「深夜食堂」 安倍夜郎 (小学館)
ずーっと読んでみようかと思っていたんですが、
先週、やっと近所のGEOから借りてきました。
「あたしンち」でマメなユズヒコが「深夜食堂」っぽいな、
と自分でナレーションを入れながら夜食をつくったりしていたのでてっきり、
自宅の台所で夜な夜な夜食をつくる独身サラリーマン、
のマンガだろうと思い込んでいました。
私はわりによくこういうことがあります。
「赤毛のアンてあって全然予備知識なしに、シャーロック・ホームズにはまっていた4年生から5年生になる春休みに読んだのですが、
頭の中にいつも殺人事件がつまっていたので、
てっきり、
「赤毛のアンがギルバートを教室のなかで石板で殴殺する推理小説」
だと思ったわ。
ありますでしょ、アンの赤毛をからかったギルバートをアンが石板で思っきり、
頭を叩いたらまっぷたつになった場面。村岡花子訳だと一瞬、ギルバートの頭が割れたのかと思うんですよ。
(倒叙的な訳になっている)
ホームズに赤毛連盟があるのも一因でしょうか。ま、ほんの1行のあいだですが、このときのショックは大きかった。
しかし、
それからも何百回となくやってきた思い込み。
今回も全然ちがいますがな。
丹下左膳めいたマスターは時間さえもらえれば、何でも出します、という。
マスターがひとりでやっている小さな店だけど、その器の大きさと店の小ささにほっとする人々がやってくる。
めしや、とだけあるのれんをくぐって。
常連のまゆみちゃんとゲストのお姉ちゃん。
よくたべ、よくしゃべり、リアクションのいいまゆみちゃんは常連客ですが、
作者もお気に入りなのか、よく登場する。
線のほそい、エジプトの壁画を連想させる絵ですが、お年寄りや美男美女じゃない、ふつうのひとの顔や表情を繊細にかき分けていて、
なかでも粋なおばあちゃんを描くのがうまい。
謎のおばあさんはアジの開きを所望し、ストリッパーのマリリンと仲良くなったり、
煙草をきれいに喫んだり、
何者?と思っていたら、
伝説のストリッパーだった。
他にも、マスターがギョウザを出前してもらう李さんがヌンチャクの名人だったり、
世界がパッとかわる場面が魅力のひとつ。
いろんなひとが今夜もおとずれる「深夜食堂」。
人気らしく、
4冊しか借りられなかったのですが、
マスターがお店を出した最初や常連客がはじめて来店するところも気になります。
う、
あと10分で返却期限切れだ!
急げ!
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