岸田今日子さんの童話が好きでした。
友達にすすめられて、初めて読んだのは、『一人乗り紙ヒコーキ』。
ちょっと意地悪で辛辣で、優雅で、岸田さんにしか書けない世界でした。
『ひとみしりな入り江』の「いばら姫またはねむり姫」の最後の、
今、私が幸せかとおっしゃるのですか。「二人は一生幸せに暮らしました」と
絵本には書いてあるのですもの。「ええ」とお答えするのが礼儀ではないかしら。
なんて、いかにも岸田さんらしい結びの文章だと思う。
『子どもにしてあげたお話 してあげなかったお話』など、
好きだったのですが、
ある対談でだったか、
童話を書けなくなったわけとして、
子どもに、そういうお話をできなくなったから、
と言っていたのを憶えています。どこかで、
こういうお話は子どもにしてあげられないな、と思って
セーブするのが嫌で書けなくなった、と。
当時としては高年齢出産だったお嬢さんが16歳くらいの頃、
「non.no」で、年齢差があるから、子どもの言葉づかいが
新鮮で面白くて、と話していたのを覚えている。
「子供が服を買いたいというから、一緒に自分のものも選ぶと、
そういうの、可愛くない、っていうの。可愛くない、ってこういう
風に使うのね」
その当時でたぶん、50代だったと思うんですが、真ん中わけの
ゆるいソバージュヘアが似合って、可愛い少女というより、
猫のようだった。