こちらの続きです。






ふたりの年に一回の、本来なら特別な日となる旅行は、こんなふうに後味が悪いものばかりで、旅行後に一方的に私から連絡を断ったこともあった。

もう限界だった。

嘘偽りの仲の良いカップルの楽しい旅行ブログなんて何の意味があるのだろう。

虚しくなって、ある日ブログを退会した。

何日かして凌亮が気がついて、
「ブログ消しちゃったの?」
と少し驚いて聞いた。

「うん」
それだけしか答えない私に、それ以上聞いてくることはなかった。

私の撮った写真や記事を褒めてくれて、
「みんなに見てもらいたくなる」
と言ってくれていた凌亮は、どう感じたのだろう。

まだ付き合い初めの頃、色々気持ちに折り合いがつかなくて、うじうじと悩んでいることを親友のマリリンに話したことがあった。

マリリンは冷静に言った。

「王子(親友とは凌亮のことをそう呼んでいる。)とつきあってて、唯が幸せじゃないならつきあうのをやめな」

ピシャリと言われて、その時は
『そんなぁもう少し優しい言葉を掛けてくれても…』
なんて思ったが、後々マリリンのこの言葉が何度も私の心に蘇ってきた。

今、私は幸せと言えるのだろうか。

自分の気持ちに蓋をして、そこまでしてなぜ一緒にいるのだろう。

こうやって考えている時点で多分もう無理…。

不安定な私は今までも何度も気持ちが揺れていた。

でも凌亮は内心思うところはあるだろうけど、私への接し方はいつも変わらず安定している。

私ばかりが何度も心が揺れて。

でも今回は凌亮に言ったところでどうにもならないこと。

もう別れるしかないんだろうな。