世界!バンバントラベラー -7ページ目

東チベット・カム地方5 -一寸先は闇-

ビザの再延長をするために、康定(カンディン)という町へ。


ここではビザを翌日発行してくれるということで、やってきた。


わざわざそのためにやって来たのに、いざイミグレオフィスにたどり着くなり突きつけられた一言。


「ビザ延長の紙がない。」


いつ紙が来るのかと尋ねたら、来週。


とどのつまり、ビザの延長は来週までできないということだ。


バカ!!


何のためのイミグレだよ。


ということで、私がかつてジャイ子からビンタをされた町、雅安(ヤーアン)にもオフィスがあるので電話で問い合わせてみると、


「紙がない。」


バカ!!


ということで、楽山という町に急遽行くハメに。


朝起きた時点ではこんなことになるなんて思わなかったものだから。


急いで宿に戻り、急いでパッキング、急いでバスに飛び乗った。


雅安でシェアタクシーに乗り換え、楽山に到着。


楽山ではなかなか宿が見つからず一苦労。


サクッっと書いてるけど、長い1日だった。


楽山のビザは翌日発給だけど、運が悪いことにこの日は金曜日。


土日はオフィスが閉まるので、月曜受け取りとなる。


ガッデム!!!


楽山から成都まではバスで2時間くらい。


やるせないので、成都に戻った。


中国に入ってから5度目の成都。


これまでの最多訪問都市はペルーのリマだったけど、これで並んだ。


やっぱりやるせないので、成都に戻ったときに伊勢丹の「とんかつ和幸」でとんかつを食した。


やだ…とんかつってこんなにおいしかったっけ…?


和幸さんあっぱれ!!噛みしめた。


楽山でビザを無事に受け取り、6度目の成都に戻り、次の日再び東チベットへと向かった。


次の目的地は、阿坝(アバ)という町。


どうやら行った時期がまずかったようだ。


バスで向かっている途中、検問がいつもより多いように感じた。


いくつか検問があったにも関わらず、スルスルスル~っとすり抜け、アバに到着。


次の日、ゴンパを見るべく町のメインストリートを歩いた。


様子がおかしい。


町中は軍人、警察だらけだ。


中国では明日から5年に一度の共産党大会が始まるのだ。


だからってなんでこんなに軍人、警察がいるのか。


これまでたくさんの町を訪れてきたけど、これは普通ではない。


とりあえず朝から何も食べていなかったので、食堂に入った。


注文の際、ついでに国籍を問われて、日本人だと答える。


料理の仕込をしながら食堂のおっちゃんが訝しげにこちらをチラチラ見てくる。


その時は、「あら、このおとっつぁんも反日?」と、その程度にしか思っていなかった。


ごはんを食べていたら、外には警官5~6人程いるのが見えた。


ああ…なんだってわざわざこの食堂に入ってしまったのか。


すっかり警察恐怖症になってしまった私は、怯えながら中華料理を味わっていた。


しばらくして食堂のおっちゃんが外に出た。


警官が食堂に入ってきた。


「私?ねえ私狙い?」と内心思いながらも、何食わぬ顔で麺をすする。


スッ…


警察手帳を差し出され、パスポートを見せるように命ぜられた。


やっぱりね。お客さん他にいないもの。


次から次へと警官が入ってきて3~4人に取り囲まれ、ジ・エンド。


ああ…おっちゃんに密告されてしまったのね。


でもまあ食べ終わる頃合を見計らってくれたのがおっちゃんなりの優しさ?


「腹減ってるヤツには食わせてやる」それが料理人としての彼のポリシー?


