表紙カバーの絵は、「画家のアトリエ」、
そう思って手にとったところ、模写画だったのですね。
描いたのは、青木敏郎。口絵の「デルフトの眺望」は
この小説のために描かれた模写画だと、
あとがきにありました。
フェルメールの絵を実際にみたのは、2007年暮れの「牛乳を注ぐ女」
がはじめだったなあ。
それまで、すきな作家のエッセーや、ダリのパロディのなかのフェルメールは
知っていたけれど、フェルメールの絵のことはまるで知らなかった…。
ここ2、3年、日本でフェルメールを観る機会に恵まれて、よかったなあと思っています。
タイトルに借用しただけではなく、この小説はフェルメール一色に染め上げられて
います。
あまりのことに、奥付をみたら、作者は大蔵省のもと官僚だったのですね…。
39歳で退官して、この本を出版した2000年には、44歳でした。
フェルメールも謎に包まれていますが、この本の著者も謎めいています。
作中のフェルメール模写美術館の構想が実現したら、ちょっと見てみたい気がします。