草原からの兵火 | 愛しき日々

愛しき日々

田舎暮らしも長くなりました 仕事に地元に自分の世界にいろいろやってます
好きな人、好きなものについて率直に書けたらいいですね

 今日は5日。明日6日で連休はおしまい。

 連休後半は毎年恒例の高校同窓で集って過ごした。いつもよりゆっくりと過ごせた。

 その分、仕事のゴソゴソをしなかったんだけれど。週明けてからがコワイ。

 

 4月に入ってから村上春樹の「ねじまき鳥クロニクル」を再読し始めた。ちょっとしたきっかけ(先月のブログ サナギの時代 1990年代の思い出)があって、冒頭を少し開いたら引き込まれてしまった。読み手をグイグイ引込む力がある小説だ。

 第一部「泥棒かささぎ編」の最後にノモンハン事件当時を伝える長い回想があるが、これを連休中に読むことになった。ここには書かないが、拷問に関する一度読むと忘れられなくなる叙述がある。

 

 日本は当時、満州帝国を擁立(事実上、日本の傀儡だった)していた。ソ連という大国に接し、国境付近で紛争を繰り返していた。地平線上に草原以外何も見えないような場所で。当時の日本兵も何故こんな農地や産業振興に適さないところで戦わなくてはならないのかと思ったことであろう。写真は今も残るソ連軍が作った壕。

 

 南方戦線での日本軍の挫折や原爆投下、国内での空襲などは今でも広く歴史に伝わるが、日中戦争や降伏前のソ連侵攻についてはあまり知られていないことが多い。日中戦争の悲惨さは別の機会にするが、ソ連の満州国への侵攻は80個の師団157万人の兵という用意周到なものであった。ソ連は同時期に樺太と千島列島にも侵攻している。

 2022年からのウクライナへのロシアの侵攻は世界で広く報道され、残虐な行為も行われた。これとおなじようなことが当時、日本人が住んでいた満州国(210万人の日本人が居住していた)で起こったことは、日本人としても知っておきたいところだ。

軍民あわせて24万人がこの侵攻の犠牲となり、57万人はシベリアに送られ、多くの日本人が長い抑留生活で命を落とした。

 

 信じられないチカラで個人を圧殺する、戦争という不条理。世界で火種はくすぶっている。近い将来、日本も戦争に巻き込まれる可能性があることは心したい。