「国破れて山河在り,城春にして草木深し」(杜甫) | 大学受験の世界史のフォーラム ― 東大・一橋・外語大・早慶など大学入試の世界史のために ―

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杜甫

<杜甫>

国破れて山河在り,城春にして草木深し」(「国破山河在,城春草木深」)」は,唐の詩人・杜甫が安史の乱の際に長安において詠んだ詩の一節である。

安史の乱

唐の第6代皇帝・玄宗の治世の前期には,開元の治とも呼ばれる善政が行われ,国内では平和が保たれ,外国との交流はさかんになり,唐朝は大いに繁栄した。

しかし,治世の晩年になると玄宗は楊貴妃を寵愛しその一族を重用するなど政治が乱れていき,そうしたなか,755年に節度使であった安禄山とその部下史思明による安史の乱が起こった。これによって,たちまち天下の太平は破れ,都の長安も反乱軍の手に落ちた。

杜甫

唐の詩人として知られる杜甫は,玄宗の時代に生きた人物である。政治においては不遇で,755年にようやく下級官吏として任官されたが,その直後に安史の乱が勃発することになった。

756年,玄宗の子である粛宗が甘粛省で即位を宣言して唐の再興をはかると,杜甫もそこへ駆けつけようとしたが,その途上で反乱軍に捕えられ,長安において幽囚の身となった。

こうして長安城に幽閉されるなか,翌年春に杜甫がつくったのが五言律詩「春望」である。「国破れて山河在り,城春にして草木深し」という一節は,無常な人の世と変わらぬ自然をうたったものとして特に名高い。

杜甫がうたったように,盛唐の繁栄は,安史の乱によって一瞬で崩れ去ることになった。