アマチュア局の変更手続(FT8などの附属装置)その3
ここまでは事後の届出で済む軽微な変更の話でしたが、事前の申請が必要であっても変更検査が省略されるため比較的簡単に済む手続きについて説明します。
電波法第18条第1項ただし書の規定による電波法施行規則第10条の4がこれにあたり、同規則別表第2号「変更検査を要しない場合」に列挙されています。変更検査が不要ということは、当然保証認定も不要ですので、別表第2号の内容をしっかり理解しておくと役立ちます。
附属設備に関係ある所を抜粋すると、
二 無線設備の変更の工事のうち第十条第二項の規定により軽微なものとされるもの以外のものであつて、次に掲げるものの場合
アマチュア局の変更手続(FT8などの附属装置)その2
別表第一号の三 許可を要しない工事設計の軽微な事項(第10条第1項関係)
https://www.tele.soumu.go.jp/horei/reiki_honbun/word/020000031.doc
この中で関係しそうな部分は、
「第1 設備又は装置の工事設計の全部について変更する場合(設備又は装置の全部について変更の工事をする場合を含む。)」
の表中であれば、
第14の項の「撮像装置」「模写伝送装置」「印刷電信装置」「変調信号処理装置」あたりで、この場合は、
「当該部分の全部について撤去する場合又は取り替える場合若しくは増設する場合に限る。ただし,次に掲げる場合を除く。
1 副搬送波周波数、最高変調周波数又は偏移周波数に変更を来すこととなる場合」
この3つのどれかに変更があると「軽微」ではないということです。
その他、第21の項の「その他総務大臣が別に告示する変更の工事」が該当します。
(「注」による読み替えをしています。)
「第2 設備又は装置の工事設計の一部分について変更する場合(設備又は装置の一部分について変更の工事をする場合を含む。)」
の表中であれば、
第2の項の「その他総務大臣が別に告示する変更の工事」が該当します。(「注」による読み替え)
「別に告示」は次のとおりで、
「電波法施行規則別表第一号の三の第1の表21の項及び第2の表2の項の規定による許可を要しない工事設計の軽微な事項 」(昭和51年郵政省告示第87号)
第1項でアマチュア局における特例を定めています。引用すると長いので、要約すると次のようになります。
・200W以下の送信機の変更工事:適合表示無線設備の送信機か保証認定を受けた送信機に取替/を追加する場合
・20Wを超える送信機の部品に係る変更工事:保証認定を受ける場合、または電波の型式、空中線電力、周波数の指定の変更を伴わない場合
・20W以下の送信機の部品に係る変更工事:部品を取り替える場合
(「注」による読み替え)
送信機の部分的な変更であれば「部品に係る変更」として処理できますので、アマチュア局の場合は一定の範囲内で自由度が高いことがわかります。
(続く)
アマチュア局の変更手続(FT8などの附属装置)その1
附属装置の変更が申請か届出か、その境目がどこなのか、よくわかっていない人がわからないまま書いているいい加減な情報が混乱に拍車をかけているように感じます。自分としても一度整理しておいた方がいいと思ったので、この場に記しておきます。
一口に変更手続と言っても、アマチュア局の場合は根拠条文の違いにより次の2種類に分類できます。この基本を忘れている人が結構多いことに驚きます。
1 無線設備の設置場所または無線設備の変更(法第17条第1項)……申請要(例外あり)
2 識別信号、電波の型式、周波数、空中線電力の指定の変更(法第19条)…申請要
この違いは、前者が変更検査の対象、後者は対象でないという点です。例えば附属装置の変更は無線設備の変更となりますが、その変更に伴って電波の型式、周波数、空中線電力の指定の変更を伴う場合と、指定の変更を伴わない場合に分けることができます。
無線設備の変更は、原則として申請が必要で変更検査となるところですが、例外が規定されていますので、実際には次の3つに分類できます。
a 変更検査を受けた後でなければ運用してはならない(法第18条第1項)
b 変更検査を受けることを要しない(法第18条第1項ただし書)
c 軽微な変更(届出事項)(法第17条第2項で準用する、法第9条第1項ただし書及び第2項)
申請か届出かという話については、「c」単独(軽微な変更で、かつ指定の変更を伴わない場合)を除いてすべて申請が必要ということになります。無線設備としては軽微な変更であっても、指定の変更が必要な場合はその部分について申請が必要で、許可後でなければ運用できません。
