仕事の後、少し研修があって。
終わってさあ帰るかと思って、ふと見ると。
見たことのある姿。もしかしてと、近づくと。
「チャンミンさん?」
立ち止まり、振り向く姿は、やっぱり。
「あ」
恥ずかしそうに俺を見る。
「寝過ごしちゃって、その」
「よかったら送りましょうか?」
「ええっ?」
まあ、確かに。
運転手が気を回して下車を促す必要はなく。
だから新人に落ち度があるわけでは決してないんだが。
お得意様でなおかつ、以前乗り過ごしそうになったことを考えると。
俺なら、一声かけてあげてたのになと、思う。
助手席に座っていただく。業務外とはいえ。
俺にとってお客様には変わりない。
妙に緊張してるらしいチャンミンさんを乗せて。
「家、どのへんですか? 教えてください」
「あの、お時間あります?」
「……え?」
聞き返すと、お礼に、飯でも、と。
ほんの少しの距離だろうに、ついでだからいいと断ると。
「じゃあ、あの……相談にのってくれませんか?」
目をウルウルさせて言われたら断れない。
ちょうど暇だし。
そういうことなら、と、車を走らせる。