こんにちは。
なないろの造形保育士、井ノ口です。
すっかり遅くなってしまいました。
2019年6月の造形プログラムです。
テーマは「紫陽花を観察して描いてみよう!」です。
内容は、
花瓶に入った色々な種類の紫陽花を見ながら、油性マジックで描きます。
その後、絵の具や色鉛筆で色を塗るです。
紫陽花は、スタッフが持ち寄ってくれました。
造形プログラムで大切にしている事は、利用者さんが自由な発想で表現することです。
そこを実施計画書からスタッフ全員で再確認しました。
虫メガネを用意して、細部まで花を観察できるようにしました。
紫陽花を虫メガネで見て描き始めたAさん。
画用紙に描き始めたのは、アザラシ…。
続いてオオカミ、ブタ、ウシ、ブラキオサウルス…!!
思わず、「紫陽花は?」と声をかけてしまいました。
Aさんは、ハッとしたように紫陽花を描きはじめましたが、またカタツムリ、トリケラトプス…^^
次々とイメージが湧くAさん。
すごいな、こんなにイメージが膨らんでいくんだと、感心してしまいました。
その日、すっきりしない表情をしていたBさん。
紫陽花は気になる様子^^
側に来たので、「描いてみる?」 と声をかけましたが、
はじめは、描かないと首を横に振って返事をしていました。
そこへ、
とても明るく元気なスタッフが、
「そう、言わんと描いてみ!」と声をかけました。
最初は気が進まない様子で、虫メガネを覗いていました。
すると、急に表情が和らぎ、いきいきと絵を描くBさんの姿がありました。
素敵な紫陽花の絵が出来上がり、本人も嬉しそう。
ちょっと背中を押してみたら、すっきりした表情になったBさんがいました。
最近恥ずかしがるようになって、素直に色々できないお年頃のCさん。
「紫陽花の絵を描いてみる?」の声かけに、「えーできない。。。」
スタッフが、
「○○さんが、この花きれいって言ってたよ。絵に描いてプレゼントしたら?」と、Cさんが大好きなスタッフへのプレゼントとして絵を描くことを提案しました。
Cさんは、
「うん。描くわ。」
と嬉しそうに描き始めました。
画面の隅の方から紫陽花を描き始めたのを見てスタッフが
「もっと描いたら、もっと○○さんが、喜ぶんじゃない?」と言ってみると…。
またまた嬉しそうな表情になり、どんどん描きだしました。
画面の半分に紫陽花、もう半分に自分の好きな絵。
結果、30分以上、描き続けていました。
誘い方ひとつで本人のやる気が出るんだなぁと、再確認しました。
Dさん。
紫陽花を見ながら、絵を描いてみる?と誘うと、
乗り気でない様子で、
「えー粘土したいねん。」
「えっ粘土!?粘土はいつでもできるし今日は、紫陽花の花を描こうよ。」
むっとした表情で、
「なんでいつでもできるとか言うん!」
「わかった、描きたくなったら言ってね。」
しばらくすると…
「やっぱり描きたい。」と側に来てくれました。
実物を見て描くことに抵抗がある様子で、
虫メガネで紫陽花の花を覗いていたものの
「ハート描くわ!」とハートを描き始めました。
担当としては…
最近、漢字も書けるようになってきたし、
紫陽花の花を一緒に観察して、花の細部に気づいてくれると嬉しいな。。。
という思いがありました。
後で聞くと、
Dさんは、聴覚が優位で視覚で捉えることが得意でない。
小学1年生の頃は、書かれた文字を線でなぞることも出来ないくらい、
視覚で捉えることに難しさのある子だった。
今は成長して、自分の名前を漢字で書けるようになったけど、やはりDさんの中には見て描くというのに抵抗があるかもしれないということを知りました。
障がいのある子どもと関わるときは、背景を知ることも必要だということを知りました。
今回の造形プログラムは学びが多かったです。
振り返りとしては、
○一見離れていってしまったように見えるが、イメージをどんどん膨らませることができている子がいる
○声掛け次第で進んでできる場合がある。
○利用者さんの背景を知った上での提案をしてみる。
等です。
次回は、紫陽花だけでなく、ヒルガオとかミズバショウのような花弁の少ない花を用意してみてもいいかなと思いました。
7月は、夏休みがありますので、また違った造形プログラムを体験してもらいます(^^)
※写真の掲載は、保護者の同意を得ています。