綾奈は、時間がある長い春休みの間に自動車免許を、いつの間にか取り、聡を驚かせた
「免許取りに行くなんて、言ってなかったじゃないか」
聡がそう言うと、綾奈は返した
「秘密にしとこうと思ったの。第1段階で四時間オーバーしたけど、あとは仮免も試験もオーバーせずに通過した」
車に慣れるのが初期時間がかかったが、慣れたら早いものだった
あとは、全て一発で合格した
「第1段階の時はお父さんお母さんたちに付いて来て貰って、河原でコツを掴もうと必死に練習したけどね」
聡のマンションの前に、いずみの車を借りてきた車で来ていた
「自動車で、どこか行かない?呼子とか」
「いいけど、大丈夫かよ」
「2人でイカでも食べようか」
彩菜は助手席に聡を座らせて、下道国道202で前原を通って佐賀県唐津市にやってきた
聡はやはりまだ免許取りたての綾奈の運転にまだ慣れなかった
「綾奈、スピード出し過ぎだよ」
「あ、教官殿にも言われたな、明神さんは、スピード出してしまう癖があるって」
唐津市街地に入った
既に虹ノ松原は通過している
「あーっ!前の車、遅いなあ!もっと飛ばせ」
「綾奈、大丈夫だって」
運転すると人格が変わる人がいるとは聞いたが、綾奈はその典型だな、と聡は感じた
国道204の海沿いの道を通ると、またスピードが速くなる
ガードレールの向こう側は海だ
転落するんじゃ、と聡は思った
そして程なく呼子に着き、綾奈は前家族で来た事があるイカ料理店の駐車場に車を止めた
いけす●●
確かに美味しい
イカが生きたまま包丁を入れられたのを持って来られた時は
、綾奈は人格が変わったように
「きゃー!可哀想!ちょっとすみませんけど、活き作りは止めてください。速く揚げて~!」
と、聡に抱きついて店員さんに言った
この子のこういう所が、俺は大好きなんだろうな
と、聡は感じた
その5日あと、2人は東京へ飛び立って行く