現代のレスリングとはどういう競技なのか | レスリングを考える

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レスリングという競技の本質を端的に捉えるとすれば、裸の個人同士が一対一で組み合い、相手の動きをコントロールしながら寝技に持ち込んで、最終的に相手の両肩を地面に付けて動けなくすることを目的とする競技、となるでしょう。

 重要なことは相手を傷つけずに動けなくする技術であるという点です。殴る、蹴る、関節を極める、首を絞める、これらの技術は極論からいえば相手を傷つける、場合によっては、殺してしまうことを前提としています。それらを排除することは格闘術として、近代スポーツとして、文化としてどのような意味を持っているのか、非常に興味深いテーマですが、残念ながら私はその知見を持ち合わせていません。どこかで機会があれば勉強してみます。ちなみにフリースタイルのルーツであるイギリスのキャッチ・アズ・キャッチ・キャンは関節ありのルールでしたから、それがどのような歴史的過程の中で変わってきたのかもしっかり研究しなければならない点でしょう。


 レスリングは柔道とよく比較されますが、明らかに違う点は胴衣のあるなしよりも立ち技の捉え方にあると思います。柔道は投げることを重視しています。ということは裏を返せば「一本で投げたら終わり」です。柔道において立ち技の絶対性は間違いなくあります。

対してレスリングの立ち技はあくまで寝技へ移行するための技術に過ぎません。ですから、タックルで倒すことが大切なのではなく、倒した後にいかに寝技で有利な状態になっているかが重要なわけです。レスラーとしての強さはそこの攻防にあると言っても過言ではないでしょう。


 ただ、商業主義オリンピックの影響をもろに受け、面白い競技への脱皮を図らなければならない現状においては、立ち技重視の状況は割と強いように思われます。さらに追い打ちをかけたのは試合時間の大幅な短縮です。そのような中では、どうしても立ち技中心で点を取っていくパターンが多くなってしまうでしょう。まして、フォールはより難しくなってしまいます。


 整理すれば、現在のレスリングは、本質の「フォールを取る」競技に加えて、立ち技の技術もかなり重視された「点取りゲーム」の要素が強まっているというのが実状でしょう。


細かいルールについてはまた別の機会にまとめていきたいと思います。