サッカーワールドカップはベスト4が出揃い、いよいよ佳境を迎えます。日本は対クロアチア戦で惜しくもPK戦で敗れましたが、素晴らしい戦いでしたね。あのPK失敗でいろいろと言われていますが、よくお邪魔するマドモワゼル姐さんのブログで素敵な言葉を教えてもらいました

 

PKを外す者は、PKを蹴る勇気を持った者だけだ

/ロベルト・バッジオ

 

先日、会社の朝礼でこの言葉を披露したとたん「おお~」という周りから感嘆の声。マドモワゼル姐さん!いただいちゃいました~(笑)

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

今日紹介の映画は、大好きな70年代の映画の中でもとびっきり好きな一本!公開当時、映画雑誌のみならずテレビやラジオでも大々的に取り上げられ社会現象にもなった話題作です。あちこちの名画座だけでも5回は見に行きました。やはり劇場でみるべき映画だと思います

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「ゴッドファーザー」

1972年/アメリカ(177分)

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

マフィアの世界を克明に描き、ベストセラーになったマリオ・プーソの同名小説をフランシス・コッポラが映画化した一大叙事詩!

 

 

 監督

フランシス・コッポラ

 音楽

ニーノ・ロータ

 主要キャスト

マーロン・ブランド/ヴィトー・コルレオーネ

アル・パチーノ/マイケル・コルレオーネ(三男)

 

ジェームズ・カーン/ソニー・コルレオーネ(長男)

ロバート・デュヴァル/トム・ヘイゲン

ダイアン・キートン/ケイ・アダムス

ジョン・カザール/フレド・コルレオーネ(次男)

タリア・シャイア/コニー・コルレオーネ(娘)

 

リチャード・カステラーノ

エイブ・ヴィゴダ

スターリング・ヘイドン

レニー・モンタナ

リチャード・コンテ

 

主人公のドン・コルネオーレには「欲望という名の電車」(51)「波止場」(54)のマーロン・ブランド。長男ソニーには「シンデレラ・リバティ」(73)「ミザリー」(90)のジェームズ・カーン。7月に82才で亡くなったニュースはまだ記憶に新しいですね。次男フレドには「狼たちの午後」(75)「ディア・ハンター」(78)のジョン・カザールが演じています。彼はこの後、あの「ディア・ハンター」に出演していましたが、公開を待つこともなく42才で病死しています。そして三男マイケルには、当時全く無名だったアル・パチーノが演じ、その後「セルピコ」(73)「スケアクロウ」(73)「狼たちの午後」(75)などに主演し、瞬く間にスターへと駆け上がります。さらに「アラバマ物語」(62)「地獄の黙示録」(79)「ネットワーク」(76)など多数出演のロバート・デュヴァル、あとから気づいたのですが彼はマックイーンの「ブリット」(69)にもちょこっと出てました。マイケルの恋人役には「アニー・ホール」(77)「ミスター・グッドバーを探して」(77)のダイアン・キートン。その他にも「二人の誓い」(70)のリチャード・カステラーノ、「ゲッタウェイ」(72)のアルフレッド・レッティエリ、そしてコッポラ監督の妹のタリア・シャイア。ご存じ「ロッキー」(76)のエイドリア~ン!です(笑)。さらにエイブ・ヴィゴダ、リチャード・コンテなど多数出演しており、今なら考えられない超豪華メンバーなのですが、当時はマーロン・ブランドとジェームズ・カーン以外はほぼ無名でした。そしてこの映画が出世作となり、多くの出演者たちの後の活躍はご存じの通りです

 

 

 

▲マーロン・ブランド/ヴィトー・コルレオーネ

▲アル・パチーノ/マイケル・コルレオーネ

▲ジェームズ・カーン/ソニー・コルレオーネ

▲ロバート・デュヴァル/トム・ヘイゲン

▲ジョン・カザール/フレド・コルレオーネ

▲ダイアン・キートン/ケイ・アダムス

 

舞台は1945年のニューヨーク_

ドン・コルレオーネ(マーロン・ブランド)は、マフィアの五大ファミリーのひとつコルレオーネ家を取り仕切っており、”ゴッドファーザー”の尊称で呼ばれ絶大な権力を持っていた。長男ソニー(ジェームズ・カーン)次男フレド(ジョン・カザール)は父の仕事を手伝っていたが三男マイケルは父の仕事を嫌い軍隊に入っていた。政治家にもコネを持つドン・コルレオーネの元にある日、麻薬ビジネスの誘いが来る。しかし彼がこれを断ったために他のファミリーから襲撃を受け瀕死の重傷を負う。そこから事態はマフィア間の抗争へと発展していく・・・

 

ゴッドファーザー(Godfather)とは

日本では単純に「名付け親」と訳されますが、元はキリスト教(カトリック)文化における代父母のことで、その後の生涯にわたっての第二の父母として人生の後見を担う立場のことを言うそうです。このあたりの知識は持ち合わせておりませんが、日本で言う”元服”の時の”烏帽子親”(えぼしおや)とニュアンスが近い気がします

 

