昔書いたお話をAIに作り直して貰いました
# TMU ―鋼鉄の意志―
## プロローグ
アラスカ上空、高度一万メートル。
「タンゴ01、未確認機を視認。
距離20マイル、速度マッハ1.8で接近中」
F-22Aラプターのパイロット、
マーク・ジョンソン少佐は冷静に報告した。
レーダースクリーンに映る光点は、
予測不能な機動を繰り返しながら
彼のいる空域に侵入してきていた。
「了解、タンゴ01。交戦規定アルファ。
警告後、応答なき場合は強制着陸を試みよ」
「了解」
マークは機首を目標に向け、加速した。
ラプターのエンジンが唸りを上げる。
彼は十五年のキャリアを持つベテランパイロットだ。
これまで数え切れないほどの
スクランブルをこなしてきた。
だが、この日の出撃が、
彼の人生観を根底から覆すことになるとは、
まだ知る由もなかった。
視界の先に、それは現れた。
「何だ、あれは……」
マークの声が震えた。
そこには、全高十五メートルはあろうかという
人型の巨大な機械が、まるで空気を蹴るように
優雅に飛行していた。
金属の輝きを放つその機体は、
まるで神話の巨人が現代に蘇ったかのようだった。
「タンゴ01、どうした?」
「基地、信じられないものを見ている。
人型の……ロボットだ。
繰り返す、人型の飛行物体を視認」
一瞬の沈黙の後、通信が途切れた。
いや、途切れたのではない。ジャックされたのだ。
スクリーンに突如、文字が浮かび上がった。
『ドクターK2より、米国空軍の諸君へ。
これより貴国の技術レベルを査定する。
攻撃の意図はない。
ただし、私を撃墜できるものならば、試みたまえ』
マークの血が凍りついた。
同時に、戦闘機パイロットとしての
誇りが燃え上がった。
「基地、交戦する」
応答を待たず、
マークはミサイルのロックオンを試みた。
だが、ターゲットは常に予測不能な動きで
照準から外れる。
まるで彼の思考を読んでいるかのように。
そして次の瞬間、世界が反転した。
人型機動兵器
――後にTMUと呼ばれることになるその機体は、
物理法則を無視したかのような急旋回で
マークの後方に回り込んだ。
Gの限界を超えた動き。
人間なら確実に気絶する機動だ。
警告音が鳴り響く。ロックオンされた。
一度、二度、三度。何度も、何度も。
「畜生……」
マークは必死に回避行動を取ったが、
相手は常に彼の一歩先を行っていた。
まるで、子供が大人にあやされているような屈辱感。
そして突然、すべてのシステムが停止した。
エンジン、レーダー、通信、武器管制。
すべてが沈黙した。
静寂の中、マークは気づいた。
自分のF-22Aがまるで人に抱えられるように、
あの人型機動兵器の腕の中にあることに。
『貴官の技量は素晴らしい。
だが、機体性能の差は埋められない。
私は今から貴官を安全に基地まで運ぶ。
恐れる必要はない』
その声は、奇妙なほど穏やかだった。
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## 第一章:商人の誕生
事件から三ヶ月後。
ペンタゴンの会議室には、重苦しい空気が漂っていた。
長テーブルを囲む将官たちの表情は一様に険しい。
「結論から言おう」
分析チームのリーダーが口を開いた。
「我々には、TMUの技術を解析することは不可能だ」
溜息が漏れた。
「コンピューター、エンジン、ボディフレーム。
三つの主要コンポーネントは、
いずれも我々の理解を超えている。
特にエンジンは……信じがたいことに、
燃料を必要としない。半永久機関だ」
「馬鹿な」
誰かが呟いた。
「熱力学の法則に反する」
「その通りだ。
だが、現実にそれは動いていた。
我々が提供を受けた一号機も、
自壊するまでの三ヶ月間、
一切の燃料補給なしに稼働し続けた」
スクリーンに、
TMUの詳細な分析データが映し出された。
「さらに問題なのは、ドクターK2が設けた制限だ。
彼の技術は、彼が意図した用途以外には使用できない。
違反すれば、自壊する。
我々の一号機がそうだったように」
「つまり……」
年配の将軍が重々しく言った。
「我々には二つの選択肢しかない。
ドクターK2の条件を呑んでTMUを購入するか、
あるいは彼を敵とするか」
室内に沈黙が降りた。
「価格は?」
「一機あたり、五億ドル」
「戦闘機三機分か……
だが、その価値はあるのか?」
分析リーダーは頷いた。
