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そんな洒落た風習(?)は、子どものころはなかったなあ。
うちの母親は、
「数を数えろ」
とだけ言って、弟とすぐに寝付くわけ。
取り残された気持ちで、数をかぞえる私。
私の子ども時代は、
祖父母(母方の。うちは2代続いて婿をとったので)、父母、
弟と私の6人家族だったんだが、
寝るときは、父母と弟と私がワンセットだった。
のですが、父はなにしろ、23歳で父になったわけで、
若いから、いろいろつきあいもあって、
帰還は遅くなることも多かった。
ということで、母と弟と私で寝ることが多かったのですが。
母も昼間は中華食堂で働いたり、家事も一切やっていたので
(祖母は長期入院していた)、疲れていたのであろう。
と、今なら分かるが、当時はまるで理解できていなかった。
一方私は、当時完璧な夜型子どもで、
夜になればなるほど、声が高くなり、元気はつらつ。
「数を数えろ」
と、そんな夜によく言われたものです。
眠れない子どもの私は、簡単に寝付いてしまう
弟と母の間で、ひたすら数を数えましたよ。
右の指で一往復して、10。
そうしたら、左の指を折って、
左の指が全部折れたら、1000。
だいたいですが、2000~3000くらいの間に
睡魔がやってきたものです。
…いまの私なら、本でも読んで起きてるけどね。
真っ暗な中で。
昔はいまのように光るfaxやパソコンやテレビの電源や…
そういった蛍のヒカリがなかったから、天井からぶら下がっている
電球をパチッと消したら、真っ暗。
うちは特に、家の裏手が林だったから、真っ暗だったのかもしれない。
真っ暗な中で、ずっと数をかぞえていると、
数が不思議な性格を帯び始めて、
それはそれで面白かった。
私は小学校時代、ほとんどの教科で落ちこぼれでしたが、
毎晩数えているせいか、算数だけは得意だった。
算数の基本は数をかぞえることですね。
というわけで、私は羊を数えたことはないです。
柵を飛び越えてく、羊の群れを想像するのは
楽しそうですが、
メタリックカラーにキラキラ輝きながら闇に溶けていく
数字たちのダンスも、幻想的で楽しかったですよ。
1000番台は赤で、2000番台は紫がかった青だった気がする…
みなさんは、夜眠れないとき、羊を数えたことがありますか?
羊以外のものを数えたことは、ありますか?