映画史上不朽の名作と言われる「ゴッドファーザー」3部作の記念すべき第1作目です。当時の歴代世界興行収入ランキング第1位となった大ヒット作品で、この記録は3年後の75年に、盟友スピルバーグ監督の「ジョーズ」によって破られることになります。このように70年代はアメリカン・ニューシネマの終焉と共に、本作や「ジョーズ」「エクソシスト」「ポセイドン・アドベンチャー」「ロッキー」など次々に大作、話題作が公開されいずれも大きな社会現象まで引き起こした、映画界にとってターニングポイントとなる年代でした

 

 

  上質なエンターテイメント作品

 

オープニングの結婚式のシーンからエンディングまでのどれをとってもケチのつけようがない見本のような映画です。美しい映像と音楽、そしてキレキレの演出で物語、展開、俳優、画像、音楽の総てが最高ランクではないでしょうか。これほど有名なのにまだ見たことがないという人も意外に多く、会社の女性陣に言わせると、この映画の印象は「マフィアのオジさんがたくさん出てくる、血しぶきドバッのギャング映画」と評しており、当然見ていないそうです(笑)。もちろんマフィアを題材にしていますから銃撃シーンや目を背けたくなるシーンもありますが、それはこの映画の一片でしかありません。それまであまり知られていなかったマフィアの世界を一般に知らしめ、現在に至るまでステレオタイプを確立した映画でもあります。米有名誌アンケートで「史上最高のギャング映画」のランキングでは圧倒的1位に推されたように、一般的にはマフィア(ギャング)映画として紹介されることが多いです。今回もわかり易いように一応「ギャング映画」のカテゴリーで紹介しておりますが、実は家族愛、ファミリー愛の物語でもあります。そして、この物語には当時の社会をまざまざと写しだし、さらに突き詰めれば移民問題に至るまでの社会性と奥深さがあります。そういう意味では、この映画「ゴッドファーザー」は単なる第1章で「PART2」「PART3」で完結する一大叙事詩であることをご理解いただきたいと思います

 

名セリフの宝庫!

この映画は名セリフが多いことでも知られています。その内容はファミリー(家族)に関してのものが多いですが、時にはビジネス、人生においても置き換えられる名言として知られています

「家族以外の者には何を考えてるか伝えるな」

「家族と時を過ごさない男は決して本物の男ではない」

「友情は全てだ。友情は才能よりも大切だ。政府よりもだ。友情とは家族と似たようなものだ」

 

  時代を問わない芳醇な味わい

 

この映画は、よく上質のウイスキーに例えられます。最初は少し苦味を感じても少しづつ味わうことで味わい深さが増してきます。この映画は、樽で熟成させたウイスキーのごとく、年齢(年代)を重ねるごとに芳醇な味わいが増します。建物、調度、ファッションに至るまで妥協と躊躇いがありません。弱冠33才のフランシス・コッポラ監督が、急がずじっくりと作り込みをしているのがわかります。特筆すべきは見事なまでの映像美です。カラー作品なのにトーンを落とした映像の美しさは何世紀も前の名画のようです。例えば、冒頭の娘の結婚式の明るさと華やかさに対比しての一室での重苦しさと暗さの演出は見事です。さらに構図の美しさは際立っており、これほど美しい構図はデヴィット・リーンの「アラビアもロレンス」(62)、キャロル・リードの「第三の男」(49)と黒澤明監督の「用心棒」「七人の侍」くらいしか思い浮かびません。実際コッポラ監督がかなり黒澤明監督に心酔していたかはこれらの構図で見てとれます。さらに、この映画のオープニングシーンは娘コニー(タリア・シャイア)の結婚式ですが、このシーンは黒澤明監督の「悪い奴ほどよく眠る」の結婚披露宴から始まる展開をコッポラが真似たと語っています

 

この映画は、父ドン・コルレオーネ(マーロン・ブランド)とその息子たちの生きざまとマフィアの世界を克明に記しつつ描いた物語です。したがって、有名な馬の首のシーン、兄ソニーの銃撃シーンなどショッキングなシーンもありますがマフィアという社会の暗部に生きる人間たちの生きざまを描くためには欠かせません。そして当時の社会情勢も綿密に描かれており、重く切なくとびきり美しい作品です

 

 

 

 

 

  記録にも記憶にも残る作品!

 

この映画は、1972年に公開され爆発的ヒットを記録し、当時の歴代世界興行収入ランキング第1位になっています。さらに、アカデミー作品賞、監督賞など9部門にノミネートされ作品賞、主演男優賞(マーロン・ブランド)、脚本賞を受賞しています。助演男優賞には、ジェームズ・カーン、ロバート・デュヴァル、アル・パチーノ3人が異例のノミネートになりましたが「キャバレー」のジョエル・グレイに輝きました。アル・パチーノは主演でいいと思ったのですがね~個人的にはロバート・デュヴァルに獲らせたかったです。残念ながら監督賞も「キャバレー」のボブ・フィッシャーでしたが、74年にフランシス・コッポラは、続編の「ゴッドファーザーPART2」で監督賞を獲得しています。ちなみに「ゴッドファーザーPART2」は作品賞も受賞しており、正編と続編の両方で作品賞を受賞した唯一の作品となりました

