大学別過去問分析 分析方法について | 大学受験の世界史のフォーラム ― 東大・一橋・外語大・早慶など大学入試の世界史のために ―

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受験生が過去問の研究や学習に利用できるよう,東大や一橋大などの大学別の過去問を精密・詳細に分析したデータを,グラフやリストとともに紹介していきます。


以下,対象・区分・集計などの分析方法の詳細について説明しておきます。なお,この詳細を読まなくても各記事が理解できないわけではないので,特に分析方法が気にならず内容を早く確認したい方は,それぞれの分析結果の記事をご覧ください。


対象とする過去問


東大


東大は,現在と基本的に同じ形式になった1985年を起点として今年まで,つまり1985~2018年の全ての問題を対象とします

問題形式は,大論述小論述語句・選択,の3つの形式に分けて分析を行います。


一橋


一橋大は,1980年頃から大きな傾向・形式に変化がないため,1980~2018年の問題を対象とします

一橋の場合はほとんどすべての問題が論述問題なのでこれが主な対象になりますが,語句問題も分析の対象にします。


時代・地域の区分


区分の方針


歴史学における時代や地域の区分法は,一定しておらず多種多様で,学者によっても書籍によっても区分の仕方が異なっています。これは,時代や地域の区分法が世界史をどうとらえるかという本質的な問題と密接に関わっているからです。


しかし,今回のように過去問を分析するという目的においては,世界史のとらえ方といったことはあまり重要ではなく,出題の範囲や傾向を把握するための枠組みとして有用かどうかの方が重要になります。そこで,ここでは分類法についての議論には深入りすることなく,厳密に言えば不正確な点や重複する点があることは承知のうえで,標準的かつ簡潔で学習者にとってわかりやすい枠組みを利用することにしようと思います。


時代区分


時代については,基本的には古代」・「中世」・「近世」・「近代」・「現代」の5分法をとり,それに加えてこの分類法にはなじまない前近代の地域史のために「前近代の地域史」という枠組みを別に用意して必要に応じて使用します


なお,この分類法では,特に近代と現代の境界をどこに置くか,各地域(特にヨーロッパ以外)の歴史はどこで区切るかなど,意見が割れているのですが,ここでは便宜上,以下のように取り決めておきます。


  • 近代」と「現代」の境界は,第一次世界大戦の開始(1914年)とする。
  • ヨーロッパ史では,「古代」:ギリシア・ローマ,「中世」:ローマ帝国の崩壊~15世紀,「近世」:16世紀~18世紀前半,「近代」:18世紀後半~20世紀初め,「現代」:第一次世界大戦~現在,とする。(※「ヨーロッパ」という概念が形成されたのは中世のことであり,ギリシア・ローマはヨーロッパという区分にはおさまらないが,便宜上ここにあてはめておく)
  • 西アジア史では,「古代」:古代オリエント,「中世」:イスラーム世界の形成と発展,「近世」:オスマン帝国(18世紀前半まで)・サファヴィー朝など,とする。以後はヨーロッパと共通。
  • 南アジア史では,「古代」:インダス文明~ヴァルダナ朝,「中世」:ラージプート時代~デリー・スルタン朝,「近世」:ムガル帝国(18世紀初めまで),とする。以後はヨーロッパと共通。
  • 東アジア史では,「古代」:殷~漢,「中世」;魏晋南北朝~元,「近世」:明~清代前半,「近代」:清代後半,「現代」:中華民国~中華人民共和国とする。
  • 近代より前の中央アジア・東南アジア・ラテンアメリカ・アフリカは5分法での分類になじまないので,「前近代の地域史」として分類する。近代以降はヨーロッパと共通。

地域区分


地域については,まず大きくヨーロッパ」・「アジア」・「アメリカ」・「アフリカ」に分けておきます


さらにそれぞれの内部で分ける場合には,ヨーロッパは「西ヨーロッパ」と「東ヨーロッパアジアは「西アジア」・「南アジア」・「東アジア」・「東南アジア」・「中央アジアアメリカは「北米」・「中南米などに分けます。アフリカはその内部で分けるほどの出題量がありませんが,必要な場合には東西南北などによって分けます。


要素分析


一つの問題に対して一つの時代あるいは地域のラベルを付けて分類することは,わかりやすく,リストの作成などの際には適しています。


しかし,実際には複数の範囲を含んだ問題が多く存在しており,それを一つの時代あるいは地域としてカウントしてしまうと,その分類先の範囲が過大評価される一方で,他の範囲が過小評価される結果になり,出題範囲を分析するうえでは不正確な結果が出てしまいます。


そこで,出題範囲の分析においては,それぞれの問題が含む各時代・各地域の割合を分析して,その割合を反映させたかたちで集計を行います。たとえば,ある一つの問題の時代を分析する際,古代・中世が半分ずつ含まれているとしたら,古代0.5,中世0.5とカウントし,また地域を分析する際,ヨーロッパとアジアが3:1の比率で含まれているならば,ヨーロッパ0.75,アジア0.25とカウントするわけです。


もちろん各時代・各地域の割合を決定する際にはどうしても多少の推定・主観が入ってしまいますが,それでも複数の要素のうちの一つ以外を切り捨てる手法よりははるかに正確な結果が得られるはずです。


集計・統計


集計・統計は,対象となるデータがあまりに膨大で,また複雑かつ多くの分析の手法を使う関係で,手計算はもちろんのこと表計算ソフトでもとても手に負えるような代物ではなくなったため,プログラミングを利用することで処理しています


今回は,PythonJavaScriptVisual Basicの3つのプログラミング言語を状況に応じて使い分けながら,処理しています(メインはPython)。このため集計・統計の作業は合理化・精密化されており,かなりの精度になっています。


もっとも,計算の前提・基礎となる元のデータの入力については合理化するにも限界があって,1問ずつ自分が人力で問題を見て解答を出してから時代・地域などの属性や割合を決めていく必要があり,これがとにかく大変でした。ですが,こちらも入力後のチェックにおいてプログラミングを最大限活用しており,入力のミスがないよう期しています。