「アラスカでの一件を見れば明らかです。
TMU一機は、現代の戦闘機一個飛行隊に匹敵する。
いや、それ以上かもしれません。
陸海空、そして宇宙。
あらゆる領域で運用可能。
補給の必要なし。
メンテナンスも最小限。
そして何より、パイロットへの負担が極めて少ない」
「完璧すぎる」
誰かが呟いた。
「罠ではないのか?」
「その可能性は否定できません。
しかし、ドクターK2がこれまでに提供した
技術を見る限り、彼に世界征服の野心が
あるようには見えません。
むしろ……」
「むしろ?」
「彼は、何か別のゲームをしているように思えます」
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## 第二章:パイロットの誇り
東京、防衛省。
航空自衛隊のパイロット、
柳沢健太一尉は、目の前の資料を
信じられない思いで見つめていた。
「これが、私の新しい機体ですか?」
「そうだ」
上官は厳しい表情で頷いた。
「日本政府は、TMUを三機購入することを決定した。
君は、その最初のパイロットに選ばれた」
健太の胸に複雑な感情が渦巻いた。
誇りと、そして一抹の不安。
彼はF-15のパイロットだった。
十年以上、空を飛んできた。
戦闘機を自分の手足のように操る自信があった。
だが、TMUは違う。
人型の、巨大な、そして何より
――人間の技術ではない機械。
「一つ、質問があります」
「何だ?」
「なぜ、人型なのですか?」
上官は苦笑した。
「私も同じことを考えた。
技術的に見れば、非効率的だ。
同じ技術を戦車や戦闘機に応用すれば、
より優れた兵器ができるはずだ」
「では、なぜ」
「ドクターK2に聞いてみろ。彼はこう答えるそうだ。
『人間は、人の形をしたものに共感する。
TMUは兵器であると同時に、メッセージなのだ』と」
「メッセージ……」
「理解できなくても構わない。
君の仕事は、TMUを操縦することだ。
明日から訓練を開始する。準備しておけ」
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翌日、健太は初めてTMUのコックピットに座った。
予想以上に快適な空間だった。
座席は体に完璧にフィットし、
周囲のスクリーンは360度の視界を提供していた。
まるで、機体そのものが
自分の体になったかのような感覚。
『初めまして、パイロット』
突然、声が響いた。健太は驚いて周囲を見回した。
「誰だ?」
『私はTMU-J01のコンピューターシステムです。
あなたのパートナーとなります』
「AI……なのか?」
『その認識で問題ありません。
私はあなたの操縦をサポートし、戦闘状況を分析し、
最適な行動を提案します。
ただし、最終決定権は常にあなたにあります』
健太は深呼吸をした。
機械と会話する。
それ自体は新しいことではない。
だが、この声には……何か、人間らしさがあった。
「システム起動」
『了解しました。
システム、オールグリーン。
いつでも出撃可能です』
健太は操縦桿を握った。
軽い。驚くほど軽い。
「では、行こう」
TMU-J01が立ち上がった。
地面が遠ざかる。
15メートルの高さから見る世界は、
戦闘機とはまた違う景色だった。
そして、健太は気づいた。
この機体は、彼の思考に反応していた。
操縦桿を動かす前に、既に機体は動き始めていた。
まるで、自分の手足のように。
いや、それ以上に。
「すごい……」
『あなたの脳波パターンを学習しています。
訓練を重ねるほど、反応速度は向上します』
健太は思わず笑みを浮かべた。
これは……これは、新しい時代の始まりだ。
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## 第三章:ドクターK2の真意
カスピ海沿岸の小国、アゼルタン共和国。
この国の首都郊外に、ドクターK2の研究施設はあった。
外見は普通の工場だが、
内部では人類史上最高の技術革新が
日々生み出されていた。
研究室の奥、巨大なモニターの前で、
K2は世界地図を眺めていた。
地図上には、
TMUが配備された国々が色分けされている。
米国、日本、ドイツ、フランス、
中国、ロシア、インド……
「順調だな」K2は呟いた。
「本当にこれでいいのですか?」
背後から声がした。
K2の助手、エレナだ。
彼女は若い研究者だが、
