さあ、「原型製作編」に突入です! | ワンダちゃんNEXT DOORプロジェクト 開発スタッフブログ

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というわけで今回から原型制作編に入ろうと思うのですが、その前にひとつ重大なお知らせを。

本日発売になったワンフェス公式ガイドブックをお買い上げになった方はすでにご存じのことと思いますが、今夏のワンフェス公式ガイドブックより、これまで5回続けてきた「ガイドブックの表紙イラストは、市販される一般参加者向け=『ワンダちゃんNEXT DOORプロジェクト』担当イラストレーターさんによるイラスト、非売品のディーラー/ゲスト/プレス向け=あずまきよひこ先生によるワンフェス公式イラスト」というかたちから、それ以前、つまりはかつてのように、あずま先生によるワンフェス公式イラストに一本化されることになりました

その経緯はワンフェス公式ガイドブック内における実行委員会代表挨拶をぜひとも熟読していただきたいのですが、望月けいさんとそのファンの方にとっては「……聞いてないよ〜っ!」状態だと思います(いや、もちろん、望月さんご本人にはその旨を早々にお話し、深々とお詫びさせていただきましたが)。
そこには当然ながら「そう改変せざるを得なかった」という相応の理由が存在するのですが、いずれにせよ、望月さんには大変申し訳なく思っております……。

▲左が、今夏用の一般参加者向けワンフェス公式ガイドブック表紙で、右がディーラー/ゲスト/プレス用の非売品ワンフェス公式ガイドブック表紙。ご覧のように両方共にあずまきよひこ先生のイラストが使用されています。ただし望月さんの描かれたワンダちゃんのイラストは、ガイドブック巻頭のカラーピンナップにはきちんと掲載されていますのでその点はご安心くださいませ


……というご報告が終了したところで、それではようやく本題たる原型製作編に突入したいと思います

さて。これは望月さんにキャラクターデザイン&イラストを発注する前の段階から気付いていたことではあるのですが、望月キャラというのは、じつは相当に特異なプロポーションをしているんですね。ただし、それを構成する「線」が非常にスタイリッシュでまず先にそこに目が行ってしまうのと、デッサン的にはまったく破綻していないため、絵を見ている側はその事実になかなか気付くことができないという。
つまり前回=FILE:05におけるさん×かわにしけんさん(ぐりむろっく!)のコラボレーションのように、「お互いの作風が驚くほどシンクロする原型師」というのは正直存在しないと考えたのです(そして、その考えはいまもまったく変わっていません)。
だからこそ、いま猛烈な勢いで伸び盛りであるChilmiruさん(うろこもん)を原型師として登用すれば、元の彼女の作風こそ望月キャラの絵柄とシンクロしていないものの、スポンジが勢いよく水を吸い上げるような感じで望月キャラの特異性を上手く飲み込んで対峙してくれるのではないだろうか……という希望が多大に込められていたんですね

ただし、「Chilmiruさんの元の作風は望月キャラの絵柄とシンクロしていない」という問題はやはり想像以上に大きく、原型製作の「入り」の部分では猛烈な試行錯誤が生じることとなってしまいます。
それゆえに、早々に望月さんへモデリングスーパーバイザー的スタンスでの協力を要請。Chilmiruさんと望月さんが直接対話を交わせる環境を作り、Chilmiruさんのフィギュア製作途中画像にPhotoshopにて修正案をどんどん描き込んでいってもらうというスタイルを選択するに至ったのでした
 

▲ワンフェス公式ガイドブックにもまったく同一の画像を掲載していますが、このようにしてChilmiruさん×望月さんの本格的なコラボレーションがスタートしていきました。上下の写真で頭部の造形が完全に異なっているあたり(つまり完全な作り直し)に、「入り」における試行錯誤の大きさが見て取れるはずです

 

▲さらに望月さんから、過去に描かれた創作キャラクターのイラストを下敷きにした「望月キャラ独特のプロポーション説明図」も併せて送られてきました。これを見れば「望月キャラというのは、じつは相当に特異なプロポーションをしている」ということが分かっていただけるのではないかと思います


こんな感じでChilmiruさん×望月さんのコラボレーションが始動しはじめたわけですが、ここでふと、「……なぜそんな単純なことを最初に思い付くことができなかったんだ!?」というアイディアが浮上。
望月さんの決定稿イラストは鳥瞰視点、かつ広角レンズ視点で描かれていたためよりそのプロポーションや等身などが非常に把握しづらくなっていたわけですが、「だったらプロポーションと等身を第三者の立場でも簡単に割り出すことができる正面図を描いてもらえばいいじゃないか!」という考えに至った
のです(←どう考えても遅すぎです)。

さらに、Chilmiruさんのほうから「ワンダちゃんの髪型がどうなっているのかいまひとつよく分からない」という指摘が入り、その追加画稿も望月さんに描き下ろしていただくことになりました。

▲この画稿をじっくり観察すれば、プロポーション&等身に関しては勘違いする余地はもはや存在しないはず。そして、いちばん最初の段階で同画稿の描き下ろし依頼をしなかったことを大いに後悔するはめに……ほぼ無駄だったとしか思えぬ多大な試行錯誤期間を過ごさせてしまったChilmiruさんに対し大反省、です


こうしてプロポーション&等身を正確に割り出すことができる画稿を得たChilmiruさんの造形は、一気にスピードを速めつつその解像度も高めていきます

下に掲載する画像を見ていただければ、その様子は一発でご理解いただけるはずです。
 

▲まだまだ造形そのもの自体は荒いものの、望月キャラ特有のプロポーションや雰囲気がずいぶんと醸し出されてきた様子がよく分かると思います。戦いはまだまだ続きますが、ここまで来ればまずはひと安心、といった感じでしょうか

 

そして、Chilmiruさんから送られてきた(上に掲載した)造形途中画像に、またまた望月さんから、以下のようなPhotoshopを駆使した修正アドバイスが入ることに。

 

▲左側の画像はお尻〜脚のライン(肉付き)の修正アドバイスなので赤い線を描き込んでいるだけですが、右側の画像はPhotoshopを使いプロポーションの修正も行っています。その事実は「胴と太ももを少し伸ばしました」という書き込みから読み解けるはずです


もちろん、“モデリングディレクター”としてこちらも俯瞰的なスタンスにてもろもろの調整作業は行っているのですが、“モデリングスーパーバイザー”としての望月さんがここまで八面六臂の活躍を見せてくれると、もう、「どうこう口を挟む余地などない」というのが実情ですね(汗)。
……いや、しかし、それって本当にありがたいことなわけです。望月さんの「フィギュア愛」がまさしく爆発したとしか言いようがない感じです。

というわけでさらなるクオリティーアップが図られることになる原型製作編、もう1回続けさせていただきます!!