潮時
中国から陸路で東南アジアのラオスに入った。
国境に近づくにつれ、気候が暖かくなり、人々の顔も少し黒くなり、中国なのに東南アジアになっていくのを少しずつ感じた。
国境がさらに近くなると、ラオス独特の生い茂った深い緑の山々が目に入ってきた。
これまでいくつもの国境を陸路で越えてきた。
いつからか国境を越えるときは、そのグラデーションを楽しむようになっていた。
国境なんて地図上で見ればたかが線にしか過ぎず、大地はどこまでも続いているのに、国が変わると雰囲気が変わる。
人々の顔も、言葉も、服装も。
それがとても不思議で面白い。
国があるから人がいるのではなく、人がいるから国があって、
土地はただ単に土地であって、住む人がいて、初めてその土地は国となるんだなぁと、
そんなことを思うようになった。
日本は島国で、まして道民はあまり道外には出ないので(少なくとも私はね!)県をまたぐ機会すら少ない。
だから余計に国をまたぐのは楽しい。
私、イミグレ運いいし。
係りの人、これまでどの国もみんな優しかったし!
前にも少し書いたけど、ラオスに入ってから激しい脱力感に見舞われた。
カラダの奥底から湧き出てくる脱力感。
どうしたものか…!
中国では何度も警察に捕まって、警察にビクビクしながら旅をしていたから、いつもどこかで緊張していた部分もあるのかもしれない。
東南アジアの優しい雰囲気に安心しきったのか。
旅の終わりが見えてきたからか。
いろんなことが入り混じってそうなってしまったのだろうと思う。
そんな脱力感をなんとか持ちこたえながら、ラオスでは村めぐりをした。
緑豊かな山々に囲まれた田んぼが広がるのどかな風景。
それを眺めながら、朝から日が暮れるまでひたすら村を巡った。
チャリンコパラリラしながら。
のどかで素朴な感じがとてもよかった。
やはりカラダを動かすのはいい。
まずは、ルアンナムターという町を拠点にして回った。
アスファルトの大きい道路を進むとダートな小さな横道があり、そこを進んでいくと村がある。
そういう村をいくつも訪れた。
どこの村ものどかな雰囲気で、時間がゆったりと流れているのを感じた。
そして、どこの村を訪れても子どもがたくさんいた。
1日にこんなにたくさんの子どもを目にする機会もそうないだろうというくらいいた。
だからほとんど子どもの写真ばかり
ココナッ中~♡
ロシア人もびっくり 猫を帽子に
この跳躍力
このおじさんを見て、ドラゴンボールのエンディング『ロマンティックあげるよ』のブルマを思い出した。
(わかる?わかる!?)
外が雨で、頬杖をつきながら窓辺からその様子を眺めているときもよくブルマを思い出す。(わかる!!?)
というか、ブルマを意識してわざと頬杖つく。
ルアンナムターの村めぐりでは、民族衣装を着た人はほとんど見なかった。
民族衣装としては、これまで見てきたものに比べると控えめな感じ。
滝があるということで、ダートな道を4kmとけっこう遠かったのだけど、せっかくなので疲れた体にムチ打って一応行ってみた。
ミルクティーのような色をした残念な滝がそこにはあって、入場料(30円くらい)を払ってまで見る価値はとても見出せなかった。
ダートな道を自転車でパラリラしまくって、お尻はすっかりグロッキーン!
さすがにこの日は実によく眠れた。
次は、ムアンシンというなんだか心配になりそうなネーミングの町を拠点に村を巡った。
ムアンシンの村巡りは楽しかった。
民族衣装を着た人ともめぐり合えたし、人も優しかった。
降り注ぐ太陽の光、どこまでも広がる青空と白い雲、緑の木々が揺れる景色を眺めながらのサイクリングは気持ちが良かった。
また小さなダートな横道に入る。
アカ族、モン族、ヤオ族の村をそれぞれ訪れた。
中でも最初に訪れたヤオ族の村がとても良かった。
村巡りで初めて本格的な民族衣装着用者に出会った。
ターバンの刺繍がとてもかわいい。
カラフルなのもかわいいけど、黒もシックでいいな…♡
村では主に、年配の女性がその衣装に身を包んでいた。
他の人たちはいたって普通の服装。
ひとつ民家にお邪魔させてもらった。
お母さんにおばあちゃん、かわいい子どもが2人いた。
子どもはやっぱり普通の服。
インドでも、普段サリーを着ているのは年配の人だけだったし、日本で着物を着ている人を見かけたとしても年配の人が多い。
きっと、特別なとき以外着ないのだろうと思っていたら、そこのお母さんが子どもの民族衣装を出してきて、子どもに着せてくれた。
なんともありがたい。
そして、
キュンキュンキュンキュンキュ~ン…♡
か…かか…かわいい…!!