では、どういう場合に軽微な変更として届出事項にできるかを見ていきます。施行規則第10条第2項で準用する同条第1項では、施行規則別表第1号の3のとおりとしています。
(続く)
新スプリアス「適合」の誤解(2)
現在は旧基準で免許された無線設備が旧基準の適用を受けることができる経過措置期間中です。
言い換えれば、現行基準(新基準)で免許された無線設備は、現行基準の適用を受けます。経過措置期間の平成34年11月30日までというのは、あくまでも旧基準で免許された無線設備に限って旧基準のまま運用できる期限ですので、現行基準で免許された無線設備は、当然ながら現行基準に適合したものでなければなりません。
平成19年12月以降に保証認定を受けた設備は、旧基準であると宣言することで経過措置の適用を受けて旧基準の設備として保証を受けた場合を除いて、現行基準の設備として保証認定を受けたことになります。この場合は、経過措置の適用がありませんので現行基準を満たしていない場合は違法となります。旧基準のまま平成34年11月末日まで使用できるのではなく、もう既に現行基準を満たさない限り使用できません。
整理します。
旧基準で免許された無線設備:平成34年11月30日までの使用期限
旧基準で免許された無線設備のうち、現行基準に適合し、かつその確認を受けたもの:使用期限なし
現行基準で免許された無線設備で現行基準に適合しているもの:使用期限なし
ここまでは問題ないと思います。
申請者(無線局免許人)が電波法第三章の技術基準に適合していることを自ら宣誓していることを条件に保証認定を受けられるため、現実には次のようなケースが存在します。
現行基準の無線設備として保証認定を受けたが、現行基準に適合しない無線設備:【使用できません】
保証認定を受け直すだけで平成34年12月以降も使用できると思い込んでいる方は御注意願いたいと思います。
スプリアス確認保証の意味
旧スプリアス基準で免許されている無線設備は、経過措置により平成34年11月30日まで継続して使用できます。何もしないとそれ以降使用できなくなってしまいますので、現行基準に適合している場合は、そのことを届出することで期限以降も使用できるように規定が整備されました。ここまでは以前に紹介したとおりです。
届出に当たっては、較正された測定器で自ら(あるいは業者に委託して)測定するか、製造業者等が測定して総務省に届け出た型式であるかのいずれかである必要があります。業務無線では私も実際に手続を行っていますが、ここまでの選択肢しかありません。ちなみにアイコムの一部機種で後者の届出が既にされています。
アマチュア局の場合は、保証認定業者が確認した型式について「スプリアス確認保証」したものにも適用することで、自ら測定しなくてもよいという選択肢が増えたことになります。JARDでは届出書類の作成と提出までセットで行っているようです。
ですから「スプリアス確認保証」は、アマチュア局の新設や無線設備の変更、設置場所の変更における従来の保証認定とは違う制度です。
消防用と防災行政用の特例
阪神淡路大震災を契機に急激に増えた消防防災ヘリですが、特に消防活動で使用するに当たって全国には消防本部が開設する多数の陸上移動局があり、これらを全部二重免許にするとなると大変なことなので、しっかり特例が設けてあります。
目的外使用の例外には非常通信などがありますが、「その他総務省令で定める通信」として、電波法施行規則第37条(免許状の目的等にかかわらず運用することができる通信)の各号に列挙されています。具体的には第31号ですが、地方公共団体であれば陸上移動業務の無線局(すなわち基地局及び陸上移動局)と消防防災ヘリの携帯局との間で、(1)(2)がいわゆる消防救急無線、(3)が防災行政無線でその活動及び訓練のための通信ができるというわけです。ドクターヘリの救急活動にも当てはめることができます。
消防救急無線には国(総務省消防庁)が開設する無線局もありますが、この場合は当てはまらないので二重免許にしているようです。
新スプリアス「適合」の誤解
業務無線の場合は、計画的に設備を更新したり5年ごとに定期検査があったりでスプリアス規格が問題になることが少ないのですが、そういうものがないアマチュアでは私を含めて古いものを使い続ける人が多く、問題となる場合があります。
現在は、「この無線設備は、平成19年11月30日以前に製造したものである。」と宣言することで旧規格のまま使用できる経過措置期間中ですが、平成34年12月1日以降は新規格に適合したものしか使用できません。
