2022YZF-R25 マフラー開発 スリップオン各種ベンチテスト結果です。 | ダブルアールズマフラー開発 日々の出来事。

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皆様こんにちは。

 

昨日JMCA事務局より、明日のJMCA認証試験は雨天の可能性が高く、翌日の木曜日にJMCA認証試験を開催するとの連絡が来ました。

 

という事で今週木曜日は予定通りYZF-R25スリップオンのJMCA認証試験を受験してくる予定にしています。

来月7月のJMCA認証試験はCBR400R(車両型式 8BL-NC56)スリップオンを受験予定で、コチラの方は現行の追加適合試験となり、7月を逃すと次回は9月の試験まで日が空きますので、しっかり準備して試験を合格して来たいと考えています。

 

さてさてYZF-R25です。

まずは先週の続きでノーマルのパワーグラフをあらためて見てみたいと思います。

 

薄い青色線が前モデル(2BK-RG43J)で濃い緑線が2022モデル(8BK-RG74J)です。

2018モデルと同じ様なパワーカーブを描いている事は前回も書きましたが、2022モデルは純正エキパイに大きな触媒が2個入っており、条件的には2018モデルと比べて悪くなる可能性があったにも関わらず、低速域から高速域まで完璧な迄に同じパワーカーブを描いている事は流石で見事です。

 

日頃、シャーシダイナモを駆使してマフラー開発する方ならイメージ出来ると思うんですが、触媒の容量(セル数)を増やしたり、更に触媒を増設するとなると、中速域とピークパワー発生手前の高速域のパワーが結構、削げ落とされたりするんですよね。

※ あくまでも純正ベースでなく、アフターマフラー開発の場合においてのお話ですけど。

 

例えばこんな感じです。

このグラフの場合、赤線が触媒を増設したり、セル数(部屋の数)を増やした時に見られるイメージのパワーカーブです。(分かり易くする為に中速域は少し大げさ表現です。)

 

一般の方々は、触媒(抵抗)の影響でピークパワーが下がる様にイメージされる方も少なくないと思いますが、実際はピークパワーが変わる事は余りなくて、かなりの確立で赤線の様なパワーグラフになったりするんですよね。(以外でしょ?)

 

なのでマフラー開発時は、マイナスになった赤斜線部分や高速域を改善するべく、ここからパイプ径や管長を変更しながら調整していく事になります。

何が言いたいのかというと復唱になりますが、メーカーの技術って凄いなぁと2022モデルを見て思う訳です、はい。

 

さて前置きが長くなりましたので(笑)、いよいよスリップオンのベンチテストです。

と、その前に前型式用のバッフルレス・ストレート構造の物でベンチテストを行い、検証もしておりますが、パワーグラフを撮り損ねましたので、気になる方はBEAMS開発ブログでご確認下さいませ。(共同作業の良いところでありますね 笑)

 

では、まずはラウンドタイプから。

 

前型式用のバッフルレス仕様に見えますが、インナーパイプはサイレンサー内部に仕込んでいます。

その結果がコチラ。

 

薄い線がノーマルで赤線がラウンドタイプスリップオンです。

バッフルレス仕様より更に良くなり、音質も爆音から低音の効いたサウンドで、近接は91~92dBを想定しています。

加速走行騒音も余裕を持たせているつもりですが、試験に予備用にと考えていたサイレンサーより、結果としてこの仕様の方がグラフが良かったので、これでJMCA認証試験を受験予定です。

 

続いてSS-OVALタイプです。

 

コチラは前型式と仕様は全く同じです。

後ろから見るとこんな感じです。

出口から少し内側に見えるインナーパイプの口径違いをベンチテスト用に用意しましたが、結果このままの仕様が良いパワーグラフを描いてくれました。その結果がコチラ。

 

薄い線がノーマルで青線がSS-OVALタイプです。

ノーマルのパワーカーブ全く下回る事無く、力強いパワーカーブなのが確認出来ると思います。

前回ブログで、ピークパワーが発生するまでの時間軸の事を書きましたが、ノーマルに比べて明らかに早く吹け上がってくれました。

このSS-OVALタイプですが、前型式用の近接は90dBでしたが、新型式用はこちらも近接は91~92dBを想定しています。

因みに今回の3種類のスリップオンの近接想定は全て91~92dB想定で製作しています。

 

良い流れのままショートオーバルタイプのベンチテストに入ります。

 

コチラのショートオーバルは前型式用よりサイレンサーシェル自体の長さも変わり、出口付近は前型式用と同じ感じではありますがラウンドタイプ同様にインナーパイプをサイレンサー内部に仕込んでいます。

 

薄い線がノーマルで緑線がショートオーバルとなります。

ショートオーバルも文句なしです。

 

因みに3種類のタイプのグラフを重ねてみるとこんな感じです。

ほとんど同じパワーカーブとなりましたね(笑)

 

2018モデル用純正マフラーより2022モデル用純正マフラーの出来が、マフラー開発担当の私の目からするとパワー的にも優れたマフラーに見えていたので、もしかしたらスリップオンではパワーが上がりにくいかな?とも考えていましたが、結果的にはパワーカーブ的にもピークに到達する時間軸的にも、そして重低音の効いたサウンド的にも満足のいく結果となって良かったです。

 

という事で近畿は本日から梅雨入りとなるみたいですが、明後日のJMCA認証試験、頑張って合格して来ます。

 

それでは今日はこの辺りで。