奈良国立文化財研究所埋蔵文化財センター発掘技術研究
室長のおかげで「法隆寺移築説」に大きな弾みがつきま
した。
ちょっとした判断のミスで心柱を切ってしまうなんて
「飛んで火にいる夏の虫」を思わせます。
『続 法隆寺は移築された』の中で米田良三氏は次のよう
に述べています。
法隆寺移築説は内容が極端なためか、これまで西岡常一
氏以外に賛同者が現れなかった。
が、突然に強力な味方が現れ、嬉しい驚きである。
2001年2月21日、朝日新聞は奈良文化財研究所の
発表を報じた。
法隆寺の五重塔の心柱は594年に伐採されたヒノキが
使われたこと、科学的な年輪年代法により年代が明らか
になったとした。
公式には五重塔の建立は711年頃の新築であり、
100年以上前に伐採した柱を再利用したのか、
また長期貯蔵したのかと識者に問うた形の報道である。
594年に伐採された用材は筑紫の観世音寺で607年
に心柱として建立され、672年以降に解体されて、
斑鳩に運ばれ、710年頃移築されたのであり矛盾はな
い。
心柱が594年に伐採された事実は、疑問を持つ人に
法隆寺移築説を受け入れさせる力になるだろう。