なにこの帽子のポンポンは…!
なにこのハニカミは…!
そのかわいさには、完膚無きまでにノックアウトされた。
その家族にお礼を言い、再び村を歩いた。
今度は刺繍をしていたおばちゃん3人組に手招きをされたのでノコノコ行ってみた。
おばちゃんとは言葉は全然通じないけど、ジェスチャーや表情でコミュニケーションを取るのが楽しかった。
老眼で細かい作業がつらいというようなことを言っていた。
おばちゃんはほんわかした雰囲気でかわいらしかったので写真を撮らせてよ~ってお願いしたら、照れてた。
なるほど確かに細かいねこれは。
でも、色と模様がかわいい。
これは一体何に使い、どのくらいの時間を要したのかは、質問してみたけどうまく伝わらなくて不明。
こういう青を中心とした色使いが特徴的なのね。
また村を歩く。
次の日おなか壊さないか心配したけど、自分を過信した。
食堂にはイケメン君がいた
この子は制服を着崩しそうなタイプだなと、勝手ながら思った。
制服は巻きスカート。
ラオスの女性は、子どもから大人までこのような巻きスカートをはいている人が多い。
続いて訪れたのがアカ族の村。
さきほどのヤオ族のすぐお隣の村だ。
たいした距離も離れていないのになぜここまで違う。
ヤオ族はほのぼのとしていて人も優しくいい感じだったけど、ここはなかなかスレていた。
子どもは勝手に人の自転車の後ろに乗ってこようとするわ、
のっけから手のひらをこちらに差出し、ギブミーマネー&ペンアタック!
汚いミサンガをしきりに売りつけてこようとしてきたり。
うおおおお!なんだここは。
ちょうど行った日が、なにかお祝い事でもあったのか、村の中心部ではどんちゃん騒ぎが繰り広げられていた。
適当に村を歩いていると学校発見。
子どもたちがずっとついてきていたけど、学校に入った途端それぞれ遊び始め、マネーペンミサンガ攻撃はなくなった。
この日は学校が休みだったらしい。
学校をあとにしたら再び子どもたちがついて来て、ギブミー攻撃は再開された。
アカ族の村では民族衣装に身をまとった人を2~3人ほど見かけたくらいだった。
続いて、モン族の村へ。
モン族も、民族衣装の人は一人も見なかったけど、子どもがたくさんいた。
村に行くと、子どもがたくさん寄ってきてくれる。
口紅とか、アイシャドウとか、まだ小学生くらいなのに化粧をしている女の子がけっこういた。
うむ。おじいちゃんもかわいい。
ベビーブーム?
これが普通なのか。
よく見るとまだあどけなさが残るおそらく15~17歳くらいの若いお母さんもたくさん見かけた。
すっかり日が暮れるまで村めぐりをして、お尻はまたもやスパーキーン!だった。
村めぐりはとても楽しかったし、村に住む人々やその生活、民族衣装も見られて充実していた。
だけど、感じ方がいつもと何か違う。
同時にずっと、自分の中にどこか冷めたようなものがあるのも感じていた。
せっかくいいものを見て、素晴らしい体験ができているものわかっている。
わかってはいるけど、もうこの旅で何かに興味を持つことやどこかに行きたいという感情は沸いてこない。
そう気がついた。
ああ、本当に旅が終わるときがきたんだなぁ
もう帰ろう。
この旅に出て、初めてそう思った。
そんな村巡りだった。
ファンタスティーック!
タイのチェンマイ。
コムローイというイベントの情報をキャッチし、画像をググってみるとまあステキ!!
見たことないファンタスティックな写真が出てくる出てくる!
こりゃあ生で見るしかあるねぇなぁ、ということで祭りに参戦してきた。
コムローイは、願いを込めながらランタンを天へと飛ばすという、年に一度もなんともロマンティーな祭り。
ランタンを生で見たことのない私。
ランタンって、どんな感じのものなんだろう。
どんな風に飛ぶんだろう。
ふわ~っといっせいに飛ばしたらどんなことになるんだろう…!