 

監督のフランシス・コッポラは当時33才の若手です。この映画の成功で名声を得て「地獄の黙示録」(79)「コットンクラブ」(84)などの話題作を次々と世に送り出します。本作については、原作のヒットにも関わらずマフィア映画ということで一流俳優はキャスティングできなかっただろうと想像がつきます(実際にロバート・レッドフォードらを予定していた)。この映画で唯一名の知れた俳優がマーロン・ブランドですが、彼は当時48才で落ち目と言われていましたし、トラブル俳優のレッテルを貼られていました。周りを固める俳優陣もほとんど無名で、それはまるで巨大な軍艦に新人船長率いる小舟が立ち向かうような図式だったのではないでしょうか。しかし、類まれな船長の戦術と乗組員の力量の高さで軍艦までも駆逐してしまいます。それは本作後のフランシス・コッポラ監督やジェームズ・カーン、ロバート・デュヴァル、アル・パチーノ、ジョン・カザール、ダイアン・キートンなど多くの出演俳優たちのその後の活躍を見ていただければお分かりいただけると思います。特にアル・パチーノ演じるマイケル役は、大学出のインテリがマフィアの道を歩むという難しい役どころでしたが見事に演じ切っています

 

 

 

  あらゆるジャンルを超えた一本!

 

今だに歴代映画ベスト100などでは必ず上位にランクされる実力、人気を兼ね添えた一作です。それはそれまでの映画と全くレベルの違う異次元の映画でありジャンルを超えた20世紀に誇る映画の一本です!

 

印象深いシーンはたくさんありすぎてひと口では言いきれません。ただ、強いて挙げれば冒頭の結婚式と暗い一室でのシーンと、やはりラストです。マイケル(アル・パチーノ)がゴッドファーザーとなり幼児の洗礼シーンで、神聖な儀式に”嘘の誓い”の言葉を述べ、一方で大量の殺戮を指示してファミリーに対して”本当の誓い”を行います。ここにドンとしてのマイケルの覚悟があります。何度観てみ身震いする3時間です。ただ、これは第1章に過ぎません。是非、一部から三部までを通して観ることをおススメします

 

ニーノ・ロータの名曲の数々!

個人的に、ニーノ・ロータは「道」「ロミオとジュリエット」の方が好きですが、この「ゴッドファーザー愛のテーマ」も叙情的で代表作のひとつになっています

 

 

 

 

  「ゴッドファーザーPART2」へ

 

本作「ゴッドファーザー」が72年に公開され、その2年後に「ゴッドファーザーPART2」が公開されます。続編ではあるものの時系列で見ると前日譚ともいえます

 

もう少し詳しく言うとこの映画では、二つの物語が同時進行で語られます。一つ目の物語の舞台はで本作「ゴッドファーザー」に続くマイケル(アル・パチーノ)の姿が描かれており、もう一方の物語は、マイケルの父ヴィトー・コルレオーネ(マーロン・ブランド)の若かりし日の姿を描いています。幼い頃にニューヨークに渡りコルレオーネ・ファミリーを築いていくヴィトーの物語が、現在のファミリーを守るために戦うマイケルの物語とクロスカッティングして描いています

 

この若き日のヴィトー・コルレオーネを演じたのが、まだ無名のロバート・デ・ニーロです。実はデ・ニーロは「ゴッドファーザー」でソニー役(ジェームズ・カーン)のオーディションを受けたのですが最終審査で落ちています。ただ、その演技力をコッポラ監督が評価し、PART2出演のきっかけになったと言われています。ご存じの通り若き日のヴィトーを演じたデ・ニーロは74年の「ゴッドファーザーPART2」でアカデミー賞助演男優賞を受賞し、その2年後の76年にあの伝説の「タクシードライバー」が公開されます

 

イタリアからアメリカへの移民は1880年代に始まり、当時のアメリカ社会においての移民は最下層の厄介者と言われまともな仕事に就くことは当然出来なかったようです。そんな彼等が見出したのは密造酒造りなどの非合法なシンジケートでした。本作の主役ドン・コルレオーネはそうした家長として家族、ファミリーを守るために戦わざる得なかったという背景を考えると少し見方も変わってきます。本作だけでも十分楽しめる映画ですが、続編まで観ていただいた方が「ゴッドファーザー」をより理解していただけると思います。

 

観たことを決して後悔しない映画です!

是非どうぞ!

 

今日の夜から、公募の賞金を使って恒例のプチ旅行。通年TDRですが今年は都内の某ホテルに3泊の予定。イルミを見たり水族館へ行ったりのんびり過ごします。金曜日に帰ってきます。では!

 

 

◆-◆-◆-◆-◆-◆-◆-◆-◆

 

~面白公募のご案内~

もう一つの拙ブログ「ワンダの公募三昧」でも紹介していますが、”写真にヒトコト!大喜利”の公募がなかなか面白い!大喜利の公募では過去何回か賞金をGETしています。今回も最優秀賞は各5万円の旅行券!お題も4つ(2つまで出題済)ありますから頭の体操にもいいです。「シネマDEクイズ」をやり慣れた人には向いていると思いますよ