ところで、話が変わるようですが、
私は子供の頃なりたかった職業は、マンガ家でした。
でもまあ、
意欲は凄いが評価も逆ベクトルに凄い(笑)。
友達にふたり、美術展をみてあるくのが趣味のひとがいますが、
ふたりとも絵は達者です。
私は自分では叶えられないマンガ家への夢を、
美術展めぐりに昇華させている気がします。ってかさっき気づきました( ´艸`)。
そんな私なので、若冲の絵にマンガっぽさを感じて、
そこに惹かれるのかもしれません。
若冲の初期の「寒山拾得山水図」。
若冲の「寒山拾得」は後ろ向きの長まるに、
蓬髪を河童のヘタ(言いたいことはわかっていただけるかと
思います…あれ、なんていうんでしょう)みたいに
描いているものが多く、
まるでマンガだ!と大いに気に入ったのですが、
たまに前をみているふたりがいると、これが
可愛い。
ただ、ふたりを真正面にするのではなく、
かたっぽは横向きで上を仰ぎ、かたっぽは
こちらを見て、にこにこしています。
横顔の方が、なぜか、「きりひと讃歌」(手塚治虫)
の主人公に似て見えます。
唐突に、体が犬に変貌してしまうおそろしい病気に
罹った主人公が偏見にめげず、おなじ病の人々とともに
立ちあがる、というようなマンガだったと思いますが、
鼻が。なんか、きりひと。ふたりの人間と言うより、
人の姿を借りた、ぶちのある子犬のような精神を
感じます。可愛いとにかく。
可愛いといえば、こちらも可愛いです。
「布袋図」。眉が困ったように見える、と、解説に書かれていて、
「ほんとだ!」と気づくと、一層かわいらしく思え、
ついじっと見てしまうわけです。
まだ初期ですが、すでにのびやかな自在な筆さばきといった
ものを感じていました。
でも、最晩年の水墨画といったら…。
今回いちばん楽しみにきたのはもちろん、
「樹花鳥獣図屏風」なのでしたが、
ふだんなら、真っ先に気になる絵だけをじっくり見る
私ですが、流れにそって観て行くだけでおもしろく、
興味深いのでした。