一般を対象にした募集作文に贈る賞金 | 源泉所得税を専門にやってきた国税OBのブログ

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 「営計画書」「未来会計」「中小企業を元気にする」、経営計画・未来会計コンサルタント&税理士の米森です。

 

 

 先週の土曜日に、上野公園で花見をしてきました。

 

 所用があったので、遅い昼食をとった後の流れで、行きましたが、人がすごい!!

 昼間っから、酔いつぶれて寝ている人がいましたが、同じ花見のグループの方、

  介抱するとかしなくても良いのか?と他人事ながら心配になりました。

 

 外国の人もいましたので、チョットとした交流・・・

   ホテルまでの道順を教えたり、子供に敷物をあげたり。

 

 先週も、電車の乗り継ぎを聞かれ、

  せめて英語が話せればいいのにと思いました。

 

 さて本題、前々回「社員を対象にした募集論文」のある意味続きです。

 

 質問 

 

 当社は小さい出版社ですが、雑誌を発行しています。

 

 この度、新元号を記念して、

 『新元号「令和」を迎えて」』とのテーマで

 広く一般に作文を募集することにしました。
 
 最優秀作品については、当社の発行の雑誌に掲載するとともに、
  賞金を贈ることにしています。(その旨は周知しています。)
 
 聞くところによると、「直木賞」等の賞金は源泉徴収が必要ないとのことですので、
   この賞金も「直木賞」に準じて源泉徴収をしなくていいですか。
 
 

 

 回答 

 

  「原稿の報酬」として源泉徴収をする必要があります。

   ただし、1回に支払うべき金額が少額(おおよそ5万円以下)の場合は、
       源泉徴収しなくても差し支えありません。
  

 

  解説 

  

  源泉徴収税額は、

  報酬(手当) × 10.21% で計算しますが

  1回に支払われる金額が100万円を超える場合は、

    100万円を超える部分は20.42%になります。

  これを二段階税率と言います。

 

《直木賞等との違い》 

  ご存知のとおり、直木賞や芥川賞等の賞金等は、「原稿の報酬」に該当しません。

 

 これは、直木賞等の性格が、

   既に発表された作品等から選考されるものであり

   受賞が役務の対価としての原稿料と直接結びつくものではない

   などの理由のよるものと思われます。

 

 しかし、お尋ねの作文と賞を見てみると、

 ① 作文が、賞のために応募されたものであるもの、

 ② 雑誌に掲載際することを前提にしていること、

 ③ 応募に対する役務の対価性が高いこと、

 などから、原稿料の性質を有するものであると思われます。

 

 

《賞金or報酬 のいずれの源泉徴収か検討》

 以前のブログでも記載しましたが、復習の意味を込めて記載します。

 

 所得税204条第1項第8号に
  「事業の広告宣伝」という、源泉徴収を要する「賞金」があります。
 この、事業の広告宣伝のための賞金に該当する場合、
   50万円控除額が有りますので源泉徴収が不要になります。
 
 しかし、ご質問の募集作文の賞金は、
   事業の広告宣伝のための賞金ではなく
  所得税204条第1項第1号の「原稿の報酬」に該当しますので、
   控除額はありません。
 
 ただし、所得税204条第1項第1号に該当する
   「報酬・料金等」で、次のいずれかに該当するもので
    同一人に対して1回に支払うべき金額が少額・・・おおむね5万円以下・・・のものは
   源泉徴収をしなくても差し支えありません。とされています。
 ① 懸賞応募作品等の入選者に支払う賞金等
 ② 新聞、雑誌等の読者投稿欄への投稿者又はニュース写真等の
         提供者に支払う謝金
         あらかじめその投稿又は提供を委嘱した人にその対価と支払うものを除く)
 ③ ラジオやテレビ放送の視聴者番組への投稿者又はニュース写真等の
         提供者に支払う謝金
         (あらかじめその投稿又は提供を委嘱した人にその対価と支払うものを除く

 

 

 

 ここで一言 

 

 注意してほしいのは

 少額なものについて源泉徴収しないのは「差し支えない」との表現になっていることです。

 そのため、もしも源泉徴収しても「誤り」ではないので、「誤納還付請求」の対象とはならないという点です。

 

 

  また、「賞金」ときくと、すべて50万円控除のある、所得税204条第1項第8号の

    「賞金」を思い浮かべますが、それは、偶発的な「賞金」と解釈してください。

 

 例えば、

 素人のど自慢やクイズ放送の出演者に対して支払われる「スポンサーからの賞金品等」や」

 懸賞クイズや大売出しの抽選の賞金品

 

 などがあります。

 

 偶発的な一時金・・・なので、一時所得となり、

 一時所得には、50万円の控除額があります。

 それなので「賞金」の源泉徴収には50万円の控除額があるのだと推察しています。

 

 

 

  参考 

 

 

所得税法第204条

所得税法第205条

所得税施行令第320条

 

 

国税庁HP 

タックスアンサー

 No.2792 「源泉徴収が必要な報酬・料金とは」

 No.2795「原稿料や講演料等を支払ったとき」

 No2813「広告宣伝のために支払う賞金等」

 

 

※ このブログ中の意見はあくまでも私見です。

   実際の計算等において責任を負いませんのでご注意下さい❗ 

   参考程度にしてください

 

 

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