一人練習の効用 | レスリングを考える

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スパーリングはもちろんのこと、打ち込みも含めてレスリングの練習は2人でやるのが基本です。1対1の競技なのですから、それは当たり前です。
しかし、打撃系の格闘技にはシャドーという1人の練習方法があります。鏡を見ながら実践の真似をして形を作っていく練習です。これを利用して最近はボクササイズなんていうのも流行っています。
 よくよく考えてみるとレスリングにはこのシャドー練習が一般的でありません。これは、打撃が「当てること」を基本としている技術なのに対して、レスリングは相手をコントロールする技術だから、そもそも相手にかけなくては練習になりにくいからといえるでしょう。
 

 しかし、度々紹介している世界8度優勝のジョン・スミスはシャドーレスリングを推奨しているそうです。実際彼の練習方法をビデオで見てみると、一人でも出来そうな反復練習が出てきます。
 私はロー・シングルのタックルを身に付けるとき、徹底してシャドーをしました。自分の膝で前にツーと滑るだけなんですが、それで動きのイメージを作っていきました。形が出来てきたら、今度は具体的な相手をイメージし、その人の動きを前提にしながら崩したりしながら入っていきます。そして、そのイメージで実際に相手と打ち込んだりスパーをしたりするとかなり上達していきました。
 

 この練習の何が一番良かったかというと、私は相手に気を使ってしまうタイプなので、それをしなくて良いということがあります。余計な配慮をせずに納得いくまでやりたいことを練習することが出来ます。また、相手は自分の想定した通りに動いてくれるとは限りませんが、一人ならばイメージの中で想定しながらパターンを作っていく練習がしやすいということもあります。そして、鏡を見ながら出来るので自分をその場で客観的に捉えられるということもあります。
 無論、それだけで練習が成り立つわけはないですが、試行錯誤したり、ひたすら同じ反復をしていく練習としては非常に有効に思います。