祖父母の家では、昔から犬や猫をたくさん飼っていたようで、
母が子どもの頃には、トータルで10匹いた時期もあったのだそう。
コメ子が子どもの頃には、
2匹の犬が、祖父母と一緒に暮らしていました。
どちらも、大人しいミックスの女の子。
詳しい歳はわからないけれど、かなり落ち着きのある、ベテランの風格は感じられました。
歳がわからない理由は、
保護犬だったから。
どんな辛い経験をしていたのかはわからないけれど、救ってくれた祖父母に対する絶対的な信頼は、それは凄いものでした。
おやつは、かろうじて手から食べてくれたけれど、結局コメ子にも最後まで心を開いてくれなかったように思います。
そんな祖父母の家に、ある時、新入りの子犬がやってきました。
コロコロした元気いっぱいの柴犬の女の子。
愛くるしい表情と動きで、家族全員の視線を独り占めする、まさに一家のアイドル的存在。
そんなアイドル犬がコメ子も大好きだったのですが、ある日抱き抱えようとした時、子どものコメ子に不安を感じたのか、突如腕の中で大きく暴れ、引っ掻かれた瞬間、焦ったコメ子は反射的に子犬を支えていた両手を離してしまいました。
子犬は泣き声と共に、足元に落下。
幸い怪我もなく、よかったのですが、その時の祖父の顔を忘れることができず、今でも記憶に強く残っています。
コメ子に怒ることはしなかった祖父でしたが、表情は見たことがないくらい真剣で怖く感じて。
手は絶対離してはいけなかったのだと、痛感した瞬間でした。
自分の都合で弱いもの(立場)の手を離してはいけない。
大切にしたいと思う、人生の指針のひとつとなりました。
そして、子どもの頃、たくさん遊んだ犬との思い出は、今の"犬好き"に間違いなく繋がっていると、
思っています。
コメ子。
よろしければ、、
「祖父とコメ子の物語」バックナンバー
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▶︎プロローグ
▶︎Letter 1 祖父と歯みがき
▶︎Letter 2 祖父と外反母趾
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