メッセージ (ネタバレ 感想) | 耳鳴りが止まらない

耳鳴りが止まらない

映画、水槽、オーディオ、ライブなど

アメリカでの公開時に、とても話題になっていたので、観たい観たいと思いつつ、日本での公開は気づいたら終わっていて、結局、TSUTAYAで借りてきた。

監督は、ドゥニ・ヴィルヌーブ。このあと、ブレードランナーの新作も撮っている。ブレードランナー2049は、過去作の世界を壊さず、切なさたっぷりな静かな良作だった。

邦題は、メッセージだが、原題は、Arrival 。
この映画も静かな映画だった。

突然、世界各地に現れた物体。
言語学者の主人公ルイーズ(エイミー・アダムス)は、物体の中にいる宇宙人と会話を実現するために政府から呼ばれる。
独り身で、過去に子どもを産んで、一人で育て、病気で失う。そんな過去があるように思えるフラッシュバックが入る。うまいというか、ズルいというか、まるでクリストファーノーランのインターステラーのようだ。
フラッシュバックの多用が、叙述トリックになっていて、途中で、あっと思わせる。
ところが、そんなネタありきの映画かというと、そういうわけではない。
静かに、淡々と描かれる宇宙人とのやりとり。誠実に向かいあうルイーズの描写がなかなかいい。
静けさを引き立てる音楽もいい。

宇宙人の姿がタコ型というのが、なんとも言えないが、欧米人にとってはタコは不気味さの象徴らしい。
得体の知れないものの象徴としてあえて採用か……

クライマックスは、ドラえもんの長編映画のようだった。海底鬼岩城を思い出す。
哀しい未来は変えられないのだろう。
断片的にだけ、描かれた未来が、切なく愛おしい余韻となって残る。ルイーズがひたむきに生きる姿が浮かぶ。

この監督の過去作をもっと観たくなった。