東大世界史2014年第3問(9) 過去問題・解答・解説 | 大学受験の世界史のフォーラム ― 東大・一橋・外語大・早慶など大学入試の世界史のために ―

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東大東京大学)2014年第3問(9)の過去問題と,東大世界史講師(管理人)が作成した解答解説です。

問題

アメリカ合衆国のローズヴェルト大統領は,世界恐慌に対処し,景気を回復させるためにニューディール政策を実施した。政府が経済に積極的に介入・統制するために制定された法律を2つ記しなさい。












解答

農業調整法全国産業復興法

※このほか,ワグナー法全国労働関係法)なども解答として認められるかもしれないが,上の2つが最も代表的かつ題意に沿っていて無難。

解説

農業調整法全国産業復興法は,1933年,アメリカ大統領フランクリン=ローズヴェルトによってニューディール政策が展開されるなかで,政府による産業への積極的な介入・調整を可能にすることを目的として制定された法律である。

1929年からの世界恐慌が続くなか,1933年に大統領に就任したフランクリン=ローズヴェルトは,それまで資本主義経済において当然の原理とされていた自由放任政策に代えて,政府による経済への積極的な介入と調整を行っていくことを決意し,ニューディールと呼ばれる一連の経済政策を打ち出した。このような政府による経済への介入・調整の代表例が,農業調整法や全国産業復興法である。

農業調整法は,農産物の生産を調整・抑制することで価格の低落を防ぐことを狙った法律である。全国産業復興法は,企業に対して生産や価格についての協定を認めて利潤を確保させる一方で,労働者に対しては団結権や団体交渉権を認めることで適正な賃金を確保できるようにし,これによって生産力と購買力の両方を回復させることを目指した法律である。

ニューディール政策の結果,恐慌前の水準までは達しないながらも一定の成果は現れ,アメリカ経済は回復の方向へと向かった。また,国家が経済への積極的な介入・調整を行う体制は,第二次世界大戦後に広まっていく,大きな政府・福祉国家の国家モデルへとつながることにもなった。