とにもかくにも、パトカーで署まで連行された。


ああ、とうとうパトカーにまで乗っちゃったよ。かーさん。


南アで遭難疑惑をかけられたとき以来だ。


署ではめずらしく英語が話せる警官がいた。


パスポートのコピーを取られ、職務質問をされ、今すぐにこの町を出るように命ぜられた。


パトカーで宿まで連れて行かれた。


私が泊まっていた宿はチベット人経営。


おばちゃんがとても優しくて親切で、筆談で部屋の値段について教えてくれたり、質問に答えてくれたりした。


その字はとても達筆だった。


宿に着くと警官がおばちゃんに対して語気を荒げてなにやら非難しているように見えた。


おばちゃんもそれに対して、険しい顔で対応。


何を言っているのかはわからなかったけど、きっと外国人旅行者を許可なく泊めたことに対して非難をしているのではないかと思った。


もしかしたら、食堂のおっちゃんも報告をする義務があったのではないか。


それなのに、おばちゃんは泊めてくれた。


にも関わらずあっさりと捕まって、警察を宿にまで連れてきてしまって、本当に申し訳ない。


警官の目を盗み、おばちゃんに謝った。


おばちゃんは笑顔で、「大丈夫よ。気にしないで。」と手のひらをバシっと見せながら力強く言ってくれた。


部屋にまで警官がついてきた。警官が見ている前で急いでパッキング。


一応女子である私はパッキングに少々時間がかかり、警官は退屈そうにしていた。


宿をチェックアウトするとき、警官はおばちゃんに対してまた語気を強めて非難。


ああ…もうやめて。


警官は旅行者である私に話すときは至って普通だったけど、おばちゃんに話すときは高圧的だった。


警官を先に行かせ、私は改めておばちゃんに向き合って自分の精一杯で謝った。


そうしないと気が済まなかった。


おばちゃんはまた「大丈夫よ。」と力強く言ってくれた。


あのあと、あの宿は大丈夫だったのだろうか。


おばちゃんは嫌な目に遭わなかっただろうか。


こんなきな臭い時期に、再びきな臭いエリアに来てしまったことを悔やんだ。


すべては結果論だけど、自分がここに来ることで、こんな形で人に迷惑をかけてしまうことになるなんて、知らなかったとはいえ想像力が足りなかったと思う。


自分ひとりがどうにかなるならともかく、人を巻き込むのは心苦しくて辛い。


バスターミナルに行き、次に行こうとしていた町のバス時刻を調べた。


次の目的地を正直に警察に伝えたところ、問題ないと言われたので向かうことにしたのだ。


ない…!


バスはなかった。


あらかじめ買っておいた明日のバスのチケットは今すぐにこの町を出なければならなくなったのでキャンセルせざるを得ない。


この町を出るにはもうヒッチしかない。


警察に車を拾ってもらって目的地に行くことにした。


けれども再び検問にひっかかり、成都に戻ることを余儀なくされた。


なんでこの先行けないの???


アバの警察からは問題ないって言われたのに。


少し食い下がったけど、「この先の道は悪いのでいけない」と言われた。


他の車は普通に通っているのだから、そんなことあるはずがない。


幼児でも見破れるようなわけのわからないたわ言はやめて欲しい。


警察はとにかく自分の管轄内に外国人旅行者はいれたくないようだ。


そんなに自分の国をよそ者に見られたくないのか?


そんなに見られたくないやましいことがあるのか?


ここは別にパーミッションが必要なエリアでもなんでもない。


あくまで中国の四川省であってチベット自治区ではないのに、おかしくないか?


そんなことをこいつらに言ってもどうにかなるわけでもない。


すぐそこまで言葉が出かかったけど、胸に留めた。


この国は変なのでそんな理屈は通用しない。


それに、正直警察が怖かった。


再びヒッチをすることになり、警官に車を拾ってもらった。


時間も遅かったので成都までたどり着けず、予定外の町で一泊して成都に戻った。


成都7度目という茶番。


この旅で最多訪問都市に君臨した。


こうして、私の東チベット・カム地方の旅は終わった。


東チベット、本当にいろいろあった。


最後の1週間は振り回されっぱなしだった。


なにも見れてない。


思いもよらないことが次々に押し寄せてきて、まさに一寸先は闇な日々。


スムーズに旅ができない。


人は優しいし、景色素晴らしいし、チベット文化も色濃くて、旅をしていてせっかく面白いエリアなのに。


だけどつい最近まで入れなかったというラルンガル、ガンゼ、アチェンガルに行けたからな。


それでいいや。


それほど満足している。


…だけど本当は他の町も見たかった。


いつかまた、ぜひ訪れたいと思う。


旅の終盤でこの地を旅できて本当によかった。


ちなみに東チベットの旅の最後に撮った写真は唯一アバで撮ったチャーハン。

世界!バンバントラベラー-あば

どういうことかしら?


