「この人、ちょっと苦手だな……」
と思っているのに、
なぜか、
その人に限って
よく話しかけられる。
頼みごとをされる。
気づけば、
相手のお気に入りのような
存在になっている。
「私はこんなに
距離を取りたいのに、
なんで……?」
そんな経験、 ありませんか?
心理カウンセラー/公認心理師の
古庄由佳です。
「なぜか苦手な人に好かれる」
「距離を取りたい人に限って、
どんどん距離を縮められる」
そんなことが起きる理由は
もちろんひとつではありません。
ただ、もしかすると、
自分でも気づかないうちに
「苦手」という気持ちとは
反対のサインを相手に送っている……ということが
関係しているかもしれません。
苦手な人なのに、
なぜか笑顔で接してしまう
たとえば、
本当は、
「この人、苦手だな」
「ちょっと腹が立つな」
と思っているのに、
その人を目の前にすると、
なぜかニコニコしている。
むしろ、
いつも以上に
感じよく接してしまう。
頼まれたことも
笑顔で引き受けてしまう。
そして、
家に帰ってから
どっと疲れたり、
イライラしたり、
「あんなことまで
引き受けたくなかったのに」
とモヤモヤしたり。
もし心当たりがあるなら、
その「後から出てくる気持ち」が、
自分でも気づいていなかった
本当の気持ちを知る
ヒントになるかもしれません。
自分では、ニコニコしていることにすら気づいていないことも
実は、
かつての私自身にも
自分ではまったく
気づいていなかったことが
ありました。
ある時、
「どうしてそんなに
ニコニコしているの?」
と聞かれて、
私はびっくり。
だって、
「ニコニコしよう」
なんて、
まったく思って
いませんでしたから。
言われて初めて、
「え? 私、そんなに
ニコニコしてたんだ」
と気づきました。
もしかすると、
「八方美人だよね」
と言われて、
「そんなつもり
ないんだけどな……」
と思ったことがある方も
いるかもしれませんね。
もちろん、
笑顔でいることも、
苦手な人に
感じよく接することも、
それ自体は
悪いことではありません。
でも、
本当は嫌だったり、
腹が立っていたり、
相手から
距離を取りたかったりする時まで、
無意識に
笑顔になってしまう。
そんなことが
あるとしたら。
その笑顔は、
自分を守るために
いつの間にか身につけてきた
反応なのかもしれません。
嫌いなのに親切にしてしまう「反動形成」とは?
私たちの心には、
自分が傷ついたり
苦しくなったりすることから、
自分を守ろうとする
働きがあります。
たとえば、
「人を嫌ってはいけない」
「誰とでも仲良くしなくちゃ」
「嫌な顔をしたら 嫌われてしまう」
「相手を怒らせたら怖い」
そんな思いが
心のどこかにあると、
「嫌い」
「腹が立つ」
「離れたい」
という気持ちとは
反対に、
ニコニコしたり、
必要以上に
親切にしたりすることがあります。
心理学では、
受け入れにくい感情とは
反対の態度や行動が現れることを、
「反動形成」
と呼ぶことがあります。
自分の心を守るために働く
「防衛機制」のひとつです。
「嫌いな相手なのに、
必要以上に親切にする」
というのも、
反動形成として
説明されることのある例です。
もちろん、
苦手な人に
感じよく接しているからといって、
すべてが
反動形成というわけではありません。
仕事上、
丁寧に接しているだけかもしれませんし、
その場を穏やかにするために
自分で選んでいることもあります。
大切なのは、
「私って反動形成してるんだ!」
と決めつけることではなく、
「私は本当は
どう感じているんだろう?」
と、
自分の内側にも
関心を向けてみることなのです。
なぜ、苦手な人に限って好かれてしまうの?
