
ずっと読み返したいと思っていた「魔法をかけられた舌」の入った「安房直子コレクション2」を借りてきました。

が。
例によって自分のなかで窯変を起こしてましたね。
レストランの地下室に住み着いていた小人が致命的に味覚の悪い青年の舌に魔法をかけ、
その魔法のおかげであちこちの味を盗んで青年は父の遺したレストランを一流のレストランに作り上げたのですが…
という骨子は違わず記憶していたのですが、
小人が黒猫になってるんです私の中で。
父親亡きあと途方に暮れる若者、というあたりで「長靴をはいた猫」と混同したらしいです。
安房直子さんのあとがきエッセイでは、この作品のメニューがカレー、オムライス、サンドイッチと貧弱で、
その10年後に書いたレストランを舞台にした童話ではフランス料理の本を読み、勉強して書いたそうですが、
でも。
「魔法にかけられた舌」を読んだ当時10歳の私には、
シナモン、グローブのスパイスやピクルスという言葉にさえ、限りない憧れを抱いたので、
いやー充分ディレッタント趣味でしたから、
と申し上げたい。
主人公は小人との約束をすっかり忘れて10年が過ぎるのですが、
小人は主人公の愚かしさを責めず、罰も与えず、いまからまた一生懸命料理を勉強するという彼に優しくうなずくのですね。
私がこの童話を忘れられなかったのは、
そのあたりかも。
安房直子さんは1993年に満年齢なら50歳で夭逝なさっていました。
もうひとつのレストラン、「海の館のひらめ」もよかったです。
なぜかいま児童書ブーム(私のなかで)。
ではー。