K2の真意を理解している数少ない人間の一人だった。
「君は心配性だな、エレナ」
「当然です。
あなたは世界中に、
究極の兵器をばら撒いているんですよ」
K2は振り返った。
その目には、深い悲しみと、
そして確固たる決意があった。
「エレナ、君は戦争を見たことがあるか?」
「……いいえ」
「私はある。
子供の頃、私の故郷は戦火に包まれた。
人々は死に、街は破壊され、すべてが灰になった」
K2は遠い目をした。
「あの時、私は誓ったんだ。
いつか、戦争を終わらせると」
「それで、TMUを?」
「そうだ」
K2は力強く頷いた。
「戦争は、力の不均衡から生まれる。
強者が弱者を支配する。
だが、もし全ての国が同等の力を持ったら?」
「……均衡が生まれる」
「その通り。
TMUは、小国でも大国と対等に渡り合える力を与える。
もちろん、それだけでは不十分だ。
だから、私は制限をかけた」
エレナは頷いた。
「人型以外への転用禁止、と」
「戦車や戦闘機に私の技術を使えば、
さらに強力な兵器ができる。
だが、それでは意味がない。
TMUは、見た目が重要なんだ。
人の形をしている。それが重要なんだ」
「なぜですか?」
K2は微笑んだ。
「人間は、人の形をしたものを破壊することに、
本能的な抵抗を感じる。
TMU同士の戦いを見れば、人々は気づくだろう。
これは、人間同士の戦いの鏡だと。
そして、その虚しさに」
エレナは黙った。K2の言葉の重みを噛み締めていた。
「私のTMUは、戦争を抑止するために存在する。
逆説的だが、究極の兵器こそが平和をもたらすんだ」
「でも、もし誰かがそれを悪用したら?」
「その時は」
K2の目が鋭くなった。
「自壊装置が作動する。
私は、自分の技術が
人類を滅ぼす道具になることは許さない」
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## エピローグ
それから五年後。
世界は変わった。
TMUの登場により、従来の軍事バランスは崩れた。
小国も大国も、等しくTMUを配備し、
新しい均衡が生まれた。
そして、不思議なことに、
大規模な戦争は起きなかった。
各国はTMUを持っているからこそ、
安易に戦争を選択できなくなった。
そして、TMUの人型という形状が、
奇妙な効果を生んでいた。
人々は、TMU同士の模擬戦を、
スポーツのように観戦するようになった。
国家間の紛争は、外交交渉か、
TMUによる限定的な戦闘で解決されるようになった。
死者は劇的に減った。
柳沢健太は、今や日本のTMU部隊の隊長となっていた。
彼の相棒、TMU-J01とともに、
数多くの任務をこなしてきた。
ある日、
健太はドクターK2と直接会う機会を得た。
「あなたに、一つ聞きたいことがあります」
健太は言った。
「何かね?」
「あなたは、平和を望んでTMUを作った。
それは理解しています。でも、TMUは兵器です。
いつか、誰かが暴走するかもしれない。
そのリスクを、どう考えているんですか?」
K2は静かに微笑んだ。
「君は良いパイロットだ、柳沢一尉。
そして、良い質問だ」
K2は窓の外を見た。
「私のTMUには、最後の安全装置がある。
それは誰にも話していない」
「安全装置?」
「すべてのTMUは、私の意思で停止できる。
もし、世界が狂気に走り、
TMUが人類を脅かす日が来たら……
私はすべてを止める。
すべてのTMUを、永遠に」
健太は息を呑んだ。
「つまり、あなたは……」
「私は、人類への賭けをしているんだ」
K2は振り返った。
その目には、希望と覚悟が宿っていた。
「TMUを手にした人類が、
それでもなお平和を選ぶかどうか。私は信じている。
人間の理性を。そして、君たちパイロットの良心を」
健太は姿勢を正し、敬礼した。
「期待に応えます」
K2は敬礼を返した。
そして、世界は回り続ける。
TMUと共に。
人類の新しい時代が、
今、始まったばかりだった。
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## あとがき
ドクターK2の実験は、成功したのか、失敗したのか。
それは、まだ誰にもわからない。
ただ一つ言えることは、
人類は新しい岐路に立っているということだ。
究極の力を手にした時、人間は何を選ぶのか。
その答えは、私たち一人一人の心の中にある。
【完】