名古屋城天守閣の「木造建て替え」 についての市民アンケートの結果が発表され、
木造化は望むものの時期はもう少し先という意見が多数を占めたようです。
4月の超不自然(P波がない)直下型地震で無残な姿を晒した熊本城の映像がアンケート結果に影響を及ぼしたことは想像に固くありません。
直下型であれば、鉄筋コンクリートであろうが木造であろうが同じであり、スカイツリーでもひっくり返ります。
建て替えに関して、まだ充分存在価値があるどころか、
文化財的価値のある現在の天守閣を壊すと言う精神衛生上好ましくないステップを踏むことが大問題と思われます。
そこで「移築」という工程を取り入れることにより、
万人が納得できる結果を得ることが出来ると信じます。
二通りしか方法がないと思い込んでいる時に登場するアイディアという点では、米田良三氏の「法隆寺移築説」に似ています。
法隆寺が新築か再建かという思考停止状態にあった時、「太宰府にあった観世音寺を移築した」とする説が唱えられたのです。
以下のアイディアについては姫路城と安土城の例が参考になります。
まず、現在のコンクリート天守閣を補修し、可能な限り長く(40年近く?)維持し、
石垣は低くて構いませんので、愛知万博記念公園あたりに木造の天守閣を新築します。
これで林業が再興され、日本建築の技が継承されます。
そして、コンクリート天守閣が維持出来なくなったところで木造天守を本来の位置に移築するのです。
その際、狂いの生じたところは修正できますので、より完成度は高まります。
姫路城は高校時代の修学旅行の時に解体修理中であり、つい最近も修理が行われました。
一人の人生の間に2度も大修理を行って良好な状態を維持していることに注目したいのです。
木造であれば、それで安泰というわけではないのです。
扱いが厄介と言う点でコンクリート建築神話は完全に終わっています。
安土城祉に行くと博物館があり、安土城の上部2層分の実物大の模型 が展示されています。
セビリア万博(1992)の際に出展されていたものを移築したのです。
美しく再現されており一見の価値があります。
以上の方法ですと、総ての人が納得できると思いますが、
手ぐすね引いて待っていた解体屋さんだけが割を食います。
同じ外観の天守閣が併存することが評判となり、名古屋を訪れる観光客の増加が見込まれるかもしれません。