バス停にて 20 | 沼から出られない

沼から出られない

元トンペン、現在RIIZEウンソクペン。
柴犬りゅー♂飼育中。

仕事の後、少し研修があって。

終わってさあ帰るかと思って、ふと見ると。


見たことのある姿。もしかしてと、近づくと。

「チャンミンさん?」

立ち止まり、振り向く姿は、やっぱり。

「あ」

恥ずかしそうに俺を見る。

「寝過ごしちゃって、その」

「よかったら送りましょうか?」

「ええっ?」


まあ、確かに。

運転手が気を回して下車を促す必要はなく。

だから新人に落ち度があるわけでは決してないんだが。

お得意様でなおかつ、以前乗り過ごしそうになったことを考えると。


俺なら、一声かけてあげてたのになと、思う。


助手席に座っていただく。業務外とはいえ。

俺にとってお客様には変わりない。

妙に緊張してるらしいチャンミンさんを乗せて。

「家、どのへんですか? 教えてください」

「あの、お時間あります?」

……え?」

聞き返すと、お礼に、飯でも、と。

ほんの少しの距離だろうに、ついでだからいいと断ると。

「じゃあ、あの……相談にのってくれませんか?」


目をウルウルさせて言われたら断れない。

ちょうど暇だし。

そういうことなら、と、車を走らせる。