ラスコーは,フランス南西部に存在する,後期旧石器時代の遺跡である。
新人
現在の人間と同種の人類である新人(ホモ・サピエンス・サピエンス)は,新生代第4紀の更新世の末期にあたる約4万年前頃に出現した。
新人はアフリカ・ヨーロッパ・アジアの各地に広がったが,ヨーロッパではフランス南西部で人骨が発見されたクロマニョン人が新人の代表として知られている。
クロマニョン人などの新人は,精巧な打製石器や骨角器を製作して使用するなど,道具を利用する技術を高め,狩猟・採集・漁労を発達させて生活を行った。
美術
新人は,生活のための技術だけではなく,彫刻や絵画などの美術表現も発達させた。彼らの残した芸術作品の最高傑作は,フランスのラスコーやスペインのアルタミラを代表とする洞穴美術である。
フランス南西部のラスコーの洞穴絵画は,約2万年前から約1万年前にかけての時期に制作されたと見られる壁画で,洞穴の壁面に,牛や馬などの動物が赤・黄・黒などの色彩によって生き生きと描かれている。
このような洞穴絵画は,新人たちが,宗教的意識にもとづいて,狩猟の成功などの願いを込めてつくった作品であると考えられている。