この店のチャーハンが中国で食べた中で一番好みだった。




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東チベット編は、これにて終わりです。


ずいぶんと長くなってしまいました。


ほんの2週間だったけど、東チベットの旅は濃密でした。


内容をうまくまとめられず、記事が長くなってしまった上にわかりにくい部分もあったかと思います。


すみません。


読んでくれてありがとうございます。


これまでブログはさらさらと適当に不定期に更新してきたけど、こんなに時間がかかったのは初めてです。


そのくらいこのエリアでの体験は、いいことも悪いことも含めて衝撃が強すぎて、いろんなことを考えさせられました。


最後に、焼身自殺に遭遇したときの知り合いのブログを貼り付けさせてもらいます。



http://youmetraveling.blog28.fc2.com/blog-entry-282.html



前回も書いたけど、いつの日かこの問題が解決してチベットの人たちが安心して暮らせる日が来て欲しい。


これを読んで改めてそう思いました。

東チベット・カム地方4 -色メガネ-

この1ヶ月ほど、脳裏に焼きついて離れない出来事がある。


ふとした瞬間によくそれを思い出す。


甘孔(ガンゼ)から道孚(ダオフー)という町への移動中にそれは起こった。


朝、ガンゼからダオフーに向かうべく、軽4のシェアタクシーに乗った。


てっきりガンゼからダオフーまでダイレクトで行くのかと思いきや、炉霍(ルーフォー)という町で乗り換えなければならないことが乗車中にわかった。


教えてくれたのは隣に乗り合わせたチベット人の青年だった。


中国語で教えてくれたのだけど、何を言っているのか全くわからず戸惑っていたら、ケータイでわざわざ中国語で文章を打ってくれてやっと意味がわかった。


ああ、なんて優しい。


さらに、その青年もダオフーまで行くという。


おお、そいつは頼もしい。


この青年がいれば安心だ。


移動するときに、そういう頼もしい人がいると本当に心強い。


その青年は友達と2人でそのシェアタクシーに乗っていた。


その友達は私の斜め前に座っていた。


彼のケータイの待ち受けが見えた。


それはタンカを描く彼の姿だった。


「オー!それ、YOU?」と、カタコトの中国語で話しかけてみたら、少しハニカミながらその友達はうなずいた。


後に知ることになる彼の名前はパンツォという。


ガンゼを出発し、ルーフォーまで向かう途中、民族衣装を身にまとった現地のふくよかな夫婦が道端で車を停めた。


彼らもどうやらルーフォーまで行きたいらしかった。


しかしアフリカならともかく、常識的に考えてこの車にこんなに大きな2人が乗るスペースなどない。


一人がせいぜいといったところだ。


ムリムリ!


