皆様こんにちは。
私は一足早く先週末から出社していますが、弊社は本日から始動となります。
あらためて皆様、今年も宜しくお願い申し上げます。
先週土曜日、TT45相馬選手から電話があり、午後からYZF-R15を相馬選手と一緒にシャーシダイナモに掛けてそのポテンシャルの確認作業を行いました。
トップの写真ですが、バイクはサーキット仕様にしており、ステップやサスペンションはレース仕様に変更されていますが、写真の通りマフラーはノーマルでエンジンもノーマルのままです。
年末の挨拶に相馬選手が来社した時に、練習用で使用しているYZF-R15の話になり、逆車で登録台数も少ない事からパーツが無く困っているという話になり、その中で台湾製マフラーを手に入れたとの話があり、シャーシダイナモで検証してみようという話になっていました。
私的にはYZF-R15に関して「まだ国内で何処もベンチテストをした事が無い」というその一点に興味を惹かれた感じですが(笑)、去年同時期にGSX-R150を購入しマフラー開発をした事もあり、ライバル車(?)に興味もあったので協力させて頂く事になりました。
今回のテスト項目は。。。
① ノーマル特性の確認
② エアクリーナーを外した状態での確認。
③ 台湾製マフラーでの特性確認
この三つです。
ノーマルの確認は当然ですが、②のエアクリーナーを外した状態の確認というのは、現在この仕様でサーキットを走っており、アクセルレスポンスやパワー感が明らかにこちらが良くて、シフトアップポイントが早くなり、明らかに乗り味も良くなったとの事でその検証ですね。
③は台湾マフラーの実力検証です。
私自身もこれまで台湾に足を運び、複数の台湾有名メーカーにお邪魔し、ベンチテストを行っている現場を何回も見て来ましたが、その実力はなかなかのレベルです。
果たしてこのマフラーはどうなんでしょうか?
それではいきなりですが、まずはYZF-R15のノーマルデータから。
青線がノーマル、そして赤線がエアクリーナーを外した時のデータです。
ライダーの評価としてはかなり変わったという事でしたが、グラフにすると確かにアエクリーナーを外した時の方が良いグラフで、実際にベンチテストをしていても明らかにピックアップも良く、グラフにすると大差が出ませんでしたが、それ以上に差を感じました。
因みにYZF-R15のスペックはというと、カタログデータでは【14.2kw(19.3ps)/10,000rpm】という事でしたが、今回のテストでは【14.3kw(19.4ps)】という、何とカタログデータを凌ぐ結果となりました。
※ ダイナモ上での最高馬力発生回転数は9,964rpmでした。
次にエアクリーナーを外した仕様では【14.4kw(19.5ps)】でピークこそコンマ1馬力ですが、平均では0.5馬力近くパワーアップしており、ピークパワーを発生するまでの時間軸に置き直すと。。。
点線がその時間を表す線になりますが、確かに到達時間が0.5秒程早い事が確認出来ます。
グラフにすると差が無いように見えるんですけど、これ結構凄い事です。
因みに気になる方もいらっしゃると思いますが、GSX-R150のノーマルでは【14.1kw(19.17PS)/10,500rpm】という事でしたが、弊社で測定したデータは【13.7KW(18.6ps)】でしたので、YZF-R15の方がよい結果となりましたね。
しかしながら同じ150ccクラスとはいえ、GSX-R150は排気量が147.3ccに対してYZF-R15は155.1ccと8ccの差があり、このクラスの8ccは大きく、結果、アドバンテージとして反映されたのでは?と思います。
さていよいよマフラーを換えてのテストです。
因みにマフラー交換及び仕様変更は相馬選手のお仕事です。
私は指示を出しているだけです(笑)
台湾マフラーの写真はNGで申し訳ないのですが、ノーマルグラフを見て改めてマフラー寸法を見てみると。。。私的には根本な寸法に少し違和感を感じました。
「おそらくパワーが出ないと思うよ」と相馬選手に話しながらベンチテスト。その結果がこちら。
全体的にはノーマル(黒線)と同じでピークパワー的には0.1ps上がりましたがピークを超したところのレブ特性及びパワー(伸び)は0.4ps落ちる結果となりました。
エキパイ部からテーパーで太くなって。。。みたいな感じでそれっぽくは出来ていましたが。。。
「何でやる前から分るんですか?」と相馬選手に質問されましたが、一応これが本職なんで当然ながら分かったりするんです、はい(笑)
それならばと、相馬選手に「マフラーを改造していい」と了解を貰った上で、時間もあったのでこのマフラーをモディファイする事にしました。
エキパイの管長がデタラメな感じなので、とりあえず簡単に出来る範囲でピークパワーだけ上げてみる事にしました。それがコチラ。
高回転域が明らかに良くなり、ピークパワー以降もかなり良くなりましたね。
先にやるべく作業と、どこの部分のパワーがどう変わるかを伝えてからベンチテストしたので相馬選手は少し感動してくれました(笑)
まぐれと思われるのも癪なので(笑)、さらに「この部分から切って管長・パイプ径を変えると(上図の)ノーマル(黒線)に負けている部分と高速域がもう少し良くなるから」と伝え仕様を変更。
もう、寸法だけ変更しているのでステーが取れず、ウエスでサイレンサーとステップを固定してのテストです(笑) そして出たグラフがコチラ。
分りにくいかも知れませんが、7,000rpm~9,000rpm辺りが改善し、ピークパワーもさらに上がり、結果としてノーマル比で0.8psアップまで持ってきました。
しかしながらこのマフラーのエキパイではこれが限界っぽい事と時間もギリギリだった事もあってここでタイムアップ。
他社マフラーでの検証でしたが、結果としてGSX-R150よりもYZF-R15の方がマフラーを変更しただけではパワー変化が少ないのかな?という印象でしたね。
今のところこんな認識ではあります↓↓
『ノーマルならYZF-R15、マフラー変えたらGSX-R150の方が良さそう。』って感じです。
マフラーをぶった切って相馬選手には悪い事をしたので(笑)、落ち着いたらレース仕様マフラーを製作してあげる事にしました(笑)
もっと低中速域からパワーアップが出来そうだと今のところ考えていますけどね。。。
まぁ、どうなるかは本格的に作業を行った時にまたブログで紹介したいと思います。
それでは。