不幸な子供 筒井康隆の「ヒロイン」 | 菅原初代オフィシャルブログ「魔女菅原のブログ」

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エドワード・ゴーリー著 柴田元幸訳 (河出書房新社)


期待をうらぎらない不幸な子供の波乱万丈の

物語ですよー。


裕福な家に生まれて、両親に愛されてしあわせだった

シャーロットは、父の戦死(なのか?)に続いて、

母も病気で他界し、一族の弁護士によって、

おさだまりの寄宿舎行きとあいなる。


その後は他の生徒と先生からのいじめですよ。


『小公女』みたいな展開ですね。


あまりのつらさに寄宿舎から飛び出すと、

そのあとは悪い大人につかまって、

タコ部屋みたいなところで、内職だ。

がりがりにやせて、目も悪くなったシャーロットが、

表に飛び出すと、実は生きていた父の車にぶつかって、

あえなくなってしまう。もちろん、父は変わり果てた

シャーロットに気づかない。

悲惨な最期である。


どーですか。この救いも予定調和も一切ない、絵本。


30年も前に読んだ、筒井康隆の「ヒロイン」というエッセイを

思い出しましたよ。たしか『狂気の沙汰も金次第』所収。


少女マンガのヒロインはたいてい貧乏で美人で才能があっていじめられる、

ということになっているが、現実は美人で性格のいいのは、

お金持ちの娘に決まっている。というわけで、本当の「ヒロイン」を

描いてみよう、てなエッセイでした。


お金持で美人でおまけに勉強もできて性格もおっとりと優しいヒロインは、

貧乏でブスで意地悪なクラスメートから妬まれ、いじめられる。

でもやさしいから、両親にも言わず耐えている。


そのうち、いじめがエスカレートして、ヒロインは万引きの濡れ衣まで着せられて

しまう。そのことから、ヒロインの父親の会社の商品にたいする「不買運動」が

起こり(このあたりはおぼろげな記憶を頼りに書いているので間違っている可能性

大である)、会社は倒産、債権者たちが家につめかけ、お金がないなら、

体で払ってもらおうじゃないか、という最悪の事態にいたり、

ヒロインはついに自殺においこまれるのであった…


いや、ほんとうにこんなエッセイだったんですって。



エドワード・ゴーリーと筒井康隆。

そんなに予定調和が嫌いか。

私も嫌いだ(笑)。