すべてが未知すぎて、私の心の中はドキドキとざわめいていた。
…
……
待ちきれない…!
それに、写真で見た、ランタンがいっせいにぶわ~っと浮かび上がるあの瞬間をしかとこの目ン玉に焼き付けたい…!
衝動。
ランタンに火を灯した。
係りの人に止められてしまったけど、もう火をつけてしまったのでどうしようもなかった。
ランタンは、ふわ~っと浮かび、ゆったりと揺らめきながら夜空へと舞い上がっていった。
フライングしたランタンは一番のりで夜空へと向かった。
あのふわふわとしたランタンのかわいらしい動きが忘れられない。
ちなみに舞い上がる寸前の状態
火を灯すことにより、熱の力でふくらみ上に舞い上がろうとする
花火の合図と共に、ランタンがいっせいにふわ~っとぶわ~っと浮かび上がった。
夜空はたちまちファンタスティックな世界へと早変わり。
やはり生で見るのは違う。
あまりの美しさに息を飲み、あまりに幻想的で自分が今どこにいるのかがわからなくなりそうだった。
目の前に広がる光景は、私の想像をはるかにブチ抜いた。
ああ…来てよかったなぁ 噛みしめた。
半紙のような柔らかい紙に竹のような(というか、竹だった?定かではない)骨組み。
周りには木々。
火のついたランタンが木に引っかかっていたり、舞っている最中に燃え出すランタンもあった。
人々が密集する中、こんなに燃えやすいものが多いのに、こんなにダイナミックに火を使うこの祭りにあっぱれ。
日本じゃまずムリでしょう。
でも火って、使い方を間違わなければとてもキレイね。
帰りは、強風雷豪雨に華麗に見舞われた。
しばらく忘れていたけど、私雨女だった。
雨女の力を遺憾なく発揮したなぁとしみじみ感じた。
自然の為すことだから決して私のせいではないけど、会場に来ていた皆々様には申し訳ない気持ちになった。
コムローイではもちろん写真は撮ったのだけど、いかんせん、ほれ、カメラがアレなもんで、もう写ってくれるだけでもありがとうございますというくらいのレベルだからブレまくりのボケまくり。
その中でカメラちゃんがふんばってくれて少しはマシなものも撮れたので、それを載せてしめます。
コムローイの美しさを汚してしまってたらごめんちゃーい!
キレイなものを見たけりゃググッてみて~
それか来年生でみてみて~
必見っす!!!
これが精一杯。
乱心
気の抜けた炭酸病とぬかしておきながら、旅が終わってしまうのは虚無感に包まれる。
とうとう昨日の真夜中、ようやく観念してなかなか買えずにいた帰りの航空券を買った。
あと、6日。
あと6日で帰国だ。
別に最後だからって気張る必要もないし、
何か特別なことをしようとも思わない。
全然思わない。
ただフツーに過ごして、フツーに日本に帰れればそれでいい。
それがいいんだ。
それが、旅の終わりに望むことだ。
…すいません。
コレ、写真屋さんでひとりでやりました。
30テイクに及ぶ華麗な連続ジャンプに若干引きギミックな写真屋さん。
途中から入ってきたおかまちゃんたちはちょっと笑ってた。
ついでにタンクトップの文字にも注目してみて欲しい。
ズバリ、ロックンロールアニマル。
ロケローなTシャツ屋さんで見つけた。
最近のトラブルにドンピシャリ。
ふさわしすぎて即買い。
そんでもって個人的に一文字変えてノックンロールアニマルにしてやりたい。
そんなロケローな気分。
なにはともあれ、
12月15日の深夜にバンコクから日本に帰ります。
実はその日は旅に出てからちょうど800日なんだ~
799日で帰るのもハンパだよなぁと思って、ちょっと狙った☝☝☝
今使っている日記帳もちょうど12月15日で終わるし、キリが良い。
旅が終わることに納得しているし、気持ち的にはこれ以上続けるのはとてもムリなのだけど、
でもやっぱりチケットを買ったとき、どうしよう!!!と、なんだか胸が押しつぶされるような、なんとも言えない気持ちになり、
ぎゃおおおおおおおおおおおおおおん!!!!!って乱心して、泣けた。
クリスマスには札幌です。