言い換えれば、無線設備の実力として新規格に適合していれば平成34年12月以降も使用できるのですが、新規格に適合していることを免許の内容に反映させる必要があります。
手順としては、まず、無線設備(の実力)を新規格に適合させること。
次に、その無線設備を新規格に適合した無線設備として、書類に反映させること。
このステップを踏んで、設備と書類の両方を調えればよいということになります。
目安ですが、同じ機種で新旧両方で工事設計認証を受けているような場合や、古い機種でも信号純度を売り文句にしていた高級機では恐らく実力的に大丈夫と思われます(確認の必要はあります)。
巷では、書類だけをあたかも新規格に適合しているかのように細工すれば古い無線機を使い続けられると誤解させる情報がありますが、実際の電波が規格を逸脱した場合に責任を問われるのは無線局免許人であるあなた自身ですので、そこには大変なリスクがあることを認識すべきと思います。
古い設備をメンテナンスしながら使い続けるには、それなりの知識と道具が必要です。経年劣化していく設備を実力を知らないまま使い続けるよりは、知識がないことを自覚してあきらめるのも賢明な選択だと、私は思います。(続くかも)
無線設備のスプリアス規定の経過措置について
まずは、無線設備が現行の技術基準に適合していることを確認すること。
いくら書類を細工できても、実際に適合していなければ違法になります。
1:工事設計認証または技術基準適合証明を受けている場合
旧基準の認証(証明)は失効してしまうので、
結局は次の手続きとなります。
2:1以外の場合
ですからこのままですと現行基準に適合していても継続使用ができなくなってしまいます。この点は総務省も認識していて、現行基準に適合していることを何らかの方法で確認できるよう関係規定を整備する方向と聞いています。
やっと決まりました。校正された測定器で実際に測定して確認した旨を所定の様式で届け出ればよいです。ただ、アマチュアにとっては校正された測定器を用意することが費用的に難しいです。
もし、何かの都合で無線設備の変更検査を受検して合格した場合は、その時点で現行規定に基づく免許となり、空中線電力200W以下の場合は保証認定を受けることで簡易な手続となりますので、実力を確認できた無線設備については機会を捕らえて検査や認定を受け直すのが現実的と思われます。
これを逆手に取って、変更検査や保証認定を受け直すだけで期限後もそのまま使用できると解釈している人がいるようですが、書類が有効でも実際の無線設備を電波法第3章に定める技術基準に適合させておくことが無線局免許人に課せられており、逸脱していれば当然ながら臨時検査の対象となりますので御注意ください。
[LMDE]CS4630
手持ちのサウンドカード(CS4630)がデフォルトでは使えなかったので、対策をまとめておきます。
基本的には、次のページを見つけてその通りやったのですが、
https://wiki.debian.org/snd-cs46xx
cs46xx_image.h が見つからなかったのでGoogleで検索してダウンロード。
それ以外は特に問題なく、ちゃんと認識されました。
[電波法令]識別信号、呼出符号
総務大臣は、前条の規定により審査した結果、その申請が同条第一項各号又は第二項各号に適合していると認めるときは、申請者に対し、次に掲げる事項を指定して、無線局の予備免許を与える。
一 工事落成の期限
二 電波の型式及び周波数
三 呼出符号(標識符号を含む。)、呼出名称その他の総務省令で定める識別信号(以下「識別信号」という。)
四 空中線電力
五 運用許容時間
施行規則第6条の5
法第八条第一項第三号の総務省令で定める識別信号は、次の各号に掲げるものとする。
一 呼出符号(標識符号を含む。以下同じ。)
二 呼出名称
三 無線通信規則第十九条に規定する海上移動業務識別、船舶局選択呼出番号及び海岸局識別番号
審査基準第27条
法第8条第1項の規定により無線局に指定する呼出符号(標識信号を含む。)、呼出名称その他の総務省令で定める識別信号は、別表3の区分の指定基準に基づき指定を行う。
別表3 識別信号の指定基準
表1 地方委任局の無線局の識別信号の指定基準
(中略)
19 アマチュア局
(1)(略)
注7 一の地方局管内においては、同一人に対し2以上の呼出符号の指定は行わない。ただし。申請者が社団である場合には必要に応じ2以上の呼出符号の指定を行うことができる。
(後略)