丘の上の庭 その29 | camouflage

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いつもの通り

ウッドワード先生の教会でヘジンと話していた


最初はたわいもない話をして笑っていたが ヘジンはやがて淋しそうな顔になった


「あのさ、コウキ」


「何」


「あたしさ 来年ソウル帰るんだ」

「え?」

「うちの家族 ソウルに戻るの。向こうの学校に行くんだ」


ヘジンは静かに喋り やがて涙を見せ泣きはじめた


僕はヘジンを抱き寄せた


ヘジンは僕の肩に手を回しキスをし 話す


「あたし行きたくないよ。でも兄貴の受験あるし。向こうの高校編入するのよ。韓国語喋れないんだ あたし。聞くことも書くことも。コウキのそばにいれるんだと思ってた」


僕も涙を流した


ヘジンは僕に悪いと言い、次に

うちね、公務員だから、最初から韓国帰るつもりでこの街にいた
もう、日本出て韓国に帰らなくちゃならなくなって
それと女子1人で日本は行かせないだろうしね
当分日本行けないみたい、ごめんなさい


ヘジンは僕にそう言った


少し考えて、僕は返した

なあ、ヘジン、考えてたんだけど
俺がソウル行くよ
ソウルの大学に入る
あと、韓国留学する資金を貯めるよ


え?本当に?


それでソウルの語学学校入り、ソウルの方の大学へ行けたら、ずっと一緒だ



続いて言う

韓国男子は19~35才までの間に徴兵で軍務につかなきゃならないの
兄貴は大学の時に2年半行く予定みたい


何?帰ってからしばらくか
それまでに言葉自在にしなくちゃいけないのか


僕はヘジンが色々韓国の話をするのをずっと聞いていた
日本とまるっきり違う