こちらの続きです。
「生まれ変わったら、今度はもっと早く私を探して」
子どもたちが生まれてきてくれたことは本当に尊い。
子どものたちのことを思えば夫で良かったと思える。
私の冗談みたいな話を聞いた凌亮は、
「わかった。小学生で探す」
と真面目に答える。
「それは早すぎでしょ笑」
凌亮は私の幼少期のつらい思い出を知っているから、その頃の私を救いたいと思ってくれている。
私は心の休まらない家庭で育ち、心からの友達もできなかったから、どこにも安心できる場所がなかった。
早く大人になりたい。
早くこの家から出て行きたい。
毎日そう思って過ごしていた。
結婚を機にようやく家を出ることが許された。
私は両親を反面教師にした。
父とは正反対の夫。
母とは違う子育て。
落ち着ける家庭。
子どもたちは友達にも恵まれ、楽しい小学生生活を送っている。
子どもたちに家庭不和を感じさせたくない、という私の思いは叶った。
でもその危機に直面していたことを家族は知らない。
夫に拒絶されたことは、それほど私の心に深い傷を負っていた。
凌亮に出会わなかったら、私は家庭円満を貫けていけたのかわからない。
不倫をしたいなんて考えは無かったけど、離婚の道を選んでいた可能性はある。
凌亮と出会えたおかげで、家庭円満でいることができると考えると、今世、凌亮との出会いは遅すぎたとも言えないのではないかと思う。
『運命の人』が結婚相手とは限らないということかな。
来世、運良くまた同じ時代に生まれたら、20代前半で私を探して欲しいと思ってたけれど、凌亮は小学生で出会う気満々。
「それじゃあ大人になる頃には疎遠になりそうで、生まれ変わっても結ばれないんじゃない?」
「どうして?小学生で唯を見つけたら、ずっと一緒にいるよ。いろんな時代の唯を見たい」
女性のリアリズムと男性のロマンティシズムってこういうところかな。
『過去の備忘録』は1週間お休みします。
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