なんて思っていたら、パンツォが自ら助手席に移動し、すでに助手席に座っていた僧侶と相席をした。


そんな彼の姿を見て、ムリ!ムリムリ!なんて、真っ先に思った自分が恥ずかしくなった。


車は順調に走り、ルーフォーに到着。


そこからダオフー行きに乗り換え。


チベット人の青年2人も一緒だ。


すぐにシェアタクシーが見つかり、出発。


ルーフォーからダオフーまでは1時間半ほどの道のり。


道も舗装されていて、車はスムーズに目的地へと走っていた。


思ったより早く着きそうだと思っていた矢先、途中で警察による検問。


検問はカム地方の旅中何度もあったので、いつもどおりパスポートを見せればいいと思っていたけど、今回は違った。


いつもと少し様子が違う。


助手席に乗っていたパンツォが警官から車を降りるように命ぜられた。


警官はパンツォが車から降りた途端、彼の上腕をわし掴み、力強く引っ張った後、突然頬を殴りつけた。


さらに体を蹴り飛ばし、パンツォは地面に倒れこんだ。


周囲に他の警官もいたのだが、その暴力に加担。


繰り広げられる殴る、蹴るの暴行。


漢民族の警官複数人に殴られるチベット人の青年パンツォ。


パンツォの鼻からは血が流れていた。


一切抵抗することなく、ただただ無抵抗で殴られるままのパンツォ。


突然目の前で起きたその出来事に、驚きのあまり気持ちがついていかなかった。


あのように人が殴られるのを見るのは初めてだったし、そもそも理由がよくわからない。


とにかく、なぜパンツォが殴られなければならないのかということと、怖くてたまらないということ。


私の心は、恐怖と疑問でいっぱいだった。


パンツォが殴られているとき、他の警官が私の乗っていたシェアタクシーまでやってきて、他の乗客に身分証明できるものを見せるように命じてきたので、パスポートを差し出した。


