『風にのってきたメアリー・ポピンズ』P・L・トラヴァース作
林容吉訳(岩波少年文庫)
風の強い日に、さくら通りのバンクス家にやってきたメアリー・ポピンズ。
いまでは、一般的になった、ナニーですね。
ところが、このナニーは、かなり変わっていまして。
なかでも、私が焦がれたのは、果てしなく物が出てくるバッグ。
「そういいながら、メアリー・ポピンズはからっぽのバッグに手を入れて、」
真っ白のエプロン、大型のサンライトせっけん、歯ブラシ、
たばになったヘアピン、香水びん、小さな折りたたみ式のひじかけいす、
せき止めドロップ一箱、フランネルの寝まき7枚、もめんのを4枚、
編み上げ靴を一足、ドミノ一組、入浴用のキャップ二つ、絵はがきを
はったアルバム、折りたたみ式キャンプ用寝台…
どんだけーーーー。
しかし、私がいちばん羨ましかったのは、
「寝る前にひとさじ」と書いてある、ビン。
双子の赤ん坊にやるときは、ミルク。
ジェインとマイケルの姉弟には、ライムジュースとストロベリーアイス。
そして、メアリー・ポピンズが飲めば、ラム・パンチ!
いいなあ、じゅうたん製のバッグ。
私も大きくなったら、じゅうたん製のバッグをもつぞ、
と、思って30年以上がたったが、
途中、ムーミンママの黒いバッグにも憧れたが、
なぜかまだ、これ!というバッグには出会えていないのだった。
じゅうたん製のバッグって、空飛ぶ魔法のじゅうたん製ってことかしら。