運命の分かれ道 その二 | 林泉居

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考えてみれば、進化の過程で人間も弱小の哺乳類として外敵に怯えながら四つ足で這っていた時代もあったのですが、現在では動物の頂点に立っています。嘗ては力だけが取り柄の恐竜が頂点に立ったこともありましたが、今は滅んでしまいました。そして大型の肉食獣や巨大な動物との生存競争にもめげず地上の支配者となりました。この結果をもたらしたのは、脳の発達と生殖能力に理由があると言われています。その運命の分かれ道は、神によるとか宇宙人が作ったとか言う人もあるようですが、真実は知りません。しかし、直立二足歩行が脳の発達を可能にしたというのが有力な意見のようです。
話しをうんと過去に遡って考えてみたいと思います。人類にとっての運命の分かれ道はどこにあったのかと言うことです。人類の共通の祖先はチンパンジーやゴリラそれにオランウータンなどの類人猿と共通の祖先だったということになっています。
今現に生きている私達の体は、何代か前に突然見知らぬ場所から発生したものでない限り、進化の過程の延長線上にあって、ゴリラやオランウータンそれにチンパンジーたちと同じ祖先から連綿と受け継いできた血筋なのです。その気の遠くなるような歴史は遺伝子に記録され体の細胞の一つ一つに保存されているそうです。思いを遙か原点にまで遡ってみると今日ここまで長く生きながらえたのは幸運という他ありません。


DNA人類進化学 ~ 4.現代人の起源
ヒトの進化の道筋

https://www.nig.ac.jp/museum/evolution-x/02_d.html


彼らは、古くアフリカに住んでいて野生の生活を送っていたわけですが、1300万年遡るとこれら四種類の類人猿と人は同じ猿だったということになります。次に先ずオランウータンが別れてやがて移住し、今ではスマトラやボルネオの一部地域で生息しているものだけです。その次に656万年前頃ゴリラと離れ別の道を辿ります。そして490万年前のことだそうですが、チンパンジーと別れたのです。これらは遺伝子情報を基に解析した結果だといいます。
 

https://www.nig.ac.jp/museum/evolution-x/02_c2.html
 

DNA人類進化学 ~ 3.ヒトがサルと分かれた日 ヒトはいつチンパンジーと分かれたか

一方人類学上は猿人-原人-旧人-新人の順序で分類されています。今のところもっとも古い猿人の出現は、約700万年前のアフリカでということになっています。化石の発見がその根拠となっています。そうすると少し困ったことになります。人とチンパンジーが別れたのが490万年前とするとチンパンジーは猿ではないのかという素朴な疑問が沸いて来るのですが、今日でも人とチンパンジーの遺伝子の違いは僅か1.2%しかないそうです。ですから人と猿との運命の分かれ道は、その行動様式の変化にあったのだろうと思います。

 

人間の足は、いつの間にか直立二足歩行に適した構造になりました。おそらく相当長い年月をかけて変化したのだろうと思いますが、安全な樹上を離れて危険な平原を歩き回るようになるにはそれなりの理由と必要があった筈です。行動様式の変化が人の体の機能を変化発展させるように手と足の役割が別々に分化してその機能が特化するとそれを管理する脳もまた新たな進歩をもたらしたろうと想像されます。いわば個人の身の内における分業制です。分業は生産性の向上をもたらします。さらに新しい機能を創造していく相互作用が人に限りない進歩をもたらしているのだろうと思います。
 

ゴリラにしてもチンパンジーにしても立って歩くことは出来ますが股関節の構造が少し違いますからどうしても前傾姿勢になります。一方重力は鉛直線に働きますから前のめりの上半身を支えることはかなりの負担になります。それで両手をついて補助しないと姿勢を保つことが出来ないわけです。猿も器用に見えても腕は解放されることがありませんから、その能力には限界があります。五本の指を器用に使え、道具を作ったり扱ったり出来るのは人間だけです。

 

以下は、コンパクトに面白く纏められた動画です。

 

 

四本足で歩いていた猿が手を解放され、手と足が別々の役割を果たすことになると荷物の運搬に大変都合がよくなります。数々の道具が発明され工夫されて、その事によってこれまでとは比較にならない仕事をこなすようになります。いろいろな場面でコミュニケーションをとる必要も出てきますから群れのメンバーにも社会性をもつようになるでしょう。そうすると、コミュニケーションの手段が発達します。言語を使うようになりやがては文字を発明し記録をとどめ後世にまで伝達することが可能となるわけです。こうした記録は、知性を高めるでしょう。今ではコンピューターという便利なものが世の中を動かしています。ここまでの差を猿と人との間にもたらしたものが直立二足歩行によるものだとしたら本当に思いもよらないところに運命の分かれ道があったというべきかも知れません。 翻って八十億の現生人類を見渡す時、人類の次の運命の分かれ道があるのでしょうか。「我ら何処に向かうのか」です。