毎度バカバカしいお話を。
「ご隠居!ねぇねぇ、ご隠居ぉ! ちょっと教えてくださいよ」
「なんだい 熊さん、騒々しい。。。」
「この世で一番怖いものって、なんなんすかね?
あっしはね、今年の猛暑なんて、怖いなぁ~って思うんですよ!
なんたって、命に係わる気温ですよ!40度。怖いねぇ~~~!」
「猛暑ね。 …うん、怖くない。」
「えっ、怖くないの?」 「そう。怖くない。」 「どして?」
「昔っからね、猛暑にはうなぎって相場が決まってるから。
怖くないの。うん、怖くない。」
「猛暑には?」 「うん。」 「うなぎ?」 「そう。うなぎ。」
「あそう。。。それでいいんだ。何だか簡単すぎだけど、
じゃ、ご隠居。なにが一番怖いんですかい?」
「怖いもの?」 「そう、一番怖いもの。」
「そうだねぇ。。。 あたしが知る限り、品川はスマクリ屋の
キューバサンドが一番怖いね」
「何です、その急場で三度って?」
「キューバのホットサンド! クバーノ!!」
「怒鳴んなくても聞こえてマッスル! じゃ、教えてください。
キューバサンドって何です?」
「こう、キューっと細長いパンだからキューパン。
ホッとしながら三度焼くから、ホットサンド。だからキューバサンド。」
「細長いのを ホッとしながら 三度焼く、、って俳句みたいでよくわかんねぇけど、なんだか怖そうだ。」
「あ~~見たい。見たいねぇ。一度でいいから見てみたいねぇ。。。
持ち帰りもできるしねぇ。。。」
「よっし! ご隠居の最後の望みをあたしが叶えましょ!
で、品川のどこにアンデス。そのスマクリ屋って?」
「五反田から中原街道をまっすぐ子安方面に。」
「五反田から中原街道をギューンと子安方面ね。」
「26号線にぶつかったら、右折して武蔵小山方向に。」
「26号線にガーンで、ズバッァーと武蔵小山方向。」
「それから5個目の信号を右に曲がって、突き当り手前がスマクリ屋!」
「5個目の信号までプップーっと行って、ドンの手前ね!
よっしゃ!じゃちょっくら行ってきやす!!」
中原街道ギューン。26号ガーン。右折ズバッァー。信号プップー。
ドンの手前。 店長、焼き上げ中。 ¥880-。
ドンの手前。 プップー。 ズバッァー。 ガーン。 ギューン。
「ただいまぁ!」
「お~早いね熊さん。今度から犬さんって名前に変えようか。
お~! これが噂の≪スマクリ屋のキューバサンド!!≫」
「ご隠居、初めて見たっすか?怖そうっすか?」
「もうね、十分に。
ニンニクとビールで二種類のお肉を1週間漬け込んでる。怖いねぇ…。
火入れは燻製7時間。この燻製の香しいかおり。おそロシア!」
「はぁ…。キューバじゃないんっすか。。。深いっすねぇ。」
「それに合わせた特注パン! 外カリカリで中ふわっふわ!
しかもこの香り!お~怖い!
キャベツとキューリの自家製ピクルスの酸味も絶妙な怖さ!
こんなね、こ~んな恐ろしいものは食べて無くしてしまったほうが良い!」
「熊さん!」 「はいぃぃぃ!! ご隠居ぉ~(涙)!」
モグモグ カリッ
「ご隠居。」 「何です、熊さん」
「こいつはね。想像以上の怖さですな。」
「怖すぎ。」
「でもね、あっし、思いついちゃったんです。今一番怖いもの。」
「今? サゲ、熊さんが言っちゃうの?」
「そう。言っちゃうの。今一番怖いもの。」
「今一番怖いものは…」
「キンキンに冷えた、ステラが怖い。」
お後がよろしいようで。