<ルシタニア号事件>
「ルシタニア号事件」は,1915年5月,アイルランド沖において,イギリス客船ルシタニア号がドイツの潜水艦によって撃沈され,アメリカ人128人を含む1200人ほどの乗員・乗客が犠牲となった事件である。
第一次世界大戦と海上の戦い
1914年夏に開始された第一次世界大戦は,緒戦における激しい衝突にもかかわらず決着はつかず,各国の想定していた短期決戦の予想は外れて長期戦に突入した。
戦時下において,海上の覇権を握るイギリスは,北海において海上封鎖を実施し,ドイツと海外との通商を妨害した。一方,ドイツは「Uボート」と称される潜水艦を投入し,イギリス船に対する偵察と攻撃を行って対抗をはかった。
「ルシタニア号事件」
1915年2月,ドイツは,北海などイギリス周辺の海域を交戦水域に指定し,ここを航行する船に対して無警告での攻撃を行う作戦を開始した。
そして,同年5月,アメリカからイギリスへと向かうイギリスの豪華客船ルシタニア号がアイルランドの沖を航行している際,ドイツの潜水艦は魚雷による攻撃を行って,撃沈させた。これにより,アメリカ人128人を含む1200人あまりの乗員・乗客が犠牲となった。
この「ルシタニア号事件」は,多数の民間人が犠牲になったことで世界に大きな衝撃を与え,特にアメリカでは反ドイツ感情を沸騰させた。この事件によって,大戦において中立を維持していたアメリカは反ドイツの姿勢へと傾き,連合国に接近していくことになった。