私も日本人だし今は反日ムード。殴られるのではないかと思ったけど、普通に見てすんなりと返してくれた。


パンツォは、署に連行された。


シェアタクシーは彼を残して走り出す。


パンツォはどうなってしまうのかと心配になったが、他の車の邪魔にならないように少し移動しただけだった。


しばらくしてパンツォが戻ってきた。


パンツォは、憤慨して取り乱すわけでもなく冷静だった。


心配そうにパンツォを見ていると、「大丈夫だ」と言って私に笑いかけてきた。


私は力なくうなずくことしかできなかった。


それからシェアタクシーの中で、私はよほど思いつめたような表情を浮かべていたのだろう。


私の隣に座る青年も、「大丈夫だよ。だから中国人は好きではないんだ」と笑いながら励ましてくれた。


助手席に座るパンツォも私の方を振り向いて「大丈夫だよ。」と、また笑いかけてきた。


私はまたうなずく。


こんなにひどい目に遭わされているのに、人に気遣える彼等の優しさに涙が溢れた。


本当はパンツォに「大丈夫?」と話しかけたかったけど、涙を堪えるので精一杯で、一言でも言葉を発したら涙が止まらなくなりそうだったので何も言えなかった。


気丈な彼等の前で泣くのは、情けない気がした。


ダオフーに到着した時、パンツォは宿を案内してくれた。


宿の値段表には600元と目を疑う程の価格が表示されていてたまげていたら、パンツォは自分の身分証を宿の人に見せて、地元民価格で泊まれるように話をつけてくれた。


おかげでホットシャワーが出るきれいな部屋にすんなりとチェックインすることができた。


パンツォと離れるとき、彼のことをこれからも覚えておきたくて、名前を尋ね、自分の精一杯の気持ちをこめてお礼を言った。


私にできるのはそれくらいしかなかった。


あんな目に遭わされた上で、たまたまシェアタクシーに乗り合わせた初めて会った旅行者に対してなぜここまで優しくできるのだろう。


私が彼の立場ならそんなこと到底できそうにない。


そんな彼の計り知れない優しさに胸を打たれた。


その日はもう何かをする気にもなれず、次の日のバスの手配だけして静かに過ごした。


またいろんなことを考えさせられる。


とにかく中国というのは変な国だ。


起こることが極端だ。


パンツォが殴られていたとき、運転手や他の乗客はそんな事が起きたにもかかわらず、動揺するわけでもなく慣れているかのように見えた。


このような出来事は日常茶飯事なのだろう。


こんなことが常に現実に起こっているなんて全然知らなかった。


チベット問題の深刻さを思い知らされる出来事。


ラルンガルで私の知り合いの旅人は、自分の目の前でチベット人が焼身自殺をはかる姿を目撃した。


中国政府に対する抗議のために焼身自殺をはかる人が後を立たない。


それに対しても、周りの人々は慣れているかのようだったという。


これまで、チベット人の優しさに触れて温かい気持ちになったりしたものだから、それが余計に哀しい。


チベット問題に焦点をあてると、漢民族がすごく悪く見えてしまう。


国・人種レベルで見ると、たちまち「偏見」という色メガネをかけながら人を見てしまう。


たしかにどこの国の人は優しい人が多いだとか、あの国の人間は腹立たしいと思うことは、この旅で何度もあった。


だけど、道を尋ねると親切に教えてくれる人もいるし、


めんどくさいだろうに筆談で応じてくれる人もいるし、


商店では私のヘタクソな絵を一生懸命見て私が欲しているものを解読してくれようとしてくれる人もいる。


食堂に入ったら、スタッフのおばちゃんやおねえちゃんの対応が優しかったり可愛かったりするし、


反日的なとっつあんでも根はいい人らしく毎日食べに行ったら挨拶してくれて、ひょっとこみたいな顔して憎めなかったりもする。


もちろん腹立つ人もいるけど、それは何も漢民族に限ったことではない。


チベット人は確かに優しい人が多かったけど、ラルンガルでは警察沙汰の原因となったタクシーの料金でもめたタクシーの兄ちゃんは、チベット人だし。やっぱりあの兄ちゃんのクソ生意気な顔は今でも腹立つし、許せない。


欧米人のあまりに無礼な振る舞いを見て、デスノートに記名をしたくなったり、「クサレ欧米人が…」と思うこともあるし、


中国人の下品な振る舞いを見て、「中国人め…クソアルな。」と、人種でひとくくりにして邪悪なことを思うこともある。


いい人や嫌な人、優しい人や腹立たしい人。


ひとりひとりを見ていくといろんな人がいる。


私は単純な人間なので、誰であれ優しくされたら嬉しいし、冷たくされたら哀しい。


だから私はなに人だとか何族だとか、そういう色メガネをはずして人と接したい。


だけどやっぱり色メガネをはずすのは難しいときもある。


まずは色メガネを自覚しよう。


そしてせめて一個人として人を見るときは色メガネははずそう。


まずはそこから。


そんなふうに思った。


チベット問題、いつの日か解決する日は来るのだろうか。


あんな暴力はなくなってほしい。


東チベットを旅して、チベットの現状を目の当たりにして、そんな日が来るのを願わずにはいられない。

東チベット・カム地方3 -アチェンガル-

ガンゼの町を拠点に日帰りでアチェンガルまで行ってきた。


朝、ガンゼでこんなかわいこちゃんに出会い、
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キュンキュンな幸先いいスタート。


さ、タクシーをチャーターして出発。


このエリアの移動の景色は、あいかわらず素晴らしい。


こんなにきれいで広大で美しくて力強い、そんな景色が拝めるだけでもありがたい。


せっかく車停めてもらったのに、写真がほとんどブレ丸。


唯一ブレていなかったのがこれ。


タクシーの運ちゃん付き 

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やっぱりカメラおかしいかも


こんな普通のコンディションでブレることなかったのに。


暗さにはめっぽう弱かったのは元からだけど、最近のカメラのブレ具合は目に余るものがあるなぁ


お天道様の下ではクリアに撮れていたのに、ブレるんだよなぁ


シャッター降りるのもやたらと遅いし。


まあ旅もあとちょっとだし、写るだけでもありがとうってことで。


って自分をなだめるけど、ストレス~ え~ん


さておき。


アチェンガルにもゴンパがあり、たくさんの僧侶が住む。


なんだろうこのカム地方というエリア。


景色が素晴らしい上に、チベット文化のその独特の光景や雰囲気にすごすぎて圧倒されてしまう。


ラルンガル、ガンゼと、チベットの色濃い場所を訪れてここが3つ目だけど、雰囲気がどれもこれも全然違う。

まず最初に目に入ったのが、この風景。
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人一人入るのがやっとなくらいの大きさの小屋が点在していた。

どうやらこれは、僧侶の瞑想場所らしい。


チョビヒゲにサングラス、右手に持つのはトンカチ。


僧侶らしかぬ風貌の僧侶は、ちょうどこの小屋の建設中だった。
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町を見渡すと、なんだかすごい景色が広がっている。


