「人(社員)を大切にする経営」
のお手伝いをする、
未来会計・経営計画コンサルタント&
税理士の米森です。
9月に都内の法人会で
非居住者の研修講師をします。と、
お伝えしました
テーマは、「海外勤務者・外国人社員」に関する
「人」ごとに係る関係
居住者・非居住者の判定も含めて
基礎的なことを90分行いますが、
そのなかで、エクスパッツの話もします。
なので、今日の質疑は
エクスパッツの話も織り込んでいます。
質問
当社は、単身赴任者に対して
帰宅するさいの旅費を月に1回ほど
支給します。
また、海外の本店から派遣された
「エクスパッツ=外国人派遣社員」がおり
1年以上に1回、帰国のための旅費を
支給しています。
これらの旅費は非課税になりますか。
回答
⇒ 単身赴任者への帰宅旅費については
① 原則 給与課税
② 会議等のため出張等の旅行に付随する
帰宅で、その旅行期間や行路等からみて、
その旅行が主として「職務遂行上必要な旅行」
と認められる場合は、非課税
エクスパッツの帰国旅費
原則、非課税となります。
(通常の旅行経路及び方法によるものに
相当する部分について)
ただし、この非課税の取扱いは、
海外からの出向者に対する規定であり、
国内採用者(ローカル採用者)には取扱いがありません。
また、「通常の旅行の経路・方法」によらないものは、
課税の対象となるため、税務調査でも指摘されます。
解説
【単身赴任者】
出張などの旅費が
給与所得者が勤務する場所を離れて
その職務を遂行するため旅行をする場合が
非課税と取り扱われれいます。
そのため、職務上の旅行ではなく、
帰宅を目的とした旅費の支給は、課税対象となります。
ただし、
単身赴任者が職務遂行上の理由から
旅行する場合に、これに付随してその者の
留守宅への帰宅のための旅行が
認められる時に支給すれる旅費については、
本来その旅行の全額につき、
それぞれの旅行期間等によって按分し、
帰宅相当分は給与等として課税処理することとなります。
しかし、「昭60直法6-7 所所3-9」の
個別通達により
『支給される旅費が、これらの旅行の目的、
行路等から見てこれらの旅行が
主として職務遂行上必要な旅行と認められ、
かつ、その旅費の額が、
所得税基本通達9-3(非課税とされる旅費の範囲)に
定める非課税とされる旅費の範囲を
逸脱しない限り非課税と取り扱って
差し支えないこととされています。』
【エクスパッツの帰省旅費】
エクスパッツは、本国を離れて社会慣習等の
異なる地に勤務していることから、
出向先法人では当該出向者に対して
本国に、一時休暇帰国を認め、
その帰国のための飛行機代費用を
負担した場合、非課税とする
いわゆる「ホーム・リープ通達」があります。
「昭和50年1月16日直法6-1」
『使用者が就業規則等により
相当の勤務期間(概ね1年以上の期間)を
経過するごとに休暇帰国を認め、
その帰国のために必要な旅行費用を
支給する場合、支給される金品のうち、
国内とその旅行の目的とする国との往復運賃で、そ
の旅行に係る運賃・時間・距離等の事情に
照らし最も経済的、かつ、合理的と認められる
通常の旅行経路及び方法によるものと
相当する部分については
課税しなくて差し支えない』こととされています。
また、帰国する代わりに、
本国にいる「家族うぃ呼び寄せ」るための
飛行代等も非課税と取り扱っています。
ここで一言
エクスパッツの帰国旅費等や
単身赴任者の帰省旅費
税務調査時にもチェックする項目です。
エクスパッツの帰国旅費は、
旅行先や旅行のルートか
単身赴任者は、本当に「会議等」があったのか
時々「会議出席」となっていても、
その実績が無かったり、
役員の時などは
「取締役会」の議事録を確認したり・・・
出席役員の名前が記載されてますよね
エクスパッツ・・・・
外国人社員ではなく外国人派遣社員
この非課税の取扱いは、
ローカル採用者は不可と書きました。
結局
海外の会社から「日本に行ってこい」と
命令されて日本で働く外国人に対する取扱いを
自分から「日本で働きたい」と
自分の意志で日本で働く外国人にまでは
適用しない・・・
そこまで、手厚くしなくてもいい
という考え方からでしょう。
そもそも、旅費が出るかも分かりませんが・・・
単身赴任者にかかる旅費の通達は
その適用については
厳密に処理する必要があります。
そのため、必ず「質疑応答事例」を確認してほしいのです。
① 単身赴任者が職務上の旅行等を行った場合に
支給される旅費の取扱いについては、
単身赴任者が会議等のために
職務遂行上の必要に基づく旅行を行い、
これに付随して帰宅する場合に限られること。
② この取扱いは、その性質上、月1回などの
定量的な基準で非課税の扱いをすると
いうことにはなじまないものであること。
③ 帰宅のための旅行は、職務出張に
付随するものであるから、
その期間には、おのずから制約があること。
これらのことを考えたうえで、課税・非課税を
判断することになります。(質疑応答事例参照)
参考
所得税法第9条
所得税基本通達9-3
所得税基本通達9-5
所得税基本通達9-6の3
『個別通達』
昭60直法6-7 所所3-9
昭和50年1月16日 直法6-1
法令解釈通達
第9条 非課税所得関係 のうち〔旅費(第4号関係)〕
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/02/02.htm
国税庁HP
質疑応答事例
「単身赴任者が会議等に併せて帰宅する場合に支給される旅費」
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/gensen/03/24.htm
国税庁HP
タックスアンサー
NO2582「電車・バス通勤者の通勤手当」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2582.htm
NO2585「マイカー・自転車通勤者の通勤手当」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2585.htm
NO6459「出張旅費、宿泊費、日当、通勤手当などの取扱い(消費税)」
https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/6459.htm
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