今回は、モロッコ・フェズで会った、羊飼いのお話です。
マラケシュより夜行バスで、フェズに到着した朝の事。
ちょうど、フェズの大迷宮へ向かう途中でした。
僕は、数人の羊飼いに出会いました。
20匹ほどでしょうか、羊飼いは羊を連れていました。
僕は人も好きですが、動物を見るのも好きなんです。
色んな動物を見ては、写真を撮ったりしてます。
街中で羊を見れるなんて、ラッキーと思いながら、今回もまた足を止めました。
しかし、今回は勝手が違いました。
牧場などで見かける羊たちとは違い、おかしな行動をしていました。
羊たちは皆、互いに密着し、円を描くようにグルグルグルグル回っています。
時折『メエエーーー』とうねるような泣き声を出しながら。
少しして僕は、これが『羊売り』だと気づきました。
売られていく羊たち。
仲間が売られていく様を、怯えながら見つめる羊たち。
ほんとうに、かわいそうです。
しかし、僕はケバブや、羊の脳みそなども食べてます。
だから、目を背けてはいけないと思いました。
しばらくして、羊飼いに、『いくらで売るの?』と尋ねました。
すると羊飼いは、『3600円(やったと思います。)だよ。4日もあれば、全て捌ききるよ。』
笑顔でそう言いました。
強い。
心底そのように思いました。
いざ、食べ物として、生きたままの羊を目の前に出されたら、殺せるのだろうかと考えました。
おそらく無理でしょう。
だからこそ、この羊飼いが強いと感じました。
所詮この世は弱肉強食なんですね。
これから食べる時は、もっともっと感謝して食べないといけないと思いました。