ここで、
ちょっと困ったことが
起きる場合があります。
こちらは、
「本当は距離を取りたい」
と思っていても、
相手には
その気持ちは見えません。
むしろ相手からすると、
いつも笑顔で接してくれる。
親切にしてくれる。
頼みごとも
快く引き受けてくれる。
そんなふうに
見えているかもしれません。
そうすると、
「この人は
私のことを好意的に
思ってくれているんだな」
「この人には
話しかけやすいな」
「この人なら
頼みやすいな」
と感じて、
自然とさらに
距離が近くなることもあります。
そうすると、
こちらは、
ますます苦しくなる。
なのに、
近づかれるとまた
ニコニコしてしまう。
そんな循環が
起きてしまうことも
あるんですよね。
「どうして私は、
苦手な人に限って
好かれるんだろう?」
と思っていたけれど、
もしかすると、
自分でも気づかないところで
「近づいても大丈夫ですよ」
というサインを
送っていたのかもしれません。
「気づいてもやめられない」そんな時は?
ここまで読んで、
「あ、私、
本当は嫌なのに
笑っていたのかも」
と気づいて
「じゃあ今度からは、
無理に笑わなくてもいいかな」
と、
思えたら
それはもちろんいいのですが。
ただ、
もしその反応が、
長い間、
あなたの心を守るために
身につけてきた
ものなのだとしたら。
無理やり 変えようとすることで
かえって しんどくなって
しまうこともあるかもしれません。
「気づいたら
またやってる」
「私って、
どうしていつもこうなの?」
と、
今度はそんな自分を
責めてしまうかもしれません。
だからこそ、
すぐに変えられない時には、
「私には、
こうしてしまう理由が
何かあるのかもしれないな」
と、
もう少し自分の気持ちを
丁寧に見てあげることが
とっても大切です。
本当は、その人とどのくらいの距離でいたい?
もし
「苦手な人に限って、
なぜか距離を縮められる」
「嫌いな人なのに、
なぜか愛想よくしてしまう」
ということに
心当たりがあったら。
こんなふうに
自分に聞いてみてください。
「本当は私、
この人とどのくらいの距離で
いたいんだろう?」
そして、
「その距離を取ろうとすると、
どんな気持ちに なるんだろう?」
さらに、
「私は、 どんな自分を
ダメだと思っているんだろう?」
と。
たとえば、
「断ったら、
冷たい人だと思われそう」
と感じるなら、
もしかすると、
「人の期待に応えない私はダメ」
という思いが
どこかにあるのかもしれません。
「人を嫌うなんて
性格が悪い」
と思うなら、
「誰かを嫌いになる私」を
自分自身が
許せずにいるのかもしれません。
すぐに答えが
わからなくても大丈夫です。
「どうして私って
いつもこうなんだろう?」
と責めるかわりに、
「私には、
こうしてしまう理由が
何かあるのかもしれないな」
と、
自分のことを
少しずつ知ろうとしてみる。
苦手だと感じる自分にも「居場所」を作ってあげる
私は、
こうして
どんな自分にも
少しずつ居場所を作っていくことを、
「心に安心の土台を育てる」
と表現しています。
嫌だと感じる私も。
誰かを苦手だと感じる私も。
腹が立っている私も。
距離を取りたい私も。
「そんな私も
ここにいていいよ」
と認めてあげられる
安心を育てていく。
苦手だと思うことと、
相手を傷つけることは
別のことです。
自分の気持ちを
自分自身が
受け止められるようになると、
いつもの反応に
自動的に流される
だけではなく、
「じゃあ、
私はどうしたい?」
と、
自分に戻って
選べることも
少しずつ増えていきます。
そうすると
自分も気持ちも大切にしながら
人との程よい距離感を
取りやすくなっていくのです。
というわけで。
「苦手な人に限って
なぜか距離を縮められる」
そんな自分を見つけたら、
まずは、
「本当はどう感じている?」
と、
自分の声に
耳を傾けるところから
始めてみてくださいね。
あなたの心に、
ふかふかの安心が
育っていきますように。

心理カウンセラー/公認心理師の
古庄由佳でした。
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