現物給与・人間ドック | 源泉所得税を専門にやってきた国税OBのブログ

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  先日

  現物給与の話と

  「現金」での支給は

  「現物」ではなく、特別な定めはない

 

  そんな話をしました。

 

  それでは、今回は個別の

  「現物給与」の話をします。

  

 

   人間ドックの費用病院

 

  当社では

  40歳以上の全社員について

  「通院式の人間ドック」を

  50歳以上の全社員について

  「入院式の人間ドック」の対象として

  人間ドックの費用を負担しています。

 

  このほか、役員に対しては

  「脳ドック」及び「がん検診」を

  追加して検診を受けさせ、

  その費用も負担しています。

 

  当社は中小企業であり

  役員、とりわけ社長に

  万が一のことがあると

  事業が立ちいかない可能性が高いため

  「脳ドック」などを追加しており

  やむを得ない措置であると考えています。

 

  これらの人間ドックの費用は

  給与所得として課税しなくとも

  よろしいでしょうか

  

 

 

   回 答

 

  通常の検診項目である

  「通院式・入院式の人間ドック費用」は

  課税の対象としなくとも大丈夫です。

 

  ただし

  脳ドックとがん検診分の費用については

  給与課税の対象となります。

   ※「脳ドック」及び「がん検診」以外の

    ドック費用が、他の従業員と

    同程度のものであった場合   

 

  なお、役員に対する費用であり

  臨時の支給に該当するため

  役員賞与となりますので

  法人税法上も

  「損金」に計上することはできず

  申告時に「加算」することになります。

 

 

 解 説 

    

  本来、

  健康診断や人間ドックなど病院

  個人の健康管理に要する費用は、

  自己の責任において行うべきものであり

  それを使用者が肩代わりすることにより

  役員や使用人が受ける経済的利益は

  給与所得として

  課税すべきということになります。
 

  しかしながら、

  次のような理由から、

  原則としてその費用を

  経済的利益(現物給与)として

  課税するには及ばないと考えます。

 

  ① 法律上、労働者を雇用する使用者は

    労働者に対する健康診断の

    義務を負っていること(※)

  ② 人間ドックが健康管理の必要上

    広く一般的に実施されるように

    なっていること 

 

  などから、

  人間ドックなどの検診の内容が

  「高額なオプション付き」とか

  「役員に限る」などの

  特定の者になる場合を除き

 

  全従業員を対象とするとか

  一定の年齢の者を

  すべて対象とするとともに

  検診内容が健康管理上の必要から

  一般に実施されている程度のものとすれば

  課税する必要はないと考えらえます。

 

  今回の相談では

  「脳ドック」及び「がん検診」の

  その詳しい内容がわからず

  「一般に実施されている程度」

  か否かは不明ですが

  役員のみ対象とされていることから

  役員にかかる人間ドックは

  課税の対象となると考えるべきです。

 

  そしてあくまでも「私見」になりますが

  「脳ドック」及び「がん検診」以外の

  ドック費用が、他の従業員と

  同程度のものであれば

  「脳ドック」及び「がん検診」の

  検診費用のみ

  給与課税の対象となると考えます。

  

  これが、

  従業員は、近所の総合病院病院にも拘わらず

  役員は、設備や待遇(?)の良い  

  高額となる病院(聖〇加病院病院

  温泉付き病院病院温泉

  とか、差をつけている場合は

  「全額」給与課税の対象となると考えます。

  

 

  なお、経済的利益であっても

  「用務の提供等」の場合

  特定のものについては

  次ぎに掲げる場合を除き、

  課税されないこととされています。

 

  ①その受ける経済的利益の額が

   著しく多額¥であると

   認められる場合

  ②役員だけを対象として供与される場合

  (所得税基本通達 36-29)

  

  健康診断や人間ドックについては

  自己の事業の用役の無償提供等又は

  福利厚生施設の運営等の負担とは

  必ずしも同じではないですが、

  「用役の提供等」の

  通達の趣旨に照らし

  考えることになります。

 

  ※ 労働安全衛生法第66条第1項において、

   「事業者は、労働者に対し、医師による

    健康診断を行わなければならない」と

    規定されています

 

   現物給与のおさらい

    

  給与は、

  金銭で支給されることが普通ですが

  上記のような物や権利

  その他の「経済的利益」をもって

  支給されることがあります。

 

  この「経済的利益」を

  「現物給与」といい、

  原則は

  給与所得の収入金額とされます

 

  このように、「現物給与」は

  ① 職務の性格上書くことのできないもので

    主として使用者側の業務遂行上の

    必要から支給されるもの

  ② 換金性に欠けるもの

  ③ その評価が困難なもの

  ④ 受給者側に物品などの選択の

    余地がないもの

 

  などのように、

  金銭による給与と異なる性質があり

  

  ⑤ 政策上特別の配慮を

    要するもの

  

  などもあるため

  特定の現物給与については

  課税上金銭による給与とは異なった

  特別な取扱いが定められています。

 

  

【参考】

 

 

 所得税法 第36条 

 労働安全衛生法第66条第1項

 所得税基本通達 36-29

 

 

国税庁HP 

「質疑応答事例」

人間ドックの費用負担|国税庁 (nta.go.jp)

 

 税務訴訟資料第259-32

 福岡地方裁判所平成21年2月19日 

「経済的利益や非課税の旅費などの参考裁決」

 ※人間ドックにかかる部分があります 

11145.pdf (nta.go.jp)

 

 

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