さぁ見学させてもらおうとワクワクしながら町を歩こうとした矢先、また警察に捕まった。


今回は私服警官。


警戒のしようもない。


その場で軽い職務質問をされ、写真は撮るなと言われた。


そして、ケータイのカメラでパスポートの写真を撮られた。


それだけで済んだけど、中国警察、もうイヤ。


ラルンガルで捕まる前は、何も気にせず写真もバシンバシン撮っていたけど、捕まってからというものなんだかこわい。


何も悪いことをしていないのに、ビクッとこわばってしまう。


結局、中国を抜けるまでパトカーや警察官、警察署、検問、警察がらみのものを見るたびにその癖は抜けなかった。


写真を撮るなと言われたので、見つからないように撮りながら町を歩いた。


さっそく…


おしゃれなおじさん
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帽子、ネックレス、すべてがイカしている。


優しそうで、味わい深い顔もよい。


アチェンガルを取り巻く景色は、セルタ、ガンゼのように周りに積雪の大きな山があるわけでなく、せいぜい丘があるくらい。


このように平地でどこまでも広がるような青い空が見えるのが特徴的だった。
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雲の感じがすごくいい。好み。


丘の上に登ると、坊さんが一人このように。絵になるなぁ
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その視線の先に何を捉え、何を思う。坊さんよ…!


などと、勝手なナレーションを入れるいつもの悪い癖。


考えてみりゃ、本人は一言も言っていないのに、勝手にセリフつけたりする遊びを2年間ずっとやりとおしてきたわ。


今ではもう条件反射的に無意識にセリフやナレーションが出てくる。


さておき。


丘の上を歩くとまたすごい景色が広がっていた。
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先ほどの見た瞑想小屋の向こう側にはたくさんの僧房と民家。


曲がりくねった透き通った川がそれを取り囲むようにゆったりと流れていた。


各家にはそれぞれ1枚ずつタルチョがはためいていた。


この写真じゃわからないけど上から見ると、等間隔で場所ごとにタルチョが緑、赤、黄、白、青と色分けされていた。


なるほどなんというアイデア。きれい!


どうやらこちらの瞑想小屋は尼さんゾーンらしく、たくさんの尼さんに出会った。


私は、やっぱり尼さんの方が好き。


ここの尼さんは、ハニかんだ笑顔がとりわけかわいい。
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キュンキュンしてしまう。

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マスクも花柄だったし。

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そんなところもかわいい。


休憩中の尼さんたち

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手招きされてのこのこ行ったら、お菓子をくれた。ありがと。


よく見るとすごい数の瞑想小屋

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丘を下り、川を渡る。
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警察に捕まって、カメラを没収されたり、データを消すのを命ぜられたら哀しいので、民家ゾーンの写真は自粛。


民家ゾーンを歩いていたら、たくさんの尼さんがゴンパに行くのを見かけた。


こりゃ何かある…!


尼さんの後をついていった。


ゴンパの広い講堂にはたくさんの尼さんたちが続々と集結。

軽く見積もっても、ザッと1,000人はいたと思う。
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私のカメラは、案の定撮ってもほぼピンボケという由々しき事態に見舞われたので、写真は数枚だけにしてその様子は自分の心のSDカードに焼き付けることにした。


経を読み上げる尼さんたち。


その光景は圧巻。


こんな世界があったなんて…!


後ろのほうからちょこんと座って眺めていたけど、好奇心が押さえきれず、少し講堂内を歩かせてもらうとした。


尼さんの持つ経本には、花柄やなにかのキャラクターのかわいいカバーがかけられていたりして、女性らしさを感じた。


アチェンガルを思う存分満喫し倒し、おっちゃんの待つタクシーに戻った。


写真は自粛と思っていたけど、最後にタルチョが風に吹かれてかっこよくはためいていたので、パシャリ…!
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ああ…ここに来られて本当によかったなぁ


という余韻に浸りながら、アチェンガルをあとにした。


私がこうしてブログを書いている今も、あのかわいい尼さんたちは寒さに耐え忍びながら修行に励んでいるのだろう。


それぞれの時間が、それぞれの場所で流れている。


最近旅を振り返って、この2年間で出会ったいろんな現地の人を思い出しては、そんな事をよく思う。