。。。(笑)
ラウンドやSS-OVALタイプに比べて矢印部分の美味しいところが削られていますし、音量もこの時点でまだオーバーしてる状態です。。。
因みにこれでも最初のもっとひどかったパワーグラフからは改善してるのですが。。。
という事でベンチテスト結果から、触媒をセンターパイプ側に移動して削ぎ落とされたパワーを改善すべく、作業開始となりました。
触媒位置を後ろに持っていけたのは、エンジン下の触媒で排ガス数値が規定値CO:0.5に対してCO:0.1以下だった事から、そのマージンで触媒位置を後方に持っていけると判断したからです。
少しでもサイレンサー(内部構造)に近くなる事で消音性能にも有利に働かす事が出来る筈!です。
その結果がコチラ。
サイレンサー構造も小変更、音量も規制値内に入りその点まずは一安心。
それでも6,500rpm~8,000rpmまでは思う様に改善出来ず、先程の矢印の部分も削がれたままです。
今回開発して分かった事としてYZF-R15(国内仕様)の場合、比較的簡単にパワーが改善出来ます。
何をやっても綺麗なパワーカーブを描くというか、マフラー屋さんなら持ってるノウハウだけでそこそこしっかりしたパワーカーブが作れるのに対して、YZF-R125やXSR125のエンジンの場合、より良いパワー特性を引き出す事は本当にすごく苦労します。
これは有名各社さん一致の意見で、私も情報交換しながら「互いに苦労してるなぁ・・・」という事がヒシヒシ伝わって来ました。
たまに言われますが、シャーシダイナモがあれば簡単という事ではないんですよね。。。(笑)
私にMotoGP車両を与えられても速く走れないどころか恐らく大怪我すると思いますが(笑)、同じくシャーシダイナモがあっても結果を検証する能力が求められる仕事なので、機械があればという話ではないんですよね。。。
という事で作業はまだまだ続きます。
一度、排ガス性能を考えずにパワー特性に特化して管長を変更していきます。その結果がコチラ。
少しその兆しが見えて来ました。ノーマルより落ち込んでいた中速域も何とか見栄えして来ました。
一つ前のグラフもそうですが、黒丸の明らかにノーマルよりパワーが出てるこの部分、これこそが開発作業のモチベーションです。あとはパズルの組み合わせの筈。。。(笑)
YZF-R125の開発経緯から考えもおそらく方向は間違えていない筈!です。。。まぁそう思わないと心が折れますしね。。。そんな感じでいつも作業を進めてます(笑)
そうして更に仕様変更、見た目はほぼ変わらないので画像では判断つかないと思いますが。。。
そのグラフがコチラ。
ラウンド、SS-OVALタイプには少し見劣りしますが、コンパクトスリムなショートオーバルサイレンサー仕様としては上出来ですし、昔の雑誌みたいに各社一斉のパワーガチンコ対決企画があってもそこそこ自信を持って参加出来るでしょう。(そんな企画、二度とないでしょうけど笑)
そして1月のJMCA認証試験に。
その結果、加速走行騒音値:79dBに対して79.3dBで不合格。。。
帰阪中の車内ではその対策で頭が一杯でしたが2月の試験に向けては、見た目のビジュアルはなるべく変更せず、そのままいける方法を模索します。
その答えがレゾネーターでした。
音量を抑制出来る事は過去に採用したCB250R用フルエキゾーストで実証済みですが、装着位置と適切な容量次第でパワー特性にも良い結果が得られます。
この時はポジティブに、「更にパワー特性改善の機会が出来た」と素直に喜んでましたが、一筋縄ではなかなかいかず。。。
という事で続きは次回のブログで。
それでは皆様、良い週末をお迎え下さいませ。