酔眼朦朧 | 崖っぷち十番勝負

崖っぷち十番勝負

日々新又日新(ひびあらたにして、またひびにあらたなり)
我以外皆我師也(われいがいみなわがしなり)

 
自宅の近くにモツ焼(焼鳥の豚バージョン)の店がある。


店にはドアがない。
カウンターはあるが椅子もない。

お客はみな立ち食いをする店だ。

ホッピー!酎ハイ!
狭い店ながら実に活気がある。

壁には額装された漢詩が飾ってある。


すでに真っ赤な顔をして千鳥足になったサラリーマンが必死に解読を試みていた。


兩人對酌山花開
一杯一杯復一杯
我醉欲眠卿且去
明朝有意抱琴來


あまりに解釈がめちゃくちゃなので解読して差し上げた。


山中に幽人と對酌す
兩人對酌すれば山花開く
一杯一杯復た一杯
我醉ひて眠らんと欲す
卿且く去れ
明朝意有らば琴を抱いて来たれ


つまりは…
山中で隠者と差し向かいで酒を飲んだ。ふたりが差し向かいで飲んでいると、山中の花が開いた。 
一杯一杯、また一杯。
私は酔ってしまって眠りたいから、あんたはしばらく帰ってて。
明日の朝、もし気持ちがあるならば、琴(隠者の持ち物の意)を持って来ておくれ…


そんな意味だと教えてあげた。

サラリーマンは静かなので「ふむふむ」と納得して余韻に浸っているのかと思ったら


何と立ったまま寝てやがった…




こんチクショーめっ!



李白も泣いとるね。