自宅の近くにモツ焼(焼鳥の豚バージョン)の店がある。
店にはドアがない。
カウンターはあるが椅子もない。
お客はみな立ち食いをする店だ。
ホッピー!酎ハイ!
狭い店ながら実に活気がある。
壁には額装された漢詩が飾ってある。
すでに真っ赤な顔をして千鳥足になったサラリーマンが必死に解読を試みていた。
兩人對酌山花開
一杯一杯復一杯
我醉欲眠卿且去
明朝有意抱琴來
あまりに解釈がめちゃくちゃなので解読して差し上げた。
山中に幽人と對酌す
兩人對酌すれば山花開く
一杯一杯復た一杯
我醉ひて眠らんと欲す
卿且く去れ
明朝意有らば琴を抱いて来たれ
つまりは…
山中で隠者と差し向かいで酒を飲んだ。ふたりが差し向かいで飲んでいると、山中の花が開いた。
一杯一杯、また一杯。
私は酔ってしまって眠りたいから、あんたはしばらく帰ってて。
明日の朝、もし気持ちがあるならば、琴(隠者の持ち物の意)を持って来ておくれ…
そんな意味だと教えてあげた。
サラリーマンは静かなので「ふむふむ」と納得して余韻に浸っているのかと思ったら
何と立ったまま寝てやがった…
こんチクショーめっ!
李白も泣いとるね。